滋賀県近江八幡市に出かけてきました。2つの小学校の校内研修の講師役。
一つの学校では,学年毎に授業づくりを検討する前に全体に対してしゃべる機会をいただきましたが,なるべく具体的なお話をするつもりで過去の写真など見せながら話していたのに,なぜか大きな話に繋がっていっちゃう悪い癖を出してました。
自分の話はそこそこに,学年毎のグループに入り込んでお話を聞く時間をもっと確保すべきだったなといつも思います。なるべく考えを聴いて引き出す方がいい。次こそは。
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もう一つの学校では,WEB会議システム(ビデオ会議システム/ビデオチャット)を利用した学校間の交流学習に関する取り組みについて助言することに。
へき地学校と他校を結ぶためにビデオ会議システムを活用するという取り組みは,徐々に広がりつつあります。最近では,NTT西日本の企業CM「つながる教室」で紹介された「SmoothSpace」(NEC)のようなビデオ会議システムで,臨場感豊かに映像を結ぶことも技術的にはできるようになってきました。
そもそもスマートフォンにはビデオチャットアプリが標準で搭載されていますし,必要ならばSkypeといったソフトを導入することで,簡単にビデオ会議を実施できる時代になっています。
さて,4つの学校が連携してビデオ会議システムを使った交流授業を秋に予定しているが,そんなビデオ会議システムを学校で有効活用するにはどうしたらよいのか。そういうご相談です。
ところが,4校で利用するビデオ会議システムは予約制。
ビデオ会議をする日程をあらかじめ決定しておき,その日時を県の担当者の方に伝えて,ビデオ会議の枠を設定してもらい,専用のパスワードを発行してもらうという段取りなのです。
ビデオ会議を段取るだけで関係する先生方の予定調整作業負担は増えます。
それに加えて,全体の交流授業デザインは,秋に設定された交流授業に向けて準備を進め,当日ビデオ会議システムで交流することを目指した,いわゆる「打ち上げ花火型」のデザイン。その型がダメではないのですが,その型は本当にやりたいことなのだろうかと問うたとき,違うように思えるのです。
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ビデオ会議システムを学校に導入して学校間を結ぶのであれば,極端な話,24時間繋ぎっ放しにしておくことが重要です。
24時間常時接続が難しいのであれば,定期的な接続スケジュールを設定し,必要があろうがなかろうが,利用がされようがされなかろうが,ビデオ会議システムで学校間が繋がっている時間を日常ルーチンに埋込んでしまうことです。
授業時間帯かつ授業で意図的に利用するという設定にするのか,朝の会や帰りの会といった時間帯で定期的に交流するのか,休憩時間や放課後に繋げておいて比較的自由に交流することができるようにするのか。接続シチュエーションのデザインはいろいろ考えられます。
そのデザインはいろいろあるにしても,定期的に接続する,理想をいえば常時接続しておくことで,教員同士はもちろん,子供たち同士が「○○学校の△△ちゃん」といった形で他校の友達を日常的に意識する状況を生み出すことが重要なのではないかと考えます。
つまり,交流授業当日だけ単発的にビデオ会議接続をして,それぞれの学校の子供たちが取り組んできた学習成果を披露し合うという活動を成功させることが,私たちの本当の願いなどではないということ。
むしろ,ビデオ会議システムを日常利用して,他校の子供たちと日頃から生活や学習の進捗について対話を積み重ねて,関係性を育む中で,相手をより厚みのある形で意識しながら学習成果を交換し合うという活動を達成してくれることが,本当に願っていることではないかなと思うのです。
繰り返しますが,ビデオ会議は簡単にできる時代になりました。
残る問題は互いの予定調整ですが,これは定期的に接続するというルールによって習慣化することで解決できる問題です。毎回が,いつでも濃いやりとりになる必要はありません。何も扱う案件がなくて,挨拶だけで終わる回だってあり得ます。話が脱線して,グダグダになる回もあり得ます。それでも定期的に接続し続けるという中で,「あ,今度のビデオ会議のときに,これ投げかけてみよう」とか「○○学校の△△さんに聴いてみよう」という場面を生まれれば,それがビデオ会議システムのある学校生活なのです。
もちろん,トラブルがないとは言いません。
そう考えれば,最初から子供たちに自由に使わせるといった放ったらかし利用では,うまくいかないことは明白です。何かしらのコーディネーションやシチュエーションデザイン,より良い利用を誘発するような仕掛けを準備しておくことになると思います。
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もっとも,学校のインターネット回線では,ビデオ会議システムをフィルタリングで停止している自治体もあるため,自由に学校間を接続することができない場合も少なくありません。その場合,先生方の個人所有のスマートフォンで接続した方が楽という状況を生んでいます。
そういう本末転倒な状況を生んでいる自治体は,いずれ根本的な見直しが求められる時期がくるでしょう。セキュリティポリシーをガイドライン通りに厳しく策定するだけで,利用者の利便性を配慮する仕組みを入れないままでは,そもそも何のためのネットワークなのか,根本が問われてしまいます。
ビデオ会議システムのある学校生活は,すべての学校に必要だということではありませんが,それを必要としている学校がストレスなく日常利用できるように仕向けていくことは大事だと思います。