変わらざるを得ない学校教育の守備範囲

平成29,30年改定の学習指導要領にもとづく学校教育への移行が準備され,段階的とはいえ来年度から本格実施となります。

私自身はもともと,教育内容研究の学徒としてこの道に紛れ込みましたので,研究対象として学習指導要領改訂を追いかけてきました。

ちょうど平成元年改訂の「新しい学力観」に始まり,平成10年改訂「生きる力」,平成20年改訂(21世紀に対応する生きる力の深化)を経て,平成29年改訂「資質・能力(コンピテンシー)」を同時代的に眺めてきたことになります。

個人的所感になりますが,学習指導要領は常に「新しさ」を盛り込んで改訂されてきました。とはいえ,いわゆる法的拘束力をもつ存在として,自由闊達な教育の創造を促すというよりは,それに従うことによって新しさを出していく傾向を引きずってきたのだと思います。

学校関係者の献身的な努力によって,これまでは「新しさ」への追従もなんとか体面を保っていたわけですが,今後の学校教育を学校関係者だけの努力で運営していくことは限界に来ています。

まして平成29年改訂は,学習指導要領の捉え方自体を根本的に変更しました。

単に「新しさ」を追従するだけのやり方では,学習指導要領が目指しているもの自体を台無しにしかねないのです。

これからは,外部の地域社会の人々とも関わりを増やしながら,努力のエネルギーを創造的な方へ向けていくことが求められています。

しかし,学習指導要領には創造的な方向が「具体的に何を目指すのか」までは明記していませんから,それを学校関係者が地域社会を巻き込んで考えていかなくてはならないという課題が立ちはだかります。

そのような課題に取り掛かる経験した学校関係者は正直多くありません。

教師教育(教職員研修)や教員養成の領域も,この課題に立ち向かうためどうすればよいのか,これまでの取り組みの見直しを迫られているわけです。

過日,PISA2018の調査結果が公表されました。

様々な報道や分析が飛び交い,PISA読解力の順位低下に注目してデジタル・スキルの弱さを指摘するものや,報道記述の紋切り調を論難するもの,様々な要因が絡みあった結果だと考えるものなど,様々です。

私はたまたまタイミングよく,OECDのPISA調査結果発表カンファレンスの様子を動画ストリーミングで視聴していました(録画を見ることができます)。

OECD事務総長のグリア氏によって概要が発表された後,OECDの教育・スキル局長であるシュライヒャー氏が調査結果について解説をし,よき変化のあった国々の責任者が招かれてコメントをしています。

発表会ですので,調査結果の順位や点数の分析に言及していることは当然なのですが,むしろ,そこで語る人々の熱量は「よりよき日常生活」のために結果をどう受け止めて何に取り組むのかに多く注がれていました。

動画内に写る登壇卓にも記されている言葉ですから,OECDのキメ文句だとは思いますが,「BETTER POLICIES FOR BETTER LIVES」という言葉を彼らは臆面もなく強い口調で訴えるのです。

シュライヒャー氏も分析結果を背景とともに紹介しながらも,基本はこれからの時代に各国の教育が何を目指すのかが大事であるとの姿勢は崩していませんでした。『教育のワールドクラス』に著されている通りです。

アプローチは様々あるにしても,基本的には子どもたちのウェルビーイングを高められるよう「教師」が専門性を発揮できるようにする必要があり,そのためのサポートを各国がポリシーとして位置づけていくことを重視しているのです。

では日本の子どもたちや私たちの「ウェルビーイング」とは何なのか?

人生の満足感や質を高めるとか,人生の満足感や質を高めることを促す教育学習活動とは日本において一体何なのか?

教育に関わる人間どころか,一般市民でさえ,まともには語り合えていないテーマについて,学校教育関係者は専門性なるものを発揮して取り組まなければならない…と言われているのです。

情報時代の学校をデザインする』を著したライゲルース氏たちは,学習者中心の教育への転換のために6つのアイデアが必要だと論じています。

1. 達成ベースのシステム
2. 学習者中心の指導
3. 21世紀型スキルを含む広がりのあるカリキュラム
4. 教師,学習者,保護者およびテクノロジーの新たな役割
5. 調和ある人格を育む学校文化
6. 組織構造,選択,インセンティブ,意思決定のシステム

6つと言いながらも中身は多様な内容です。率直に言えば,新しい私立学校をつくるでもない限り,6つを実現するのは容易ではないと思います。

しかし,強いて何から取り組むことが公立学校の教職員に可能なのかと考えると,「4」の新しい役割を認識することからではないかと思います。そこから「2」を再構築し直したり,「1」を導入したり,やがて「3」や「6」が必要になって,「5」が生まれるとイメージしつつ,実際の順番にこだわらないことが必要なのでしょう。

大事なのは,学校設置者である教育委員会や基礎自治体の全部局,地域社会全体が当事者としてコンセンサスを持つことです。必要があればコミットできる状態をつくることでしょう。

人々が分断したまま,慣例的に自動化された手続きによってだけ運用されるような地域社会には「ウェルビーイング」は生起しないということです。

もちろん,日本のムラ社会的な仕組みは,郷に入っては郷に従うことで得られるメリットがたくさんありました。その善さをすべてスポイルすべきとは思いません。それがウェルビーイングの選択肢としてコンセンサスを得られるのなら,納得できる持続可能な方法で目指せばよいと思います。

ただ,やはり時代が進み,世界的な視野を必要とする世の中になってきて,なんの見直しも再検討もなしに従来の仕組みを継承することは難しくなっている。それが学校教育の守備範囲を変えざるを得なくなっている事情でもあると思います。

少し前にもてはやされた「反転学習」という取り組みがあります。

授業でやっていた習得学習と家庭に持ち帰っていた課題学習を「反転」させて,家庭で動画教材などを活用して習得学習してもらい,授業で課題を取り組みながら教師や仲間の学習者との協働学習を深めてもらうというアイデアを出発点にした学習形態です。

しかし実際には,名前ほどキレイに反転したやり方の取り組みはハードルが高く,その上,話題を集めた当時は動画教材の活用などがワンセットで取り上げられがちであったため,敷居の高さを感じさせてしまいました。

先行して取り組んだ学校や教員の方々は,事前の教材研究や準備の大変さを乗り越えて,蓄積された学習教材リソースを元手に現在も順調に取り組みを進展させているのですが,その山を越えられなかった人々や世間の関心はサーッと引いてしまった感はあります。

日本での「反転学習」の現実的な受容のされ方は,反転ではなく,「前倒し学習」と呼ぶべきもので,もしかしたら,そのようにネーミングを変えて理解の浸透を目指すべきだったのではないかとも思われます。

学習を前倒すことによって,何を実現させようとしているのか。

そう考えた時,平成29年改訂の学習指導要領が目指している「社会に開かれた教育課程」とは何か。延いては社会とともにある学校教育の姿というものを新たに描かざるを得ない理由も見えてくるのかも知れません。

だいぶ長くなりました。続ける前に一区切りつけたいと思います。

学校教育におけるアカウントを考える

学校における1人1台情報端末のための予算確保が進行しています。

基礎自治体や都道府県・政令都市の自治体は,学校で多数の情報端末が常時稼働する状況に対応できるよう,学校教育のハードウェア(校舎等の施設設備や機器等の備品に関わる環境整備),ソフトウェア(今後の学習活動および情報環境の運用に必要なスキルまたは体制)を見直していく必要があります。

このブログでは,1人1台情報端末と合わせて,1人1アカウントの整備が必要であると主張しています。

しかし,1人1アカウントと言う場合の「アカウント」とは何を指しているのか。また,それを実現するにはどうすればよいのかについては,現実のサービスに依存する点も多く,あまり明確にはしませんでした。

とはいえ,そこまで強く主張するのであれば「学校教育におけるアカウント」とは何であるべきか,どうあるべきかについて考えを巡らして整理する必要はあります。

このブログで「アカウント」と呼称しているものは何を指しているのか。

実は,幅を持たせるために曖昧なままに使用していました。考えられる対象は以下のものです。

  1. メールアドレスの登録(メールアカウント)
  2. ネットワークストレージサービス(例:Dropbox等)の使用権利登録
  3. アプリケーションソフトウェア(例:Word, Excel等)の使用権利登録
  4. クラウドサービス(例:G Suite等)の使用権利登録
  5. 個別の情報端末管理のための登録(例:Apple ID等)
  6. 学習サービス等利用認証のための登録(例:まなびポケット)

これらを「アカウント」という言葉でひっくるめて考えていたことになります。

【1. メールのアカウント(メールアドレス)】

メールアドレスの所持は,インターネットを本格的に利用するために必須といえます。

社会的な活動(たとえばビジネス)を積極的に展開する際には,他者からの連絡を受付ける方法として,従来の電話やファックスに置き換わるほど重要となっています。

これまでの学校教育は,教職員に個別メールアドレスを割り当てることを重視してきませんでした。

「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」では「教員のうち、メールアドレス付与人数」として調査がなされていますが、教職員87万人に対して付与人数59万人となっており、約6割には付与されているものの全員に付与されているわけではありません。

多くの場合,「学校の代表メールアドレス」が用意され利用されていますが,教職員個別のものはあまり利用されていないようです。

そのため,学校の先生が学校外の協力者と連絡を取る場合,電話・ファックスか,「個人で取得したメールアドレス」を利用するというパターンになっています。

教職員個別にメールアドレスを付与して活用している自治体もあります。

先進的な取り組みをしている自治体は独自に整備しているため,市町村レベルで発行している場合もあれば,都道府県レベルで発行している場合もあり,その実現方法もバラバラな状況です。

学習指導要領が「社会に開かれた教育課程」を標榜し,今後の学校教育が地域社会との繋がりを今まで以上に強めることが期待されている流れにあります。にもかかわらず,個々の教職員が基本的な連絡ツールとなっているメールアドレスを付与されていない状態は,この時代のICT整備としては不十分といわざるを得ません。

メールアドレスを具体的にどのように運用すべきか(外部に公開すべきかどうか等も含めて)は,それぞれの教育委員会や学校で検討すべきことだと思いますが,メールアドレス整備は必須と考えるべきでしょう。

・メールアドレス整備は,教職員の異動を踏まえて「都道府県単位」で整備する
・教職員には,対外用,校務用,授業用,児童生徒と同ドメインなど複数使用を検討する
・児童生徒は,学習に用いるソフトやサービスの利用のために整備する

【2. ネットワークストレージのアカウント】

教職員は校務関係の文書保存,児童生徒は学習活動の成果保存を主な目的としてネットワークストレージ(クラウドストレージ)を利用することが考えられます。

学校内に「ファイルサーバー」を用意する形式と,学校外の「クラウドストレージサービス」を使う形式が考えられますが,ネットワーク環境が十分整備されることを前提とすれば,クラウドストレージを利用することにはいろいろメリットがあります。

校務用と学習用で分けて考えなければなりませんが,クラウドストレージを使うと,自分が所有している複数の端末からデータを読み書きできたり,同じグループに所属しているメンバーと共有することが容易となり,校務や学習で便利に使えます。

具体的には「OneDrive(Office365)」「Google Drive(G Suite/Google for Education)」「iCloud Disk(Apple)」「Dropbox」といったクラウドストレージサービスが存在します。

このうち「OneDrive」と「Google Drive」は【4.】で触れるクラウドサービスの一部として提供されているため,その他のサービスと連携して利用することが可能です。

「iCloud Disk」はApple社の情報端末を導入した際に利用できる独自のストレージサービスであり,複数のApple製機器を連携させる場合などに便利になっています。

「Dropbox」はクラウドストレージに特化したサービスであり,様々なアプリやソフトと幅広く連携していることを特徴としています。

・クラウドストレージは,障害発生時のためのバックアップ用ファイルサーバーと組み合わせて導入する

【3. アプリケーションのアカウント】

これは従来から「使用ライセンス」と言われているものとほぼ同じことを指しています。

オフィス業務用ソフトウェアとして知られているWord, Excel, PowePointといったOfficeソフトは,使用ライセンスを購入することが前提となっています。

昨今では,サブスクリプションという形式(Office365)で契約し使用ライセンスを確保するようになっており,さらにクラウドサービスとの融合が進んでいるため,【3.】は【4.】に含まれるようになっています。

・様々なアプリケーションを利用するための登録に必要となるのでメールアドレス整備はやはり必要
・Office365はアプリケーションソフトは強いが,クラウドサービスはまだ弱い

【4. クラウドサービスのアカウント】

ここ数年で,インターネット上のWebサービスがかなり実用的なレベルに達してきました。

クラウドサービスとして知られているのは「G Suite(Google)」でしょう。

主なサービスだけでも「検索」「Gmail」「マップ」「カレンダー」「ドキュメント」「スプレッドシート」「スライド」「フォーム」「サイト」「フォト」「Keep」「ドライブ」「翻訳」「クラスルーム」といったものが用意され,Webブラウザから利用できます。

アカウントを持っていれば,Webブラウザの動作するいろんな端末から利用が可能なのです。

もちろん,すべてのサービス機能を利用する必要はありませんし,必ずしも,すべてのサービス機能が万能でよく出来たツールということではないのも事実ですから,「G Suite」で完結するのではなく,必要に応じて他のサービスと組み合わせることになると思います。

Googleほどではありませんが,オフィス系のサービスを中心としたものであれば「Office365」もクラウドサービスの一つといえます。

・G Suiteは多様なサービス機能を包含したオールインワンなクラウドサービスで便利である
・個別のサービス機能に特化したクラウドサービスも様々あるので,適宜利用可能にすること
・教職員は教師用アカウントだけでなく,児童生徒学生用アカウントも同時付与されるのが望ましい
・都道府県レベルで整備することで,アドレス変更することなく教職員の異動による移行作業が可能

【5. 個別情報端末管理のアカウント】

昨今の情報端末は,ほとんどが管理運用のためのアカウント登録が求められます。

Windows端末(Surface等)の場合はWindows10上でマイクロソフトアカウントの登録を求められます。Apple製端末(iPadやMac等)の場合はApple IDというアカウントの登録を前提としています。ChromeOS端末(Chromebook等)の場合は,Googleアカウントの登録が必須となります。

こうした端末管理のためのアカウント登録によって,情報端末の設定情報がバックアップ保管されたり,情報端末同士のやり取りがスムーズ化されたり,情報端末の位置情報をもとに所在を特定することができたりもするのです。

個人利用として端末を導入するのか,組織(法人)利用として端末を導入するのかによって,端末管理アカウントに対する扱い方はガラリと違ってくるため,ここで細かな検討を加えることは避けます。

一括導入される「学校における1人1台情報端末」を管理するのは誰なのか?

個人個人の教職員・児童生徒に完全に管理を任せてしまうのか,それとも,端末機器自体の管理は学校や教育委員会が行ない,教職員・児童生徒はその上で自身の利用する範囲だけを管理するのか。

そういったことも端末を選択することと同時に決定しておかなくてはなりません。

・Apple IDは情報端末と結びつきが強いため。端末機種を超えた利用を前提したい場合には使えない
・マイクロソフトアカウントはOffice365アカウントとして,端末機種を超えて利用することはできる
・Googleアカウントはクラウドを前提としているので,端末機種を超えて利用するのに向いている

【6. 学習サービス等認証用のアカウント】

ここまでのアカウントは,いずれもメールアドレスをベースに考えることができるものでした。

ネット上の学習サービスを利用する際,その登録や認証を簡便化するための仕組みがあります。その技術が「OpenID」と呼ばれるものです。アカウント登録は一つだけ,そのアカウントを他のサービスの認証にも利用できるようにするものです。

たとえば,すでに「Googleアカウント」や「Office365アカウント」を登録してあれば,その登録情報を利用して,対応している個別のサービスを利用開始できたりします。あらためて新規登録する必要がありません。

さらに,この「OpenID」技術を利用すれば,一度ログインするだけで提供元が異なる様々なサービスを切り替えるだけで使えるようにもできます。これは「シングルサインオン」と呼ばれたりします。

たとえば「まなびポケット」というサービスは,このシングルサインオンの仕組みを利用したもので,まなびポケットのサービスにアクセスするだけで提携している異なるサービスを一つのメニュー画面から自由に行き来できるようになります。

本来であれば「まなびポケット」が認証サービスを外部にも開放してくれると,様々なサービスがそれに対応することができるようになりますが,いまのところそうなっていません。

・ログイン手続き(アカウント認証)を簡便化するための仕組みがGoogle,Office365にはある
・教育用クラウドプラットフォームを標榜するものは,学びポケット以外にもClassiなどもある

以上のように「アカウント」という言葉が指すものはいろいろあります。

これらのアカウント機能の多くに対応しているものは何かを検討した時,候補としてあがるのは「Googleアカウント」または「Office365アカウント」ということになります。

この2つのクラウドアカウントは,すでに大学や一部の地方自治体で導入実績もあり,そういう意味で選択肢として挙げても問題は少ないと考えます。

さて,こうしたクラウドアカウントを導入するには,どうしたらよいのでしょうか。

そもそもクラウドアカウントを現存するサービスに依存することは問題ないのか等,いろいろ考えなければならないことがありそうです。

・誰がどの範囲で契約し,付与したアカウントを管理運用していくのか?
・クラウドアカウントの契約先を切り替えることは可能なのか?
・蓄積したデータの取り扱いを民間企業に任せてよいのか?
・卒業していく児童生徒,退職していく教職員のアカウントとデータをどうするのか?

などなど…。

ここでは,「誰がどの範囲で契約し,付与したアカウントを管理運用していくのか?」について,少し考えてみたいと思います。

【誰がどの範囲で契約するか?】

1.

学校設置者単位(市町村の基礎自治体単位)で整備するといった考え方もあるかも知れません。しかし,アカウントは被雇用者に対応するものであることから,雇用主体レベルで整備することが妥当に思います。

教職員の多くは県費職員として雇用され,その後,赴任する学校の基礎自治体に異動することになりますが,幾度かの異動によってアカウントが変わってしまっては,連絡ツールとしてのメールアドレスを維持することが難しくなってしまいます。

都道府県レベル以上でメールアドレスを発行管理することで,異動の際もアドレス変更なしに移行が可能ですし,小規模な基礎自治体の管理運用負担を軽減することができると考えられます。

今回,進行している「学校における1人1台情報端末」の整備が,都道府県レベルの広域一括入札などで進められるのであれば,アカウント整備も合わせて進めることがよいのではないでしょうか。

2.

もう一つ考えられるパターンは,国レベルでアカウント整備することです。

その場合,国レベルでこうした業務を行なう組織や部署を設置する必要があると考えます。

たとえば韓国にはKERIS(韓国教育学術情報院)とよばれる組織があり,韓国国内の教育向け情報サービスの運営やサーバー管理などしています。日本でいうところの国立情報学研究所のような組織です。

日本にもかつては,その業務を担えそうな「メディア教育開発センター(NIME)」とよばれる組織が存在していましたが,2009年3月に廃止されてしまいました。

国立教育学研究所は,GIGAネットワーク構想で注目されている学術ネットワークSINETを管轄している組織でもありますが,この機会に国立情報学研究所内に日本全国の教育関係アカウントを管理運営するような部署を新設するというのもありではないかと思います。

そうすることで将来的に地方に補助しなければならない予算を抑制することができるかも知れません。

【付与したアカウントを管理運営するにはどうするか?】

1.

アカウントの付与を都道府県レベルで行なう場合,多くの場合は契約したクラウドサービス側が技術的には運用し,事務的な管理や手続きなどは都道府県の教育委員会が基礎自治体と連携して行なうことになるかも知れません。もちろんその事務手続きをどこまでアウトソーシングするかは入札仕様や契約によって変わると思います。

現実的には,代理店や支援サービス事業者が,アカウントの事務管理を代行するのだと思います。これは情報端末の保守などと併せて行なわれるかも知れません。

2.

うまく設計すれば,アカウントの発行管理は都道府県レベルで行ないつつも,管理権限委譲の仕組みで,個別の市区町村(基礎自治体)レベルでアカウントを管理することが可能かも知れません。

この辺は,都道府県単位で基礎自治体の連絡協議会を立ち上げて連携していくことが必要になります。

これも学校における1人1台情報端末の整備の際に連携しておかなければならないとすれば,アカウントに関しても対象を広げて連携していくことにすべきでしょう。

以上,まだ大変ラフな状態ですが,学校利用を前提とするアカウントについて考えてみました。

ここからさらに論点を洗い出したり,洗練した上で,細かい議論を積み重ねる必要があると思います。いずれにしても,情報端末だけでなく,アカウントのことを考えるだけでも,もっと自治体同士が情報共有を行ない,自分たちが関わる学校教育でどうしていくべきかの議論を繰り返していく必要があります。

学校1人1台情報端末整備の道のり

2019年11月19日の報道をきっかけとして「学校における1人1台の情報端末配布」に向けた予算化の動きが注目を集め始めました。

2019年11月27日には読売新聞が一面で「小中学校のPC1人1台…国が無償配備」と報道。関係者の間でも,無償配備というのは一体どういうことなのか,様々な観測が交錯しました。

源流をさかのぼればキリがありませんが,この件について政府は一貫して「成長戦略」の議論の中に位置づけており,そのための人材育成を行なわれなければならないという論旨で教育現場の変革を捉えています。

令和に入ってからの動きで言えば,6月に様々な閣議決定がなされたあたりから本格的に今回の「学校1人1台端末」というストーリーが浮上してきたといえます(もちろん助走期間はさらに前から始まっています)。

関係する情報リソースを振り返りましょう。

20190606「規制改革推進に関する第5次答申」(規制改革推進会議)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20190606/agenda.html

20190606「デジタル教育環境、5年で整備=端末1人1台-規制改革会議が答申」(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019060601083

20190611「AI戦略 2019~人・産業・地域・政府全てにAI~」(統合イノベーション戦略推進会議)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tougou-innovation/pdf/aisenryaku2019.pdf



20190621「成長戦略実行計画(閣議決定)」(日本経済再生本部)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/ap2019.pdf



20190621「成長戦略フォローアップ(閣議決定)」(日本経済再生本部)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/fu2019.pdf



20190621「統合イノベーション戦略2019(閣議決定)」(統合イノベーション戦略推進会議)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tougou-innovation/pdf/togo2019_honbun.pdf

20190621「規制改革実施計画(閣議決定)」(規制改革推進会議)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/190621/keikaku.pdf

20190621「学校教育情報化推進法が成立 推進計画の策定を義務付け」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/news/20190621_02/



20190625「「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1411332.htm



20191108「政府、経済対策策定へ 安倍首相指示、災害復旧・景気で補正予算」(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019110800427



20191111「学校ICT 1人1台の端末を 自民 教育再生実行本部」(NHKニュース)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191111/k10012172881000.html



20191113「国と地方の連携による学校ICT環境整備に向けて」(自民党教育再生実行本部)

20191113「第11回経済財政諮問会議 令和元年11月13日:会議資料」(内閣府)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1113/agenda.html



20191113「第11回経済財政諮問会議 令和元年11月13日:議事要旨」(内閣府)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/index.html#tab1113

20191119「学校のICT環境を整備 経済対策で―西村経財担当相」(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019111900522



20191121「国家プロジェクトで学校のICT環境整備 中教審特別部会」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/news/20191121_04/



20191122「PC1人1台へ4千億円 情報通信技術化、小5~中3に」(共同通信)
https://this.kiji.is/570529499008664673



20191122「【萩生田光一文科相】学校のICT整備、補正予算に計上」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/news/20191122_04/



20191125「教育情報化の後発国から先進国へ 関連9団体が共同提言」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/news/20191125_04/



20191125「令和2年度予算の編成等に関する建議」(財務省)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20191125/zaiseia20191125.html



20191126「【萩生田文科相】国主導でICT整備「在任中に1人1台」」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/news/20191126_05/



20191127「学校の1人1台環境の実現に向け国庫補助 自民が提言案」(教育新聞)
https://www.kyobun.co.jp/news/20191127_05/



20191128「学校1人1台PC根付く? 政府、小中に整備へ 教育IT化、自治体と温度差」(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191128/ddm/008/010/033000c

20191203「経済対策13兆円規模に 全小中学生に4年でPC配置」(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52877760S9A201C1MM8000/

20191205「【経済対策】PCを「1人に1台」 学校のICT化を加速」(産経新聞)
https://www.sankei.com/politics/news/191205/plt1912050039-n1.html
 
20191205「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」(令和元年12月5日閣議決定)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1205/20191205_taisaku.pdf

しかしながら,現時点で確定している事柄は多くないようです。

地方財政措置(地方交付金)ではなく,国庫補助(補助金)として予算を確保する,場合によっては基金化をすることを想定していること。小学校5年〜中学生が2022年までに,小学4年生以下は2024年までの段階で整備すること。端末整備だけでなく,活用に関する教師教育,教員養成も視野に入れること。整備を円滑に進められるようにガイドラインやモデルプランの用意を考えているといったおおよそのことくらいです。

もっと具体的な「どんな端末機種が,どうやって子どもたちの手に渡るのか」という部分に関しては,本当に何も決まっておらず,まだ今年度の補正予算の枠を確保するための理屈をどう筋立てるのかという段階でしかありません。

ただし,この段階でも,学校設置者である市町村自治体(基礎自治体)の整備担当関係者にとっては,いよいよやって来る1人1台の情報端末を前提とした学習活動とそれに相応しい学校環境とは何か具体的に描くことを,まだ手を付けていない基礎自治体は早急に,すでに着手した自治体はより拡充して取り組まなければならないとも言えます。時間的余裕がないからです。

このブログでは常々,すでに時代は1人1台以上端末だし,1人1アカウント以上を前提として,学校教育でも教職員や児童生徒学生に教育・学習アカウントの付与ができるよう整備しなければならないことを主張しています。

実際に配布された端末機種が,仮に学習活動で期待した通り動かなかったとしましょう。

その場合でも,1人1アカウントが整備されていれば,自前で用意する端末(あるいは学校や友達から借りた端末)からそのアカウントにログインすることで自分の学習活動を進めることが出来ます。

1人1台端末の機種が理想的であるに越したことはありません。

しかし,そうでなかった場合(あとでそうなってしまった場合)でも自分たちの学習活動が妨げられないように,整備することが重要なのです。

今回の学校における1人1台情報端末整備の動きは,基礎自治体単位で取り組むことが難しいという反省にたって,広域で一括に入札する方法を取ることでコスト面や整備業務の負担を軽減することも選択肢として考えられています。

都道府県レベルで端末導入を主導すると同時に,都道府県レベルでクラウドプラットフォームを導入して,メールアドレス等のアカウント整備も行なうようになることが期待されます。

現実問題として,情報端末やクラウドプラットフォームとして,何が選べるのか。

端末のOSとしては「Windows10」「iOS」「ChromeOS/Android」「Linux系」が考えられます。

クラウドプラットフォームとしては「Office365」と「Google for Education」があります。

昔ながらの紙書類を作成するツールとしての利用を優先するのであれば,「Office365」と「Windows10」または「iOS」という選択をするのが無難かも知れません。

ネットワーク時代の情報処理ツールとしての利用で考えてよければ,「Google for Education」と「ChromeOS/Android」または「iOS」または「Windows10」を選択するのでもいいでしょう。

市販のパソコンOSには「macOS」があり,私立学校ではMacBookを生徒用に導入しているところもありますが,価格面を考えるとよほどのディスカウントがなければ選択肢となり得ません。逆に,価格面での折り合いが付くなら,大変有力な選択肢であると思います。

もっとも,この辺の選択は,やはり実際に試した上で検討すべきことであるので,ここで机上の検討をしても仕方ない話ではあります。(電気工事や施設工事のことを考えることの方がむしろ重要だとも言われます。)

すでにビジネス側では,先取りした動きが始まっており,導入してもらうソリューション準備のために様々な提携が進められているようです。一つ一つの教材やサービスを個別に選択して導入する手間を省くため,いろんな企業の商品が集まって一つの導入パッケージを構成するわけです。

そのような導入手法は,分かりやすい一方で,細かな要望との齟齬も生まれてしまうため,使えないものが混ざっていると,ずっとそれを使わないままになるという問題もあります。

そうしたことが起こらないように,柔軟な導入や導入後の運用計画が望まれます。

いずれにしても,1人1台端末の整備は,1人1アカウントの整備が同時に進行することが重要であることを繰り返し指摘しておきたいと思います。

テクノロジーへの依拠と無縁

日本のインターネット利用が一般社会で始まって20数年経過しました。仮に1995年を基点と考えれば24年ということになります。

メディアの普及にかかる年数(Consumption Speeds)については,あれこれ調査研究がありますが,大概のものは30年も経過すれば普及率8割9割といった「当たり前のもの」になっているというのがこれまでの知見です。

たとえばインターネットに関しても,あと5年くらい経てば「当たり前のもの」と言える…なんてことを待つ必要がないほど,今日の私たちの社会生活はインターネット基盤の存在を前提に成り立っていることに異論を唱える人は少ないと思います。

ただ,その現実をすべての人が認識する立場にあるかと問われると,直接的にインターネット基盤と関わらなくて済む仕事もあるでしょうから,インターネットテクノロジーに対する印象が俗にいう〈ネットの世界〉といったプライベートな娯楽世界の印象に引っ張られてしまうのは致し方ないのかも知れません。

また,日本は1980年代から高度情報通信システム(INS)構想といった先行する取り組みが華々しく喧伝されながらも多くの日本人の実生活になんら届けられなかった経験をしているため,技術で何かができるという期待感よりも,サービスとして現実に提供されているものを享受する姿勢が強化されていったのだと推察されます。

サービスや消費財を介してテクノロジーの恩恵を受けることはあるけれども,テクノロジーが社会や生活をより良くしてくれているという認識があるわけではない。だから,テクノロジーが使えないことで自分の生活が成り立たないとは思っていない。ただし,具体的なサービスや消費財が利用できなくなると社会や生活で困るとは思っている。

日本人のテクノロジー観はだいたいこんなものだと見立てられます。

そういう日本人が,ある意味ではもっとも目の肥えた消費者であると世界中から思われているのもさもありなん。テクノロジーがいくら高度でも,プロダクトの完成度という点で満足できなければ消費者としての日本人は納得しない。それもまた一つの特徴なのだろうと思います。

ただ,大半の消費者日本人を守るために国が発展を続け,制度も規則も慣習も枠組みとして出来上がってしまうと,枠を超えたものを創ろうとする人々にとっては能力を発揮し難い国になったのでしょう。

あらためて,そんなことを書き留めてみたのは,蛯原健『テクノロジー思考』(ダイヤモンド社)を書店で見かけたからでした。

正直,「ナントカ思考」はもう食傷気味だったのですが,「テクノロジー思考」という言葉で技術の価値を理解する必要があるという趣旨は重要だと感じました。

日本は技術の国だというスローガンのような言葉がありましたが,そのことを超えては,日本の技術のことも,世界の技術のことも考えたり知ろうとしなかったのではないか。深く依存しながらもテクノロジーに対して思考停止という無縁状態を維持し続けてきた日本人の距離感覚がいま各所で危機的状況を招いていると思います。

巷のSociety5.0(スマート社会)の話は,4.0(情報社会)を経たうえでのお話ですが,あらためて情報通信技術がどれだけ社会生活と密接に関わっているのか,個々人のテクノロジに対する認知を高め,理解を深めることが必要なのだろうと思います。

データなのかプロファイルなのか

2019年6月25日。文部科学省と経済産業省から重要文書が公表された。

20190625「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」(文部科学省)

20190625「「未来の教室」とEdTech研究会 第2次提言」(経済産業省)

その前から,いろんな文書が発出されていて,追いかけるのが大変なくらいだ。

20190606「規制改革推進に関する第5次答申」(規制改革推進会議)

20190611「AI戦略 2019~人・産業・地域・政府全てにAI~」(統合イノベーション戦略推進会議|首相官邸)

20190621「学校教育の情報化の推進に関する法律案」(参議院本会議)

20190621「経済財政運営と改革の基本方針2019」(経済財政諮問会議|内閣府)

20190621「規制改革実施計画」(閣議決定)

基本的には政府の動きは連動しているので,表現は様々としても書いてある基本方針は同じようなもの。これらの中でも「規制改革実施計画」が閣議決定されたものという意味で重要になる。関連資料から教育の部分を借りて載せてみる。

20190621 edu tech

パソコンを1人1台水準で市町村毎の格差が無いように調査・公表することや,パブリッククラウドの利用が可能であることを明確化することを決めた。その他,質の高い教育の実現やデジタル教科書の活用,個別最適化された学びの実現と教育の役割見直しについて,検討と必要な措置をすることになった。

必要な措置に,予算措置が含まれているのだとは思うが,そうは確約していないところに苦しさが滲む。あとの文書はひたすら考え方や方針を描くのに徹している。

冒頭の2つの文書に戻ってみれば,文部科学省の示した文書には,やたらと「教育ビッグデータ」という言葉が踊る。経済産業省の方は「学習ログ」だ。

曰く,データを蓄積し教育ビッグデータとして分析するためにも,サービス提供者や使用者ごとに異なることがないよう,データやデータフォーマットの標準化が必要なのだと。諸外国の事例を見る観点もそこに集中した結果,我が国向けに「学習指導要領のコード化」が適当なんだと帰結する。

文部科学省の文書全体は,これ以外にも,先端技術の活用やら,ICT基盤としての端末とネットワーク環境整備についても言及されている。必ずしも教育ビッグデータばかりではない。とはいえ,逆に経済産業省の文書の方が,各種実証事業の成果を差し込んでいる分だけ文部科学省の文書以上に教育的な観点で提言を発信していて,なんだか文部科学省の教育の情報化は,すっかり総務省に毒されちゃったままな感もある。

もちろんこれは,新時代の学びを支える「先端技術活用」をどうするか考える文書なので,新時代の学びがどんなものかは守備範囲でないともいえる。

けれども,教育ビッグデータやら学習ログに関する語り口を読み込むにつれ,データ主体である学習者がどんどん従属的な立場に追いやられているような感覚が強まってしまうのだ。

サービス提供者やデータ分析者にとっての可用性や利便性を配慮した「データ」の整え方ばかりが優先記述され,学習者本人が自身の学習プロファイル(データ)に対してどれだけのオーナーシップを確保できるのかについては補足程度のことしか書きこまれていない。

本来であれば,36頁に補足された「欧州においては…」のくだりは,もっと前面に持ち上げ,日本でも学習者自身による学習プロファイル・データのコントロールについて大胆な提言なり方針を打ち出すべきだ。

それはとりもなおさず,1人1台端末という予算措置の当てもない話で足踏みを繰り返さず,1人複数アカウントによって複数のデバイスを利用した学習環境を考えるフェーズに飛び込むことでもある。

データのコード化やフォーマットの互換性は,そこに商機があれば民間企業がいくらでも努力して変換でも接続でもして乗り越えて,気がつけばデファクトスタンダードを作り上げてしまう。わざわざ政府が税金を使ってやることではない。

しかし,データ保護規則のようなルール作りは,国や政府のイニシアチブでやってもらわないと,民間企業の自助努力だけでは難しい。それはFacebookやGoogleの事例を見ても明らかである。

その上で,教職員や児童生徒学生に対して自分のプロファイルを記録するのに必要なアカウント付与の措置を何らかの形で実現すべきである。それは現実的には民間企業のサービスへの登録といった形にはなろうが,そのためにもアカウントに紐付くプロファイルデータについて本人の権利が約束される必要がある。

さらに他でも主張されているように,デジタル・シチズンシップ教育などの取り組みも一刻も早く充実化が目指されなければならないと考える。

全体としてはいろいろなことが動き出しそうな雰囲気を感じるものの,いざ具体的な中身となると,どこから手を付けたらいいのか分かりにくく,マインドセットの変革といった精神論だけが残りそうな,そんな予感もする。