Mac OS Xのプログラミングを本腰で取組むつもりがあるなら,この本を避けるのは得策ではないし,たぶん無理だと思います。Cocoaプログラミング書籍としては定番であり,基本ともいえます。
ただし,翻訳のもととなったのは原著の第1版。すでに原著は第3版の上梓が予定されており,おそらく10.5対応が施されるのではないかなと思います。そのため,図版は10.2時代のもので,Xcodeの前の名前であるProject Builderという言葉が使われていたりします。また新しい情報(たとえばObjective-C2.0等)は含まれていません。
それでは,本書が古くて役に立たないのかというと,そんなことはありません。解説されている内容は現在でも通用します。このように基本的な知識が長く通用するのもCocoaプログラミングの地盤の堅さを証明しています。
本書の対象読者は,ある程度プログラミングとは何をすることなのかを知っている人です。Macについても,それなりにどんなコンピュータであるかを知っていた方がよいです(もっともこれはMacでプログラミングをする上ではどんなレベルの人にも知っておいて欲しいことですが...)。C言語に関する知識があるなら,その他諸々について知識があると期待できそうですから,まずはC言語の世界に馴染んでおくことが,この辺への近道です。
出版社の地道な努力で,この本は意外にもあちこちで置かれています。そして最近,増刷されたようで,新しい状態のものが売られています。値は張りますが,定番本ですので,本腰で取組むなら入手しましょう。
また原著の方は第2版が売られています。10.3とXcodeに対応した形です。第3版は近々刊行予定となっています。
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