日本教育工学会の全国大会(於:首都大学東京)が9月に行なわれます。
そこで私が今関わっている事業についてお話をするつもりです。
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題目:5番目「学校の情報通信環境整備事業の導入過程における問題と課題」
部会:教育メディア(2) 9月18日(日) 9:30-11:30
会場:208
(プログラム)
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残念ながら,同じ部会の他の発表者の方々とは毛色が違うので,部会内の質疑応答で発表内容についてやりとりすることは難しいと思います。
今回の発表は,一研究者として事業関わったことの率直な報告であり,研究者集団としての学会にとっての課題を提示しようと思います。
その他,懇談会などの席で皆さんと情報共有できればと考えています。
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なお,私が関わっている実証校の取り組みについては,
「1人1台の環境がもたらす児童のコンピュータスキルの向上」
◯中川 斉史 [足代小学校], 高橋 あゆみ [ベネッセコーポレーション]
部会:情報教育(情報活用能力の育成等)(1) 9月17日(土)15:50-17:50
会場:205
(プログラム)
にて学校現場の先生とICT支援員さんによる発表があるので是非お聞きください。
月: 2011年8月
20110820 D-project
東京から横浜は近いのだけど,なかなか行く機会がなかった。今回,D-projectという教育の研修会がパシフィコ横浜であるというので,ふらっとお邪魔した。
以前に少しだけお世話になっていたのだけど,あれやこれやと落ち着かない日々が続いて,すっかりご無沙汰状態になってしまっていた。
というわけで,いろんな方に久し振りのご挨拶をしたり,初めての方ともお知り合いにならせていただいたり,ふらっと寄ってよかった。
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研修内容は,iPadを活用したメディア活動の取組みを実体験しながら学ぶもの。
アップル社の協力のもと,参加者一人ひとりにiPadが配られて,実際に操作をして活用方法を学んでいくものだった。
道具の新しさはともかく,メディア活用という取組みとしても興味深い内容で,こうした事例が躊躇いなくチャレンジできるような学校教育になるといいなと思えた。
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結局,横浜泊まりになりそうだったので,懇親会にも飛び入りで参加させていただいて,楽しくおしゃべりさせていただいた。
[FS/LI] 西日本地域有識者会議20110818
今年度最初の有識者会議が東京で行なわれるというので出席してきました。
西日本地域の実証校を担当する研究者が集まって,各校の様子を報告することと,フューチャースクール推進事業と今年度から開始した学びのイノベーション事業に関する説明を受けるという内容でした。
もっとも今回は珍しく,総務省と文部科学省から担当者の方々が会議に出席したくださったので,両省の担当者から直接いろいろな話を聴く機会となりました。
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西日本地域の各校の様子は,昨年度の流れを継続しつつ,それぞれの実証校の先生方が地道に取り組んでいらっしゃる感じです。年度替わりに先生たちの異動もあって,新しいメンバーを交えて取組み直しているという学校も少なくありません。
それぞれの学校には,もともと取り組んでいた教育実践があったりしますので,それに乗せてICT利活用を進めているところもあります。また,都道府県自体がICT機器の導入活用に積極的で,県下の他の学校でも様々な事業を展開しているところでは,事業横断的な取組みも進められています。
正直なところ,5校で歩調を合わせて…という展開を考えるのはなかなか難しい側面もあるようですが,今後は学校間交流にICTを活用することも計画には盛り込まれているので,何かしら実践をする機会もあるでしょう。
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総務省と文部科学省の担当者の方が出席されていたので,両事業に関して直接の説明を受けた後,ざっくばらんに質疑応答となりました。
本当なら事業推進自体の問題などについて,細かく聞くべきこともあっただろうし,評価のためのアンケートについても細かく検討すべきでした。
しかし,今回は事業に対する「考え方」について率直に両省の立場を聞いてみたかったので,私はこういう質問をしてみたのです。
「現在,整備されているハードウェアとICT環境は決して理想的ではない。理想的ではないのは仕方ないとしても,本来できると謳われていることを実行するにも,場合によっては時間がかかったり,不具合で不可能になったりすることすらある。
そのような環境を前提とするならば,どうしても機器がうまく動作しない場合のB案のようなものが必然となる。
学びのイノベーション事業は指導方法の在り方を検討するということになっているが,率直に言って,そのようなB案を前提とするような指導方法の開発を文部科学省(特に初中局の教科調査官のような教科教育の番人)はよしと考えているのかどうか。」
授業というものが一分一秒を大事にしているものである以上,新しい道具の未熟さに引っ張られて時間をロスすることは,教授側として極力避けたい事態である。
あまく動けばよろしいが,うまく動かないこともあるかもね,というのでは学用品として極めて低品質だ。そこを敬遠してICT導入を拒む人々も少なくない。文部科学省的にはこの現状をどう捉えているのか,素朴に質問してみたかったのだ。
あくまで担当者の見解であることを断った上で,そこで得られた回答は「この事業で,そのB案が必要であるといなら,まさにそれを明らかにしたい」という素朴なものだった。
それに教科調査官たちも,すでに教育の情報化ビジョンなどの作成過程でいろいろと手を貸し作業に加わっているので,ICT利活用に関しては前向きであるようなことも話されていた。
話を聞いていると文部科学省として,考え方はニュートラル,かつ積極的にやっていきたいと言う雰囲気が伝わってきて,悪い響きは感じられない。とはいえ,よくよく考えてみると「2011年に至って,そこから?」という気がしないでもない。
とはいえ,その他にも個人的な考えもぶつけてみたりして,私の誤解や過度な解釈について考え直す機会を得られたのはよかった。
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その席で話題に上がったのは,教育の情報化のための地方財政措置として確保されている予算が十分に消化されていないということだった。
皆さんはフューチャースクールに10億円だとか,学びのイノベーションに3億円とかの予算が付いたことに対して多い少ないを議論されるかも知れないが,この国は何年も前から「教育の情報化対策に関する地方財政措置」として1,500億円規模の予算枠が確保され続けている。
この1,500億円もの予算確保がありながら,うち500億円は他のことに使われてしまい,教育の情報化のためには使われずに終わっているのである(地方交付金として確保されているから他への転用は自治体判断で可能)。
願わくはフューチャースクール推進事業や学びのイノベーション事業が良いモデルを生み出す機会となって,もっと地方自治体側がモデルを参考に予算を使ってくれることを狙っている。
まぁ,とにかく国としては計画通りやってますのでご協力を…ということなのだが,そうはいっても細かなところでいろいろなことが大変。一研究者として,できる事はがんばるつもりだけれど,先が思いやられるなぁという感想も同居した複雑な気持ちになった会議であった。
[FS/LI徳島] 校内研修20110811
8月3日の学びのイノベーション推進協議会の報告もまだ書いていませんが,本日(8/11)は担当している足代小学校で校内研修が行なわれましたので出席しました。
というか,担当研究者として講演を依頼されたので,おしゃべりしてきました。
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前日に文部科学省から届いたデジタル教科書を導入する作業が行なわれたばかりで,先生たちもデジタル教科書をじっくりと触るのはこれが初機会。
もちろんこの場合のデジタル教科書というのは学習者用(児童用)。ここで導入されているものが文部科学省公認の学習者用デジタル教科書というわけです。
まだ出来上がったばかりという捉え方が正しくて,実際に使ってもらいながら完成度を上げていくという感じです。まあ,いろいろ大変なんです。^_^;
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私のしゃべりはいつものようにこちらで公開中です。
http://twitcasting.tv/kotatsurin/movie/2263421
http://twitcasting.tv/kotatsurin/movie/2263592
フューチャースクール推進事業に加えて,学びのイノベーション事業が始まるにあたって,2つの事業について紹介したことと,実証校に対して背伸びし過ぎる必要はないと励ましのメッセージを送ったという内容です。
もっとも今回はあまり大した準備が出来なかったこともあって,しゃべりはぐだぐだになっていますし,録音は真ん中部分がだいぶ欠けてしまったようですので,「ふ〜ん」という程度にお聞きください。
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ちょっとした提案としては「シンキング・ツール」という「考える道具」を活用してみてはどうでしょうかというお話しもしました。
電子黒板やタブレットPCはハード的道具ですが,それに対するソフト的道具として考えるための道具「シンキング・ツール」を合わせたら,また違った教育実践に繋がるのではないかと紹介した次第です。
この延長線上には,言語教育があると考えています。
特に海外とのコミュニケーションを考える際に,日本人の情報発信能力の低さが問われることが多いのですが,その解決策として言語能力の強化が指摘されているのです。
つまり,日本人というのは文脈の共有を前提とした言語表現をするので,異文化の人々のように文脈の共有が弱い場面になると途端に言語表現の乏しさが露呈してしまうというわけです。
こうした問題を解決するには,海外の人達とちゃんと情報を交わし合える「思考の土台(プラットフォーム)」に慣れておき,文脈に依存しなくても大丈夫なように,その土台の上で言語表現する技術を養うことです。
シンキング・ツールはそのために活かせるのではないかと思います。そういう紹介をしました。
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相変わらずわたくしはディスクロージャーな(ぶっちゃける)人なので,デジタル教科書を動作させている様子もお見せしていたりしますが,いろいろ進行中であることを知っていただきつつ,これらの取組みが前進するための応援や知恵をいただければと考えています。
「学びのイノベーション推進協議会」の傍聴
明日(3日)、文部科学省に行きます。会議傍聴のため。
これまでも総務省が取り組んでいるフューチャースクール推進事業に関わってきましたが、今年度からは被さる形で、文部科学省の学びのイノベーション事業にも関わることになりそうなのです。
それで、文部科学省側の事業を統括していくことになる協議会を傍聴し、少しでも事業の方向性について手掛かりを得ようと考えた次第です。
日本の教育の情報化に関してはおおよそのビジョンが示されたものの、どこから取り掛かって事を成していくのかは明示されて来ていません。
そのため、ある人は液晶プロジェクタを教室に導入した方がよいと主張し、またある人は電子黒板を普及させる必要があると指摘し、別の人は一人一台の情報端末が望ましいと述べ、そのまた別の人はデジタル教科書に可能性が宿っていると説いたりします。
各々、御説ごもっともという所であり、学びの環境がリッチになることを期待している私にとってみれば、どの主張にも加担したいというのが本音です。
しかし、繰り返すこともうんざりするくらい、この国の現状、特に財政状況は困難な時期にあることは明らかで、教育だけを考えてリッチにすることは難しいわけです。
そこで優先順位を付けるということになります。ところが、この作業を誰がするのか、正直よく分からなくなっています。
私個人の考えでは、教育の情報化ビジョンを作成した懇談会が合わせて作業するのが妥当だったのではないかと考えていました。ビジョンを作り上げる過程の議論を踏まえることで、ある程度の優先順位の提案ぐらいは出てきてもいいのではないかと考えていたのです。
しかし、懇談会の場はそれをあっさりスルーしてしまいました。多分、そういう意志決定を伴う事項は、執行者、ひいては国民の判断に委ねるのが正しいと考えたのかも知れません。
今回傍聴しに行く推進協議会もまた、優先順位を付ける場ではなく、様々な可能性を検証していくことを見守る場として進められていくのだろうと想像しています。
何かしらのモデルを示すことになるとしても、それを実現する現実的な道筋を決定するのは各地方自治体ですから、具体的な議論にも限界があるのでしょう。
それでも協議会という場が設定され、教育の情報化、学びの変革について取り組まれるというのですから、その動向は注目すべきと思います。
私自身は、乗っちゃった船なので、その行方を知るためにも傍聴しに行くことにします。