今年1年

2016年もお世話になりました。

ブログの更新が滞りがちになったのは残念でしたが,2016年も本当にいろいろありました。

1月に予想していた「教育とオープンデータ」の波のようなものは,残念ながら今年やって来ませんでしたが,大事なトピックスであり続けるとは思います。

360度カメラに関しては,VRが世間的にも注目を集め始めた年でしたので,徐々に盛り上がってきているのは確かです。Insta360 nanoの登場で,iPhone経由の共有もかなり手軽になりました。まだプラットフォーム側の対応が追いついていないという感じですので,これも今後少しずつ充実すると思います。

2月は昨年度から参加しているICT活用教育アドバイザー事業の仕事や,職場で担当している実習訪問などこなしていました。

というよりも,この1〜3月は「研究室のお引っ越し」という一大イベントが進行していて,外部仕事がない限りは,ひたすら研究室の掃除と荷物整理と梱包をしていました。とにかく体力勝負の日々だったと思います。運搬はプロの運送業者がやってくれましたが,梱包と開封と研究室の整理は一人でコツコツと。なんとか引っ越しができたわけですが,それ以外は何もできなかった年度末でした。

3月は,そういうわけでお引っ越し作業。

4月は,新しい研究室で始動したわけですが,職場での担当が新しい入学生の担任となり,新1年生達のサポートをする日々でした。引っ越したばかりで,あらゆる仕事の段取りが停滞気味。授業の方も自転車操業的な感じでした。そういう事情はお構いなしに厄介事も降ってくるし,とにかく慌ただしく始まった新年度でした。

5〜6月は,外部からの依頼仕事や出張も賑やかで,一段と落ち着きがない期間でした。「Get Active」という文献の翻訳作業も同時進行。これがなかなか作業に集中できず,相変わらず周りに迷惑をかけました。

7月には,高松でセミナー,教育と情報の歴史研究会,滋賀県への出張,鳴門教育大学での非常勤講師,日本教育工学会のワークショップ,前期試験,関西教育ICT展への参加,教員免許更新講習の担当などなど,準備が必要なものばかりなのに準備する余裕のない日々が続き,眩暈が…。

8月は,とうとう国外脱出です。とても久し振りに米国へ渡航しました。妹家族が住むアリゾナ州へ。実家の両親のお供でしたが,強制休暇です。

米国では,家で過ごすか,モールへ出かけてApple Storeでお買い物するかだけでしたが,米国の空気や雰囲気を直接感じられたのはよかったです。大統領選挙の行方が今のようなことになるとは,その時は誰も予想だにしていなかったと思います。ただ,クリントン候補がかなり嫌われていたことは印象に残っています。

9〜10月は,ようやく通常運転が始まり,後期の授業開始。それとともに出張も11月も含めて出かける機会が多かったです。そうこうしているうちに12月になり,今に至るという感じでしょうか。

とにかく,研究室引っ越しという大きな出来事があって,そのまま年度が始まった慌ただしさで駆け抜けてしまった1年でした。自分で振り返ると,何もしなかったんだなぁという感じですが,たぶん丁寧に拾えば,何かしていたとは思います。それはまた時間があるときにゆっくりと整理を。

20160805 関西教育ICT展での講演

 慌ただしい夏の日に,大阪で行なわれた「関西教育ICT展」に出かけました。かつてフューチャースクール推進事業に関わったことがあったので,そのときのことを踏まえた話をして欲しいとご依頼を受けたからです。

 「過去〜現在〜近未来の教育とICT」と題したミニ講演は,東芝ブースのステージで1回だけ披露させていただきました。だいぶ前に流行ったバージョン番号表現を,実際の歴史的変遷に重ねたうえで教育の情報化水準として位置付け,それを手がかりに過去・現在・近未来をお話した次第です。

 

スライド中に出てくる図はこちらです。
http://ict.edufolder.jp/archives/758

 講演の中では小学校低学年の国語「おてがみ」(アーノルド・ローベル氏の『ふたりはともだち』に収録)という作品を扱った授業でのタブレットPC活用を紹介するとともに,講演全体のモチーフも現代のおてがみである「メール」を出すためにはアカウントが必要であるといった風に構成したものでした。

 教育の情報化水準でいえば,機器の整備はせいぜい2.x水準をうろついているに過ぎず,これらを本当に活用するためには個々人のアカウントを運用する必要があり,これをちゃんとやることが3.x水準なんだというお話です。

 すでに現実の生活では,あっちこっちに登録をして,1人何十アカウントを持っているというのは珍しくないこと。そうした状況に対応するための知識・技能を養うためにも,そもそも学校教育で個人アカウントを運用するということを考えてもよいのではないかと思うわけです。そうすることで逆説的には2.x水準の情報化にももっと様々な可能性が広がるのだろうと思います。

昨今の動き

次期学習指導要領にかかわる策定作業は進行中で、先日(8/22)もこれまでの審議のまとめが公表されました。

20160819 教育課程部会 教育課程企画特別部会(第20回)配付資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/053/siryo/1376199.htm

これに対する読解や解説も少しずつ見られるようになってきました。「学びの地図」といった言葉も登場し、某紙では次期学習指導要領がいかに新しい試みであるかを論じていました。

一方で、次期学習指導要領が射程に入れている時代のあるべき学校教育とは何なのか、別の角度から検討提言する動きもあります。例えば、国立情報学研究所は、あらためて読解力に関する現状を把握した上で、その向上策を模索しようとしています。

文章を正確に読む力を科学的に測るテストを開発/産学連携で「読解力」向上を目指す研究を加速
http://www.nii.ac.jp/news/2016/0726/

これからの世界と渡り合うために必要な資質・能力の育成のために学校教育の大胆な変革が求められているという認識が広まっている一方、その変革に必要な基盤そのものが瓦解していたという現実をも直視せざるを得なくなっているのが現状です。

これを学校におけるカリキュラム・マネジメントによって乗り越えることができるのか。もちろん乗り越えなければなりませんが、よりによってマネジメントレベルの話を武器に議論が展開さているのは、旧式のエンジンによる力業で押していこうとするように見えます。エンジンの喩えで表現するなら、今必要とされるのはもっと繊細な制御が可能なエンジンのはずです。

もちろん国家基準の策定作業における議論は大味にならざるを得ないことは仕方ありません。そう考えると、受け止める側、変わらなければならない側の学校とその成員がどれだけ踏ん張れるのかということが、そのための支援が重要になってするのだと思います。

夏のあれこれ

 滞っている研究室ブログの更新を再開していこうと思います。

 7月後半から8月初旬は、大学授業の前期締めくくりと、公立学校が夏休みに入るということもあり、いろんな催事とそのお手伝いをする仕事、および夏期の講習関係の担当など、盛りだくさんでした。

 その後、私的な米国渡米で不在をしていましたが、無事に帰国もできたので、少しずつ通常営業に戻しつつある日々です。

 様々なドタバタがあり、最新動向のキャッチアップもできていないので、しばらくは浦島太郎状態で、勉強のし直しです。

今年もICT活用教育アドバイザー

 昨年度(平成27)は,文部科学省「ICT活用教育アドバイザー派遣事業」に関わって,ICT活用教育アドバイザーとしてお仕事をしました。

 臨機応変に仕事をさせてもらえたので悪い印象もなく(逆に言えば好き勝手してご迷惑をおかけしたので私の悪評は増したと思いますが),断る理由がなかったので今年度もアドバイザーリストに名前を連ねることになると思います。(今年度の関連ページ

 とはいえ,昨年度の仕事について,事業全体の視野で考えをまとめることができていないのは残念だったので,今年度はもう少しその辺の考えを深めたいと思います。

 ちなみに,昨年度の仕事は,次のような報告書にまとめられています。 

「地方自治体の教育の情報化推進事例―ICT活用教育アドバイザー派遣―」報告書
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1370125.htm  

 この報告書は「自治体の持つ課題」を7つに類型化して掲載しています。

  1. ビジョンや目的が明確でない
  2. 推進計画が立てられない
  3. 推進体制ができていない
  4. 予算要求のための根拠が明確でない
  5. モデル事業の進め方に問題がある
  6. 調達のための知識が不足
  7. 活用推進の仕組みができていない

 この類型化は,自治体と,そこで一緒に議論した人間にとっては,少々取っ付き難いというか,何というか。自分たちのことを分析した時に「〜がない」とか「不足」とか言うのは納得できますが,初めからこう分類表現されてそこに自分たちを当てはめるとなると,心理的な抵抗感や違和感があるように思います。そのことを意見できなかったのは後悔しています。 

 一方,アドバイザーとしてのアプローチに関して,各人各様だったとはいえ,類型化のような整理が行なわれず,報告のみになってしまったことで課題として残りました。

 昨年度は事業自体に許された時間が短期間だったことも,未整理の原因でした。今年度がどうなるのかは見当もつきませんが,少しは前進するといいなと思います。

 ちなみに,ICT活用教育アドバイザーの中の一人として私が個人的に考える課題へのアプローチ項目は次のようなものです。すべての課題に対応するものではありませんが,こういう項目は確認しておきたいなと思うところです。

「現状認識の整理」
「技術的可能性の理解」
「地域としての願望整理」
「教室での利用場面を思考再現」
「鳥瞰的なシステム概略図の作成」
「国・都道府県と自治体の施策比較」
「教職員のICT環境の見直し」
「関係部局の協業体制の構築」
「関係者の継続的なコミュニケーション」

 今年度はどこかを担当するのか,しないで終わるのか分かりませんが,あれこれ心配されている教育システムに関する問題についても意識をしながら,このお仕事も考えてみたいと思います。