次はCocoa関連本です。
Cocoaプログラミングというのは,MacとiPhoneが採用しているプログラミング・フレームワークです。もちろん,Mac向けとiPhone向けで,実際のプログラミング作業は異なってきますが,基本的な開発環境思想は共有されているわけです。
ここで紹介する2冊は,主にMac向けにCocoaプログラミングを語りつつ,最後にiPhoneについてもフォローするという形をとっています。MacやiPhone向けの開発を進めていく中で,こういうプログラミング流儀ってのはどんなものなのかを知りたいときには,材料を提供してくれる本です。
セミナー講師なども勤められているという中野さんの本です。前半はXcodeを使用するCocoaプログラミングの事始めやObjective-Cの解説をコードも書きながら紹介し,後半は神経衰弱ゲームを題材としてプログラミングの流れや設計,主なライブラリの使用例を解説します。アプリの移植という形でiPhoneプログラミングについてもフォローします。
一通りの知識を再確認するのに役立つ本だと思いました。ただ,この本の範疇では満足できないのは確実なので,この本から取り組み始めた人が次にどの本を選択すべきか,その接続の難しさに悩むところです。
こちらは多彩なお仕事をされている藤本さんの本です。こちらは,よくあるハウ・ツーを避けて,「しくみ」を重視して書かれたという本。たとえば第5章「MVCとCocoaバインディング」第6章「デリゲートと通知センター」といったテーマは大変興味深く,続く第7章「ドキュメント・ベースのアプリケーション」に至っては,私のような日曜プログラマにとって「そういうことか!やっと霧が晴れた」という貴重な情報を提供してくれます。
藤本さんの独特さが活きる後半と比べて,前半は独特さが逆に垣根になってしまい,正直,読みやすくはありません。スパゲッティ・ソースを読み解く訓練だ,と言えなくもないですが,書名や表紙につられて思わず買ってしまった初心者の方々には,少々高値の買い物になりそうです。
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