日本デジタル教科書学会・新潟支部主催「Edu×Digi Festa Niigata 2013〜新潟からデジタル教科書を語ろう〜」のシンポジウムに登壇しました。
大変盛りだくさんな催事で,シンポジウムも2本建て。私は後半「<デジタル教科書の可能性>」というテーマのシンポジウムに登壇し,フューチャースクール推進事業に関する紹介とデジタル教科書という言葉に関して投げ掛けをしました。
相変わらずのことですが,全国のフューチャースクールの紹介を10分程度で紹介し切ることはできませんので,ただでさえジェットコースターの発表をするのが私のスタイルなのですが,さらに早回しで紹介し,デジタル教科書という用語について触れていたので,すっかり時間オーバー。
それでも「〈デジタル教科書〉という用語を解体しなければならない」というメッセージに焦点を当てたので,まだシンプルな方です。
何においてもそうですが,〈デジタル教科書〉に関する議論において大事なのは議論の「対象」と「目的」をハッキリさせることです。
そのことを曖昧にしたままであれこれ論じても,知見を広げることはできるかも知れませんが,ロクな結論には結びつきません。そのことを指摘した次第です。
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好き勝手にやらせていただきましたが,概ね好評だったようです。懇親会や二次会も賑やかで楽しく過ごしました。
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新潟日報記事
「デジタル教科書、広がる学び 新潟でシンポ・教育関係者ら、実践例を紹介」
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/local/20130211026258.html
投稿者: 林 向達
20130208 東京出張
MetaMoJi本社を訪問しました。
先日ご来研いただいたご縁で東京オフィスにご招待いただいたのでした。
Note Anytimeのお話はもちろん,もっと大きな世界観(コンセプト)なども聞くことができました。学校教育に関しても会社経営者としての経験からお考えになっていることがあり,いろいろ共感できることも多かったです。
浮川社長と専務は,漢字変換を一般向けに実用化して普及させた歴史的人物ですが,そのご本人から「変換」さえ捨てたかったという言葉を聞いて,日本語入力を技能として教えようとする情報教育の在り方をもう少し違う視点から考え直さなければならないのかなとも感じました。
2時間あまり,たっぷりお話をいただいて,とても勉強になりました。私も少しお土産話をできたようなできなかったような…。
そこは開発現場なので,新しいことが次から次へと生み出される最前線。見たこともないものが何気に目の前で展開するので,度肝を抜かれました。
「見たことないアイコンがあるんですが…」
「ああ,これは開発中の…」
みたいな調子です。MetaMoJi社は単なるアプリ開発会社じゃないことを思い出しました。最新技術が生まれるところ。要注目です。
[FS徳島] 20130206 第4回地域協議会
総務省・フューチャースクール推進事業は2010年度から小学校で,2011年度から中学校と特別支援学校で3年間の事業としてスタートしました。
そして3年が経過しようとしています。
本日(2/6)徳島の実証校である東みよし町立足代小学校で第4回地域協議会がありました。事業に関連した催事としては最後であり「フューチャースクール実証校」としての役割を終える儀式でもありました。
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ありとあらゆる関係者が大挙して挨拶回りに訪れ慌ただしかった事業開始時に比べると,四国総合通信局と総務省と担当事業者が出席する地域協議会は静かに穏やかに進み,その落差に複雑な気持ちも生まれます。
もっとも終わりが賑やかであればいいということでもないし,当初から事業目的は,実証実践をもとに環境整備に関するガイドラインを作成することだったのですから,目的を達成すればその他は速やかに撤退するのも当然のこと。
むしろ,子ども達や学校教育への配慮として縮小環境を残せるようにしたことは,総務省事業としては格別の配慮だったのかも知れません。もちろん予算なんかありませんから,どこかで泣いている人がいるわけですけれども。
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正式には年度末まで事業は続いているわけですが,これで私の役目も終わります。国の事業に関わって,いろいろな経験をし学びました。とにもかくにもたくさんの方々にお世話になりましたこと,感謝いたします。
20130202 関西大学初等部研究発表会
関西大学初等部の研究発表会に参加してきました。
昨年初めて参加し,そこで見た思考スキルを育成する取組みがどのように展開しているのかを確かめたくて今年も参加しました。
思考ツールを活用した授業実践は全国数あれど,それを小学校の全学年を通したカリキュラムに位置づけて扱おうとしているのは関西大学初等部くらいでしょう。そういう意味でも大変注目を集めています。
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今回,思考スキルを学習する「ミューズ学習」と総合的な学習の時間を組み合わせた5年生の実践を見せてもらい,その協議会に参加しました。
実は,この2時間(ミューズと総合)は「私たちにできる国際貢献」を考えるというテーマで繋がっていました。それゆえ,思考スキル(方法)を扱うミューズ学習の時間で「国際貢献」(内容)に引っ張られてしまうといった課題も見出されるものでした。
協議会の場は,そのような方法と内容の混乱についての指摘を中心として展開していたのですが,そこから興味深いテーマがあることに気がつきました。
思考スキルを6年間かけて習得するのが関西大学初等部の特徴ですが,思考スキルの習得,つまり設定された6つの思考ツールの理解と活用習得は6年間かけるほどのことはありません。それ自体は1年生から4年生までの間に達成できるでしょう。
であれば,5,6年生は思考スキルを高度に使いこなすことが求められることになるわけですが,それは思考ツールを複雑に組み合わせて使うことを意味するのでしょうか。
私はそこに「他者」の設定が加味されるようになるのだと解釈しました。
それまで自分や友達同士での理解のために思考ツールを用いて整理したり解釈したり組み立てたりしていたわけですが,それがある程度達成できれば,今度は思考ツールを持たない者とのコミュニケーションを前提とした活動へと進むのではないか。
確かにこれまでも先生や友達という他者に対して説明をするために思考ツールを利用することは行なわれてきたと思われますが,先生も友達も思考スキルを共に学んだ者同士であり,同じプラットフォームを共有する者として本質的な他者とはいえません。
むしろ,思考ツールというプラットフォームを共有しない者に対して,思考ツールを使って考えた物事をどう伝えるのか,どうコミュニケーションとるのかということは,高次な他者とのやりとりともいえます。
もしかしたら,今回のミューズ学習はそのような視点で構成することで,内容に引っ張られることを防げたのではないかとも思えたのです。
というのも,総合の時間は外部から大学生を招いてグループ毎に活動するという授業が展開されたわけで,大学生と児童達とのコミュニケーションは,そのような高次な他者とのやり取りだと思えるからです。
ミューズ学習の時に「大学生に思考ツールを使ってどう伝えるのか」という目標が明確化されていれば,内容の議論へと引っ張られることを少しは防げたのではないかと思います。
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こうした具体的な授業づくりに関する課題を着実に解決していくことで,思考スキルの学習の取組みが前進していくことが期待されます。
思考スキルという捉え方は,特別なものではなく,むしろ世界的には当たり前の学習主題でもあります。もっと広く認知され,当たり前のように取り入れられるようになることを期待したいところです。