マルチプラットフォーム例示環境

Windows, macOS, iOS(iPad OS), Androidの主要プラットフォームを同時に例示する環境について。

大学の「情報処理」授業では、コンピュータ科学等の入門・基礎的位置づけの一般情報教育が求められているところですが、世の中で使われているものを一通り見ておくのも入り口としては悪くないはずです。

コンシューマ向けのコンピュータ・プラットフォームといえば、Windows, macOSが挙げられますし、より人々に身近となっているスマートフォンはiOSやAndroidといったところでしょう。まずはこの4プラットフォームを自在に例示できればプラットフォームの越境を視野に入れた環境は成立しそうです。

もちろん他にも、小中高への導入比率が高まっているChromeOSもあるでしょうし、Raspberry Pi等の教育用小型コンピュータにも採用されているLinuxも主要プラットフォームには違いありません。タブレット系OSとして扱えるものもあります。これらも必要に応じて例示できれば問題ないでしょう。

私の環境は…

  • M1 Mac miniのmacOS環境を基本として構築。
  • 仮想デスクトップアプリParallels Desktop上でWindows10環境を構築しOffice365等を導入。
  • macOS上で動かす画面転送受信アプリReflector4でPixel3(Android11)からのキャストを表示。
  • 画面転送受信アプリReflector4でiPhone8(iOS14)からのAirPlayを表示。

という方法を使って同じ画面に4プラットフォームを同時に例示できるようにしてあります。

使用ツール

macOS

Macには仮想デスクトップアプリParallels Desktopや画面転送受信アプリReflectorがありますので、他のプラットフォーム画面を表示させるのに便利です。

画面転送受信アプリを使えば、Windowsを基本環境としてmacOS, Android, iOSを表示させて、同じことは可能です。どちらを選ぶかはユーザー次第です。

M1 Macが登場し、ParallelsもReflectorもAppleシリコン対応となったため、基本環境としてファンも回らず余裕で対応できるようになりました。パソコンをMacだけにでき端末台数的に少なくできる点もメリットなので、私はMacを使っています。

Windows

Parallels Desktop等の仮想デスクトップ環境でWindows10を動かしています。

こうすると授業例示用の環境と普段遣いしている環境を分けることも可能な点がメリットです。デメリットは仮想Windows上で負荷の高い作業をすることは奨められない点があります。そのようなニーズが多い場合は基本環境をWindowsにしたほうがよいでしょう。

Windows用の画面転送受信アプリReflectorがありますので、macOS, Android, iOSをWindowsで表示可能です。

M1 Mac用Parallels Desktopで動くのはWindows10(ARM64)のInsider Preview版です。正式なOffice365をインストールすることができますし、無茶なことをしなけれけば基本的なことは従来同様に動作しています。(参考情報

Android

私が利用しているのはGoogle Pixel3です。

Androidスマホを例示教材として利用する際には、どのメーカーの機種を使うのか、どのAndroidバージョンを使うのかは悩ましいところです。

Androidのバージョンは現時点で、最新が11ですが、インストールされている割合が多いのは10だとのデータもあります。同じバージョンでもメーカーによってアレンジされている場合もあって、見た目や機能もいろいろです。

Pixelは、Androidを開発しているGoogle社が出しているのでリファレンスとして位置づけられていることや、素のAndroidということもあるので選びました。といっても、教材のためというよりも個人利用のために購入したもの(お古)の転用です。最新機種でないのは、そういう理由です。

Pixel3の画面転送(画面のキャスト)機能は、あまり高画質ではないため、転送した画面は拡大しながら見せることが大事になってきます。解像度問題を解決したい場合はLetsViewを使う方法もあります。これだと高い解像度で転送できます。他に外部出力機能としてはDisplayLink規格が利用できますが、そうなると例示するには別にアダプターを用意した上で画面切り替えする方法になってしまいます。

画面のキャスト機能はWiFi利用を前提としていますが、WiFiだと接続不安定で切れてしまうこともあるため、BelkinのUSB-C to LANポート変換アダプタで有線接続しています。

WiFi接続状態で画面のキャスト機能をオンにしてから、アダプタを接続するとWiFiから切り替わって有線接続できます。切り替わる前に画面キャスト機能をオンにしないと「WiFi未接続」表示が出てボタンが押せなくなります。その場合は、設定アプリの「接続済みのデバイス」から「接続の設定」メニューでキャストするデバイスを選択し直します。

LetsViewもWiFi前提なので、一旦WiFi接続状態で双方を認識させてから有線接続に切り替える必要があります。

iOS

私が利用しているのはApple iPhone 8です。

これも個人利用していたもの(お古)の転用です。教材として動かすには十分な性能を持っています。iPhoneやiOSはモデルやバージョンで大きな違いはないので、なるべく新しいものを用意すれば特に悩まずに済みます。

画面転送機能のAirPlayは少々クセのある規格ですが、iPhone上で動画再生などしなければ素直に機能してくれます。画面転送受信アプリによっては転送画面の解像度を選択できるので、高解像度のハッキリとした画面表示が可能です。

WiFi接続だと接続不安定で切れてしまうことがある点は他のものと変わらずなので、BelkinのLightning to LANポート変換アダプタを使って有線接続しています。

アプリ

Googleのサービスを利用しているので、GoogleクラスルームやWorkSpace関連を入れてます。

それ以外にも各社の同様なアプリを比較のためにインストールしておきます。Officeアプリはすでに一つにまとまっていますが、一応単品版も比較のため配置しておきます。

遠隔で情報処理演習

職場で「情報処理」という演習授業を担当しています。

コンピュータ入門といった授業なので、大学の勉学で必要となる基礎知識と事務系ソフトの操作演習、プログラミングの触りを紹介するといった内容です。

残念ながら、それほど先進的な内容ではないし、パソコン教室を前提とした諸条件や環境で、一斉演習に縛られがちなことも弱点かなと思います。

そんな情報処理の演習授業もコロナ禍の影響を受けて遠隔授業となっています。

学生たちの操作を直に支援できないし、パソコン教室前提とやってしまったことが裏目に出て、パソコン所持している学生の少ないことが祟り目となり、情報処理演習が遠隔になるなんて悪夢にも思えるところですが、私にとってはパソコン教室から解放されるチャンスとなりました。

パソコン教室は雑にしつらえられたWindowsオンリー環境で、ソフトを起動するとユーザー登録ダイアログを毎回表示したり、使いやすい設定に調整されないまま凍結されていて、さらに某社のPC教室支援システムはまともなパフォーマンスを発揮しないお荷物状態。どんどん使いたくなくなる環境でした。

学生たちは確かに実際に操作できるんだけども、例示がうまく把握できないまま混乱のもと使いにくい条件で操作を続けるので、逆に何やっているかわからないままなことも頻発。指導者の力量不足が主要因である指摘は甘受するにしても、どうしても一対多の演習授業で距離が遠くなっていました。

遠隔授業になって、学生たちの演習環境は乏しくなりましたが、その分、例示と解説がぐっと手厚くなりました。

自前のシステムを例示用に使えるため、Windowsオンリーだった内容が、MacとWindowsを同時並行してみせるだけでなく、スマートフォンとも比較しながら例示できるようになりました。

動画配信なので、例示画面や解説の声もぐっと近くなり見やすくなります。自前システム(普通のMacですが…)だと自由自在に画面を拡大縮小できるので、注目して欲しい部分を拡大し、ポインタで強調することもできます。

「何やっているかわからない」という反応がグッと減りますし、ほとんどの学生が持っているスマートフォンで実演するので、そんなことができるのかという驚きと実際にやってみたいという気持ちを高めているようです。

クラウドの仕組みを理解するのは時間がかかりますが、パソコンで編集したものがスマートフォンでも閲覧することができるといった連携の便利さを実感できれば、実務での利用にもその感覚はプラスに働きます。

実際のところ、学生たちは対面による演習授業も求めているので、複合型で進められるとよいのですが、そのためには各自がパソコンを所持する状況に転換することが必要かなとも思っています。

GIGAスクール時代となり、一人一台は当たり前になりつつありますので、大学での情報処理演習といった入門的授業は、よりコンピュータ科学的な専門性を高めるか、あるいは複数プラットフォームを自在に横断するといったより高度な実用スキルを身に付ける方向などに進化していくことが求められるのかなと思います。


ちなみに自前システムは…

  • macOSをベースに…
  • Parallels Desktop上で動作するWindows10
  • Reflector4で画面受信するAndroid
  • Reflector4で画面受信するiOS

といったところ。M1 Macになって、これらがファンも回らず軽々動作するようになったので、ますます便利です。

Appleデバイスを下取りに出した

Appleデバイスが明確に世代交代時期を迎えている。先日は、M1世代のマシンとして新型のiMacとiPad Proも発表され、

私自身、多数のAppleデバイスを保有してきた。旧モデルは手元に残して、一部は教材用に活用したり保存していた。実家にはポリタンクと呼ばれたG3 Macや、いまでもデザインが語られるG4Cubeが残っているし、iPhoneやiPadもいろんなモデルが家や職場のあちこちに置いてあった。

冒頭書いたようにAppleデバイスが大きなスパンで世代交代期を迎えていることもあるので、そろそろ下取りしてもらえるAppleデバイスに関しては下取りに出そうかと思った。

Appleの下取り関連Webページはこちら。

もう値もつかない旧機種はまた別の機会にリサイクルに回すとして、値がつくものは今のうちにAppleに下取ってもらうことにした。

今回はiPhoneの旧モデルを3つ、たまたま訪問する機会があったので店舗に持ち込んだ。スタッフの方も特に戸惑うこともなく下取り手続が始まった。あらかじめApple IDからのサインアウトと端末リセットをかけておけば、あとは店頭で端末番号などの確認をして下取り可能かどうかをチェックするだけ。問題なければ見積金額分のApple ギフトカードが発行される。

金額はそれほど期待できないが、ちょっとした買物の支払の足しにはなった。


事のついでにiPhone3Gを見つけたので、久し振りに起動してみた。

とにかくサイズが小さくて、iPhone12 miniとかよりminiサイズ。このサイズで、この動作速度でよくもまぁ熱狂的に入れ込めたなぁと思う。でも、今でもなんだかマジカルな魅力を放ってもいる。

それとiPod nano(第7世代)も放ったらかしていたものをもう一度使い始めてみた。

Apple Musicとかのサブスクリプションには対応しないので、音楽プレーヤーとしては時代遅れになっているけれど、昔のライブラリを聞く分には問題ない。手動ならば普通にAirPods Proと接続することもできるので、非常にコンパクトな音楽リスニングデバイスのセットにもなっている。意外とクールかも。

教師のバトン

2021年3月26日から開始された「#教師のバトン」プロジェクト。

文部科学省による官製プロジェクトとしては異例なほど注目の的となり、学校の先生たちの仕事にまつわるツイートが玉石混交問わず集まり続けている。一種のゲートウェイ(接合点)のようなハッシュタグとなった。

幾度か、そこで展開している事態や現象について論じてみようかと思ったりもしたが、著名人たちが首尾よく反応してポジションオピニオンを記すのを見て、その気持ちもすっかり萎えてしまった。

このプロジェクトにアドバイスをしているであろう人々の生真面目さも、当事者の自作自演的な構造から脱する回路が認められないところを見せられると、何かを言って傷つけるより、そっとしておいてあげるのが一番という気にもなる。

ハッシュタグを検索すればツイートを参照することができる。 https://twitter.com/search?q=%23教師のバトン

2021年4月11日22:30すぎで2万6千のツイートがなされたと記録(Yahoo!リアルタイム)で見ることができるが、魚拓のためTogetterで収集されたツイートは3万を超えている。ツイート収集条件やリツイートの扱い、すでに削除されたものなどの数え方の違いもあると思うが、とにかく3万ツイートは超えて現在も増加中である。

感情の割合グラフは、単語の分類にもとづいた単純な判定だと考えられるので、ツイートそのものがポジティブなのかネガティブなのかを分析したものではないと保留を付けたほうがよい。とはいえ、実際にツイートを参照していったときの印象をわりと齟齬なく表した割合とも感じられる。

ツケを払う時期が来ていることは明らかなのだが、払うだけの懐が用意できていないのも事実。取り組む順番にこだわっている余裕はないはずだが、順番を飛び越せるほど単純な仕組みでないのもまた事実。意地を張っている場合でないことは誰もがわかっているけれど、誰かのプライドが許さないだけで動けないことがあるのもまた現実。

解法は一つではないし、自然解決することもないなら、考え続けるしかない。そのための素材が差し出されている。

今年のエイプリルフールネタ裏話

今年のエイプリルフールはネタはこれでした。

本物はこちらで公開されているもの…


説明が必要なジョークほど野暮なものはないので、正直ネタとしては失敗だったと思います。しかも、前日には有識者会議の中間まとめも登場していて、ネタがちょっと埋もれた感じになってしまいました。関係する議員連盟でも教育データの話題で盛り上がっているようです。


製作作業としては、PDFファイルをAdobe Acrobatで読み込み、PowerPointファイルとして書き出したものを編集するかたちで進めました。表紙タイトルの文字フォント指定をちょっと間違っちゃったのを除けば、まあまあそのまま。

本来であれば、もっと笑える側に振り切るか、辛辣な皮肉側に振り切るかすべきでしたが、準備時間も多くはとれなかったので、小手先編集で終わったネタでした。可能であればご笑覧ください。