Happy Macintosh Developing Time

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 Mac OS Xのプログラミング本を精力的に執筆している木下誠さんの主著ともいえる2冊。同名のWebサイトを運営されており,そこでノウハウを蓄積されていたものを経て上梓されたのが本書です。

 本書はファーストエディション(10.2に対応されていた白本)から出発し,次に10.3の新機能に対応したセカンドエディション(黒本)でそれが置き換えられました。さらに10.4が登場して加わった新機能の部分のみ追加して取り上げたサードエディション(赤本)が刊行されたという風になっています。

 というわけで,この本は現在,セカンドとサード(黒と赤)のエディションによって構成されたMacプログラミング本ということになります。とりあえず基本的な部分ではセカンド(黒本)に取組むことになると思います。サード(赤本)はPDFやXML,CoreDataなどといった拡張的な部分に関して扱っているので,必要に応じて入手することになると思います。

 同じ木下さんによる入門書『たのしいCocoaプログラミング』とは,まったくベクトルの違う本です。(宣伝文句がどう言おうと)入門書ではありませんので,必要な情報を簡潔に盛り込むことに専念していて,解説は適度にシンプルです。リファレンス的に使われることを意図しているともいえるかも知れません。「それが何であるか」という説明調ではなく,「これこれがあります」という提示調です。サンプルプログラムも掲載されているのは部分的なので,慣れないとちんぷんかんぷんかも知れません。


 対象の読者は,MacやC言語について知っていて,プログラミングやオブジェクト指向などに関する記述が理解できる程度の前提知識を有している人になります。ヒレガス本も入門者には高いハードルですが,この本はなお入門者にとってきついハードルです。飛ぼうとしない方が身のためです。

 しかし,中級もしくはCocoaプログラミングの要領がわかり始めた人にとっては,大変便利に使える書籍です。余計な説明が無く,シンプルに機能やメソッドを紹介しているので,リファレンス的に使うのに都合がよいのです。また,サード(赤本)のように新機能を取り上げているので,その情報が得たいとか学びたいという人には,貴重な情報源です。


 品揃えのよい書店であれば,この本が書棚に並ぶことが多いです。大変立派な紙を使っているので,セカンド(黒本)は大変厚く重たいのが特徴で,サード(赤本)もそこそこの厚さといえます。その反省からか別途上梓した入門書は大変軽くつくられました。いずれにしても,本書は生半可な状態で手を出せるほどお気楽Happyな本ではないということだけでも事前に了解しておくことは有用だと思います。


 なお,本書も入門書『はじめてのCocoaプログラミング』も木下さんの著作ですが,それゆえサンプルのチョイスや説明などは共通性もあります。同じく木下さんが講師を担当されているアップルのCocoaセミナーの最新資料は,そのような共通性で学ぶことができそうです。是非参考にしてください。

Cocoaセミナー資料
http://developer.apple.com/jp/documentation/japanese.html#CocoaSeminar1

本書サポートサイト
2nd(黒本)
http://hmdt.jp/books/hmdtSecond/index.html
3rd(赤本)
http://hmdt.jp/books/hmdtThird/index.html
おまけ
1st(白本)
http://homepage.mac.com/mkino2/books/hmdt.html
 

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