首都大学東京で行われた日本教育工学会 第27回大会にて一般研究発表をしました。国内の教育情報化の取り組みに対して学会などの研究者共同体がすべきことを少し論じました。お越しいただいた皆様ありがとうございました。
一般研究発表
「学校の情報通信環境整備事業の導入過程における問題と課題」
(日本教育工学会第27回大会,2011年9月18日(日))
—
AERA「Research Points」
http://www.aera.net/?id=314
情報処理学会「提言/プレスリリース」
http://www.ipsj.or.jp/release/pressrelease.html
投稿者: 林 向達
[FS/LI] 20110906 地域協議会02と研究授業
フューチャースクール推進事業と学びのイノベーション事業の第2回地域協議会が開催されました。当日は外国語活動の研修会も同時開催されました。
当日は,総務省として四国総合通信局の担当者と,文部科学省として本省の担当者の方が徳島にお越しになり,2つの省が揃った初めての協議会でした。
協議会に先立ち,5年生と6年生の外国語活動の授業が,電子黒板とデジタル教材を活用して行なわれました。先生たちも子どもたちも多少緊張気味。外国語活動は授業の雰囲気やテンションも大事なので,その辺で研究授業でやるには四苦八苦が伴いがちです。
それでも,先生方は準備や練習の成果を発揮して頑張られていましたし,子どもたちも途中からなんとかペースを掴み直してきたようでした。
タブレットPCやデジタル教科書も授業の中の個別学習や協働学習の場面で活用されるなど,使い分けを配慮しながら取り入れられていました。
もちろん,まだまだノウハウを蓄積しなければならなかったり,端末や教材側の改善改良が不可欠ですが,事業の主旨に則って,いろいろ試みがなされているところです。
—
今回のように,文部科学省の担当の方が直接現場にお越しになるのは,事業の説明のためとはいえ,大変珍しいことです。
いろいろと実証校に負担をかけている事について気にしているようで,まずは直接学校現場に足を運んで挨拶と説明をしなければならないだろうと考えて,全国の実証校を回っているのだそうです。
担当者の方と直接お話をして,考えていることなど共有できたことはよかったと思います。今後の課題についても,大きく異論があるわけではなさそうです。
とはいえ,事業自体は多くの関係者が連携して動く必要があるため,考えていることが即座にそのまま実現することは難しい側面があります。また,事業に対する批判者が少なからず居るとも聞きます。そうした人々の声で,現実は,思わぬ方向に動いてしまうこともあるかも知れません。
とはいえ,少しでもこの事業が教育を前進させる契機になるよう進められればと,意見交換をしながら思いを強くしました。
20110903 モバイル学会
名古屋に滞在していることや,以前も参加したことがあったので,ちょうど名古屋文理大学で開かれるモバイル学会に参加してみることにしました。
何しろ今回は「大学教育におけるiPad導入」の大特集なので無視できませんでした。
—
パネルディスカッション「教育の情報化とソーシャルラーニング」は,なかなかバラエティに富んだパネリストが揃い,そのバラエティさが大変面白かったです。
あんまりバラエティ過ぎて,議論事態収拾がつかなくなりそうでしたが,私も質問をしたりしてそれぞれの方の返答を興味深く聞かせていただきました。
「教育の情報化3.0」というバージョンナンバーは,以前のエントリーで私が勝手に披露したものですが,そこで注目した「履歴」というものが,今回のディスカッションのテーマについても大きく関係するのではないかと質問しました。
パネリストの1人であるキャスタリアの山脇さんは「うちの会社は世界中の学習履歴を収集するのを目標としている」なんて壮大なビジョンを披露したり,青山学院大学の伊藤先生もビッグデータに関する研究がこれから大事と考えているようです。
一人ひとりのライフログ,ラーニングログを記録するのにモバイルデバイスは大変重要なツールだと考えると,モバイル学会でこの話題が議論されることはなかなか興味深いのではないかと思いました。
—
懇親会にも出席させていただき,パネリストの方や学生さん達といろいろおしゃべりして楽しく過ごしました。
20110902 教育システム情報学会
台風が接近してくる中,広島市立大学で開催されている教育システム情報学会(JSiSE)の大会で発表するために日帰りしました。
フューチュースクール推進事業における徳島での取組みを紹介するためですが,10分から15分くらい,いつものプレゼン資料と当日用の新規内容をお話ししました。
発表者が多かったこともあり時間が押して,あまり討論をする余裕がなかったので,質疑応答時には口を開きませんでした。
JSiSEはシステムといった機器・環境への関心の強い学会だと漠然と理解しています。この学会として,国の教育情報化事業をどう受け止めてコミットするのか,深く議論を聞いてみたいと思うのですが,今回は無理でした。
近づく台風から逃げるように名古屋に向かいました。
0829-0901 集中講義「カリキュラム論」
毎年,椙山女学園大学で集中講義を担当しています。
教職課程科目の一つである「カリキュラム論」です。私はカリキュラム分野が第一の研究領域なので,このような授業も担当しています(ちなみに第二研究領域が教育情報化分野です)。
カリキュラム論は概説を担当するような科目なので,この国の教育課程である学習指導要領から学校の授業づくりへといたる全体的な流れを概観していくことが目標の一つです。
建前部分はもちろんですが,学校現場が実際的にどう動いているのかについても,納得できるように紹介していくのも私の仕事です。
受講生は,教育とは異なる専門分野を学ぶ複数の学部から構成されています。興味関心の全く異なる受講生を相手に,カリキュラムの世界を披露しなければなりません。
—
そういうときは「やってみる」のが一番。
集中講義では「評価規準表(評価指標)」と「授業指導案」を自分で作る課題を作業します。自分で作ってみて初めて分かる参考資料の有り難み…というやつです。
最初は評価規準や評価基準を作るのは難しい,難しいと言っていた受講生たちも,続けてやっていくと楽しさや興味が生まれてくるから不思議。ハード・ファンを実体験しているようでした。
家庭科やら食育やら保健体育やら社会科やらのバラエティに富む評価指標や指導案の作成にアドバイスするのは,なかなかの綱渡りですが,一人ひとりに声を掛けて相談すると,本人が考えを整理して次へのステップを見つけてくれるので助かっています。
—
今年は私がしゃべる時間を減らして,作業の時間を増やしてしまったので,担当者的には手抜きですが,受講生的には自分で考え学ぶ機会が増えたのでプラスになったようです。
私もっと楽していいんだ…と思った集中講義でした。^_^