徳島市GIGAスクール端末を知ろう

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この記事自体は徳島市他が共同導入したCHUWI Hi10Xについてですが、
この追記部分は県立学校が導入したCHUWI UBookについて触れています。こちらの記事もどうぞ。

[追記20231006]

コメントさせていただきました。(県立学校問題と徳島市問題は、主体も機種も別ですので要注意)


この記事自体は徳島市他が共同導入したCHUWI Hi10Xについてですが、
この追記部分は県立学校が導入したCHUWI UBookについて触れています。こちらの記事もどうぞ。

[追記20231005]

徳島県立学校に導入された端末について報道されました。

とうとう知事から調査指示が出たようです。

しばらくはまた何事もなく日々が過ぎていく感じだろうとは思いますが、後日ちゃんと調査結果の詳細報告がなされることを願います。


[追記20230714]

技適登録された模様。

技適マークを表示するためのパッチが配布されて、起動時に強制表示することになったらしい。ただ、パッチが副作用を引き起こしているところもあるという。

これで一件落着となりますか。

次の更新時には、一般入札方式ではなく、プロポーザル方式(企画競争入札)にすることが大事かも知れませんね。

〈追記〉しかし、これもともと「公募型プロポーザル」入札で、その上で二社の点数良い方を選定しちゃったので、なるほど仕様決めが甘かったということでしょう。そうなるとRFIをやった意味ってのが無かったということになり、そっちの方が無駄になっちゃったという感じかも知れません。〈/追記〉


[追記20230518]

CHUWI社の5月16日付ニュースリリースによると一部製品の技術基準適合証明を獲得したとのこと。

文脈からすれば4月13日付で詫びていたタブレット端末の件だと思われますが、はっきりとは明記せずに証明書をチラッと見せているだけなので、とりあえず対処はしていることの報告みたいです。

しかし、画像にある工事設計認証番号らしき「214-230049」を電波利用ホームページで検索してみても、該当データがないといわれるのは、データ更新がまだのせいなのでしょうか。


[追記 20230427]

CHUWI社の端末が技適証明取得を完了する予定は今月末のようですので、まだ表立って何がどうなったという公表も報道もありません。四国放送がちょっと恥ずかしかったのか「無線ラン」を「無線LAN」に修正した記事を再投稿したぐらいです。

それと,徳島市のGIGA端末納入事業を落札した企業の社長さんが書いた本があるのですが、どうやらその本の中でGIGAスクールに絡む出来事に触れているらしく、出版社のサイトにその抜粋が掲載されていたようです。

竹本雄一「DXで会社が変わる

納入側には納入側のドラマとロマンがある。

そう考えれば、あの時この企業が踏ん張ってくれなかったら,徳島の子どもたちにタブレット端末は届かなかったかも知れない…という風に物語全体を描くことはできそうです。あの時期にそれを成し遂げたことは,いくらかのアクシデントがあったにせよ,簡単ではなかったわけですから。

ビジネス的には,教育委員会の無茶振りにも応え、金策の波乱をも乗り越え、会社も大きく発展した,めでたいサクセスストーリーです。

それがどうして,こんなにスッキリしない気持ちを連れてくるのか。他に何かしようがあったかと問われれば,代替案などないわけで。

これはもう最初に,ギリギリになってからWindows決め打ちで調達公告出したところからすべてボタンの掛け違いで、何事もなかったかのように進んできたことを「てへ,失礼しました」とお茶目に恥ずかしがる教育センターを生暖かく許すしかないのだろうなぁと…そう思うのでした。

〈追記〉

〈/追記〉


[追記 20230414 -2]

13日中にCHUWI (ツーウェイ)社から今回の件に関する文書が公表されていたようです。

またこの件に関して積極的に行動されている方もいらっしゃるようです。表から見えている様々な動きは、こうして動かれている方々の尽力によるものも関係しているかと思います。

技適マーク表示の問題もまだ行方は判明していないようですので、今後の事態の推移を見守りたいと思います。

[追記 20230414 -1]

JRT四国放送の報道後にいろいろ展開がありました。

Twitter上では当該タブレット端末を導入した学区の保護者と思われる皆さんが「学校からこの件に関するお便りがあった」という証言をされています。便りの時期がバラバラだったようですが、それは基礎自治体の違いのせいかも知れません。

20230412には総務省から製造メーカーに行政指導が行なわれたとの情報が公表されました。

先の学校からのお便りにもとづく情報によると「4/15 5GHz帯工事設計認証許可取得」という予定が記載されていたことから、昨年中には提供情報にもとづいて総務省の関係部局が動いて、今回の行政指導のための準備を行なっていたことが分かりますし、予定通りになるかは定かではないとしても5GHz帯についても追加で認証許可を行なうことで解決を図るよう算段していることがわかります。

なお、徳島新聞も今回の件について記事を発信しました。

これによって行政指導という一定のアクションと解決の見通しが立ったことになり、本件については次第に収束していくものと思われます。徳島新聞の記事によって徳島県民から何かしらアクションが起らないとも限りませんが、新しい知事に任せとけばいいって感じになれば、特に盛り上がりもせずにこのまま終わると思います。

全国的にもそろそろ端末更新時期に来ており、初回同様に国費からの補助を求める動きなども起こっているタイミングです。各基礎自治体や都道府県においては、初回の導入や対応の在り方を振りかえり、更新の方向性や計画を立てていく必要があります。

徳島県は早々に「徳島県学校教育情報化推進計画」を策定している点は前向きですが、その中の学習者端末に関する現状分析は、残念ながら十分なものとは言えません。

つまり、徳島県の端末更新に関する検討や議論は、何一つ問題がなかったという認識のもとで進行することが予定されており、おそらく入札過程や対応体制についても現状の関係者内の都合のよい形で行なわれることが見えていることになります。たとえば、初回の仕様がWindowsマシンの決め打ちだったように、次回の仕様もWindowsマシンのみが入札条件になるといったことです。

このような状況を見透かした事業者たちによって、次期端末の入札に関しても事業者の思惑に乗せられたまま進行することは容易に想像でき、運が良ければマシになるでしょうが、運が悪ければまた何を購入させられるのか分かりません。

ちなみに前回の応札業者のアジア合同株式会社はアジア株式会社となり、テクノ・ホライズングループ傘下に吸収されたのち、アドワー株式会社へと消滅統合されました。ご発展おめでとうございます!

関係者に私からご忠告申し上げることがあるならば、もっとちゃんと勉強して仕事しろ、ということのみです。

徳島県の児童生徒の皆さん、次期端末がもう少しマシなものになることお祈り申し上げます。


[追記 20230411]

徳島県教育委員会からGIGAスクール端末として導入したCHUWI社製のタブレットに関して何かしらの動きがあったようです。地域の四国放送がニュースで取り上げました。


[追記 20230131]

ご無沙汰しています。アフターGIGAとかネクストGIGAとかの議論も聞こえてくるこの頃です。

さて,理想的な端末ではないけれど,使えない端末ではないという程度に,徳島のGIGAスクール端末も日常に溶け込んでいるようです。徳島から全国に伝わる情報は,少数派のChromebook端末採用校の実践事例が発信されている状態で,それは県内にいてもほとんど同じなので,実のところ今でも実情がよく分からない。そういう日常が続いているという感じです。

実は,昨年中(11月ごろ)に情報をいただいて,何かしら書かねばと思ってから,すっかり時間が経過してしまいました。単純に年末年始の慌ただしさに巻き込まないように棚上げしていたせいです。申し訳ない。

提供いただいていた情報は,徳島県内の多くの自治体が採用した「CHUWI社 Hi10 X」(CWI529)が,技適(技術基準適合証明)に関して「2.4GHz帯の認証しか受けておらず、5GHz帯の技適を取得していない,得られていないのではないか」という情報でした。

というわけで総務省「電波利用のホームページ」で型番CWI529を探しました。

電波の型式が分かり難いですが,「2402-2480MHz」などと書かれているのが2.4GHz帯を表わしており,これはBluetoothとWiFiについて認証されていることを表わしています。そしてなるほど5GHzの記述は見当たりません。

認証情報は同番機器について複数情報が登録されている場合もあるので,たとえば「CHUWI」で検索し出力された他の情報も見回してみましたが,上図以外の登録情報はありませんでした。

さて,この状況をどのように指摘するべきか。

情報提供者の方の懸念は「違法状態での機器利用」ということです。総務省にもこれに関する問い合わせを行なっているそうですが,音沙汰がないそうな。

技適に関しては,海外から持ち込まれた認証されてない機器の利用ルールが決められるなど,複雑な実情にどのように対応するかは常に議論されているところです。確認できる情報も限られている中で,勝手な判断にもとづいて何か断定的なことを書くことはできません。

今回は,いただいた情報と確認できたことだけをお伝えするに留めたいと思います。


[追記]徳島県「とくしま 目安箱」から…

20210625 タブレットの不具合について
https://www.pref.tokushima.lg.jp/opinion/5047598/
20210728 学校に配布されたタブレットについて
https://www.pref.tokushima.lg.jp/opinion/5048712/
20210728 タブレット回収問題
https://www.pref.tokushima.lg.jp/opinion/5048697/
20210802 GIGAスクール構想
https://www.pref.tokushima.lg.jp/opinion/5048878/
20230120 GIGAスクール構想に基づいた学校配布端末について
https://www.pref.tokushima.lg.jp/opinion/7212889/
20230616 児童・生徒が使う端末の電波法違反について
https://www.pref.tokushima.lg.jp/opinion/7217521/

[追記 20210811]8/11 学校に導入されたタブレット端末のWindowsにも「ライセンス認証」問題が存在するようです。

ラインセンスを購入してないわけではなく、認証させる操作手続きが後手になっているという問題です。このため、Windowsのコマンドラインを利用して、ライセンス番号を入力して認証させる作業が必要になります。この作業がどのように行なわれるのか、まだ情報は得られていませんが、どうやらユーザー側にやってもらう雲行きであるとも漏れ聞きます。

こうした問題は学校・教育委員会外には公表されておらず、また秘密裏に処理されるようです。


[追記 20210707]7/7に連絡をいただき、件の高校で使用しているのは「Ubook」(無印)であるとご指摘いただきました。そうであれば、(専用ACアダプタ以外では)充電できない問題があるという投書の内容は正しいことになります。

徳島県立高校で生徒の皆さんが使用しているタブレット端末について、後日ブログを書きたいと思います。


この記事自体は徳島市他が共同導入したCHUWI Hi10Xについてですが、
この追記部分は県立学校が導入したCHUWI UBookの話題に触れています。こちらの記事もどうぞ。

[追記 20210704]7/4付の徳島新聞紙面「若い声」に現役高校生(県立高等学校生)の投書が掲載され,小中学校のGIGAスクール構想における端末導入と歩調を合わせて導入された県立高等学校向けの学習用端末に対する辛辣な意見が注目を集めました。

実際,GIGAスクール構想実現事業の学校内ネットワーク整備部分は,高等学校も範疇です。一方,学習用端末は,都道府県など学校設置者の判断次第です。徳島県は全県立高校生に学習用端末を貸与すると決定(2020年6月)しました。

2020年8月には一般競争入札が始まりました。

落札したのは「株式会社四電工」です。地元の有力企業です。どんな端末が納入されたのかは,残念ながら入札関連の情報からは伺い知れませんが,県立高校で行なわれた公開授業についてのニュースとその映像から端末が見えてきました。

小中学校向けの共同調達で人気だったCHUWI社のタブレット端末のようです。機種はUBook Proのようですが,詳細な仕様は分かりません。(ご指摘いただき、Ubook無印であったようです)

こちらの端末は,メーカーの仕様上ではUSB-C PD2.0規格に対応しているので,自宅のUSB-C PD対応の充電アダプタで充電できないってことはないとは思いますが,実際のところはどうなのか未確認です。

学習用端末の話は,小中学校と高等学校で議論を切り分けなければならない部分はあります。一方,学校内ネットワーク整備に関しては,共通して高速快適な整備が望まれます。学校外インターネットとの接続に関しては,なお不透明なところが多く,それぞれがお住みの基礎自治体で住民が理解を示し協力しつつ担当者も踏ん張らないといけない状況です。


[追記 20210611]6/11に徳島新聞Web記事で、徳島のGIGAスクール端末に関する詳しい内容が取り上げられました。

徳島県内の共同調達組と個別調達組で導入された端末機種は違うことが記事からもわかります。私も取材を受けてコメントさせていただきました。


2ページ目あり

課長さん、いらっしゃい

私が国の仕事にかかわるようになったのは2010年頃です。

徳島に引っ越してすぐに総務省のフューチャースクール推進事業が始まり、地域研究者として徳島の実証校に関わるようになったのでした。

そういう機会は滅多にあるものではないので、立場を越境しながら全国行脚して実証校巡りをしたり、夜行バスで上京して審議会の傍聴をしたりしました。わりと破天荒に動いていたので、珍しがられました。

その後、総務省の仕事から文部科学省の仕事にスライドして関わりながらも、破天荒ゆえに、いわゆる有識者ではなく下っ端の協力研究者としての関わりでした。裏方仕事をいくつかもらい、国の仕事の断片を覗けた感じです。

他の関係者の方々が、省庁の人たちと知り合いながらコミュティを形成しているのを見ると、そういうものが得意でない私は一段と退いてしまうので、なんとなく遠くから眺めることになって、仕事も遠慮するようになりました。

GIGAスクール構想実現事業の初期に情報教育・外国語教育課長だった高谷さんという方がいて、当時の情報発信の内容が話題になっていたこと、覚えていると思います。

課長職としては大胆な発信でしたが、物事を動かすにはこれっくらい必要だし、そういうことが分かっている方だなと思いました。ちょうど経済産業省側では浅野さんというこれまた名物課長さんが華やかに活動されていて、省庁連携でお二人が協力されたことなどもあり、教育と情報の分野が賑やかになったのはいいことだなと思います。

つい最近、このお2人が登場するネット記事が流れてきました。

浅野さんは課長職を続投中ですが、高谷さんは理研に異動され同時にデジタル庁の創設準備に関わられているのだとか。私個人的には、このお二人の言動については好意的なので、遠くで応援する感じです。

平成27年度開始の文部科学省「ICT活用教育アドバイザー事業」というものに参加してたご縁もあって、このお二人とそれぞれ、いっときだけご一緒したことがあります。

とはいえ、大変注目されているお二人だし、たくさんの有名人や有識者の人たちが周りを囲んでコミュニティを形成しているので、ちゃんとお話できたことはありません。よくある、同じ場に参加していました…程度の距離です。

そのことと、上に紹介した記事「「デジタル庁」準備室担当が語る「1人1台」の盲点 元文科省課長の髙谷氏「学習者IDの準備を」」に関連して思い出すのは、コロナ禍前の2019年12月23日(月)に開催された「学校の情報環境整備に関する説明会」が終わって、別の場に少数の関係者が集まる会があり、そこにお呼ばれした時のこと。

その場にちょっとだけ高谷当時課長さんも挨拶参加したのが、私との最接近ポイントでした。

そのとき幸い、高谷さんの周りを人が取り囲むような状況ではなかったので、GIGAスクール構想実現に伴う「アカウント」の問題を文部科学省と経済産業省はどう認識しているのか質問したことがあります。その場には経済産業省の(浅野課長ではない)担当者の方も居たので、ちょうど聞いてみたかったのです。

皆様ご存知のように昔から「アカウント、アカウント」とバカの一つ覚えで唱えてきて、2016年の関西教育ICT展でも「アカウントだ、バカ野郎」…とは言わなかったですが、空気を読まず講演したら干されたので有名な私です。

GIGAスクール構想の実現事業についても、端末設備の話ばかりが注目されて、説明会でも各都道府県の担当者が文部科学省の担当者の周りを黒山の人だかりとなって取り囲んで整備予算に関する質問を浴びせていた状況でしたから、いったいアカウントはどう考えているのか知りたかったのです。

高谷当時課長の返答がどうだったか正確には思い出せませんが、アカウントの設定作業などもGIGA整備予算あるいは地方財政措置の中に組み入れることが可能ではないか、そのようなところ検討できるのではないかといったものでした。その時点では財務省も個別の様々な事情に柔軟に対応する雰囲気があったのでした。

その一方で、文部科学省の整備予算はハードウェア環境整備をなんとかするというのがその時の目的であり、アカウントはどうしてもソフトウェアやサービス等の側に近い部分という認識もあり、そちら(EdTechサービス等)を担当している経済産業省との間で、ちょうど宙ぶらりん状態になっている感じなってしまっていることを、経済産業省の担当者との方とのやり取りも絡めながら課題共有したことを思い出します。

ま、それっきり私は、GIGAスクール構想実現事業をボーッと遠くから眺める感じ。

私が考えていたアカウントは、デジタル機器やサービスを活用するために最低限必要な「権限」とか「登録」という意味合いだったので、最近各方面で言い出されている「学習データを紐付けるための学習者ID」の付与という切り口について、私はまだ慎重というか、共通認識を形成するための議論が不足しているように思っています。

けれども、学習データを使いたくて手ぐすね引いて待っている人々が向こうの方で待っていることを考えると、学習者IDについて様々な考えを述べ合うことはしておくべきだろうなと思います。

老眼を伴って

最近は私も老眼を伴うようになり、読むのも書くも苦労するようになっています。

田舎に引き込み、さして人と接触しない暮らしが続くと、とたんに老け込んでカラダもアタマもポンコツになります。若い人たちがGIGAスクールで元気に文句を言っているのを見ると、なんとも羨ましい限りです。

それでも暮らしや仕事にはデジタルツールが欠かせず、気持ちだけは若いままSNSやネットニュースを見ようとするのですが、これがまた字面も画像も見難くなって仕方がない。老眼とは、まことに非情です。

高齢者向けコロナワクチン予防接種の予約に関して、悲喜こもごもなニュースが届きます。

予約システムといった機器操作やネット利用に不慣れで不安を抱く人々が多いことを考慮して、電話予約や窓口予約を併設した自治体もあったようです。

ところが、窓口予約に高齢者が殺到。

徹夜で並ぼうとした人たちや、整理券の前倒し配布で受け取れなくなったと抗議する人が出たり、混乱が発生した。窓口対応に時間がかかり待ち合い渋滞で逆に密状況が生まれたりする本末転倒な状況もあったようです。予約サポートを窓口で対応する若者たちの話題も伝わってきました。ただでさえパンクしている予約システムに対して、そのサポートの人たちまでもが予約システムに対してやたらリロードの負荷をかけてたとかなんとか。

20年前のIT講習をきっかけに、もう少し世間の人たちのデジタルに対する垣根が低くなっていたらと思わないではないですが、20年経っても電話や窓口を用意してくれる世の中ですから、必要が感じられなかったのでしょう。

高齢者を中心に若い人たちにもデジタルや情報機器に対して苦手意識などの垣根を感じるのは珍しくありません。

新しいことを学ぶ負担を嫌っていることもありますが、説明通りに手順が進行しないことに付き合わされる面倒を予感して避けていることも大きいのだと思います。サーバー混雑によるアクセス不可なんて事態は説明されていないし、どう対処すればいいのか誰も明確には説明してくれないですから。

その上、デジタルサービスのインターフェイスは老眼にキツイことばかり。

こうした時代に大変重要な文献があります。先日、ようやく購入できました。

『高齢者のためのユーザインタフェースデザイン ユニバーサルデザインを目指して』(近代科学社2019)は、加齢に伴って、視覚や聴覚、運動コントロール等がどうなっていくのかを整理し、どのようなインターフェイスが必要なのかを検討しています。

もちろんユニバーサルデザインへのアプローチは様々あってもよいですし、必ずしも全てがすべてユニバーサルデザインを目指さなきゃいけないというわけではありません。デザイン性やコンセプトを優先する場合もあります。

私もデザインの良いものが好きですし、自分にとって好きなデザインのものは使いたい意欲も強くなります。それがいろんなものを超越していくこともあり得ます。

とはいえ、人は歳をとり、いつかは身体がもうろくしていくことも事実。そのとき、いま利用しているいろんなものが、同じように使えるという保証が私たちの方にないことも自覚しておきたいところです。

デジタル改革関連法案が、衆議院で2021年4月6日に、参議院で2021年5月12日に本会議可決されました。

デジタル社会形成基本法案(閣法第26号)
デジタル庁設置法案(閣法第27号)
デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案(閣法第28号)
公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案(閣法第29号)
預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案(閣法第30号)
地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案(閣法第三一号)※20210511可決

これでいよいよ「デジタル庁」が設置され、日本のデジタル化を担う組織が誕生することになります。

この組織では、各省庁や民間から積極的に人材を登用しつつ、構想止まりだった日本のデジタル化をもっと本格的に実現することを目指していくと期待されています。

これらに関わる議論は、「デジタル・ガバメント閣僚会議」などのページに記録されています。

日本社会をDXするにあたり、誰一人取り残さないというのは大事なことですが、それは決して後ろに戻る手だてを用意するのではなくデジタル技術などを駆使して前向きに対処していくことも求められているのだと思います。

デジタル技術が私たちのウェルビーイングを支えるとはどんな事を指すのか。そして私たちはどう向き合うべきか。

GIGAスクールの格闘は、そうした視野で受けて立たなければならないのだろうと思います。

マルチプラットフォーム例示環境

Windows, macOS, iOS(iPad OS), Androidの主要プラットフォームを同時に例示する環境について。

大学の「情報処理」授業では、コンピュータ科学等の入門・基礎的位置づけの一般情報教育が求められているところですが、世の中で使われているものを一通り見ておくのも入り口としては悪くないはずです。

コンシューマ向けのコンピュータ・プラットフォームといえば、Windows, macOSが挙げられますし、より人々に身近となっているスマートフォンはiOSやAndroidといったところでしょう。まずはこの4プラットフォームを自在に例示できればプラットフォームの越境を視野に入れた環境は成立しそうです。

もちろん他にも、小中高への導入比率が高まっているChromeOSもあるでしょうし、Raspberry Pi等の教育用小型コンピュータにも採用されているLinuxも主要プラットフォームには違いありません。タブレット系OSとして扱えるものもあります。これらも必要に応じて例示できれば問題ないでしょう。

私の環境は…

  • M1 Mac miniのmacOS環境を基本として構築。
  • 仮想デスクトップアプリParallels Desktop上でWindows10環境を構築しOffice365等を導入。
  • macOS上で動かす画面転送受信アプリReflector4でPixel3(Android11)からのキャストを表示。
  • 画面転送受信アプリReflector4でiPhone8(iOS14)からのAirPlayを表示。

という方法を使って同じ画面に4プラットフォームを同時に例示できるようにしてあります。

使用ツール

macOS

Macには仮想デスクトップアプリParallels Desktopや画面転送受信アプリReflectorがありますので、他のプラットフォーム画面を表示させるのに便利です。

画面転送受信アプリを使えば、Windowsを基本環境としてmacOS, Android, iOSを表示させて、同じことは可能です。どちらを選ぶかはユーザー次第です。

M1 Macが登場し、ParallelsもReflectorもAppleシリコン対応となったため、基本環境としてファンも回らず余裕で対応できるようになりました。パソコンをMacだけにでき端末台数的に少なくできる点もメリットなので、私はMacを使っています。

Windows

Parallels Desktop等の仮想デスクトップ環境でWindows10を動かしています。

こうすると授業例示用の環境と普段遣いしている環境を分けることも可能な点がメリットです。デメリットは仮想Windows上で負荷の高い作業をすることは奨められない点があります。そのようなニーズが多い場合は基本環境をWindowsにしたほうがよいでしょう。

Windows用の画面転送受信アプリReflectorがありますので、macOS, Android, iOSをWindowsで表示可能です。

M1 Mac用Parallels Desktopで動くのはWindows10(ARM64)のInsider Preview版です。正式なOffice365をインストールすることができますし、無茶なことをしなけれけば基本的なことは従来同様に動作しています。(参考情報

Android

私が利用しているのはGoogle Pixel3です。

Androidスマホを例示教材として利用する際には、どのメーカーの機種を使うのか、どのAndroidバージョンを使うのかは悩ましいところです。

Androidのバージョンは現時点で、最新が11ですが、インストールされている割合が多いのは10だとのデータもあります。同じバージョンでもメーカーによってアレンジされている場合もあって、見た目や機能もいろいろです。

Pixelは、Androidを開発しているGoogle社が出しているのでリファレンスとして位置づけられていることや、素のAndroidということもあるので選びました。といっても、教材のためというよりも個人利用のために購入したもの(お古)の転用です。最新機種でないのは、そういう理由です。

Pixel3の画面転送(画面のキャスト)機能は、あまり高画質ではないため、転送した画面は拡大しながら見せることが大事になってきます。解像度問題を解決したい場合はLetsViewを使う方法もあります。これだと高い解像度で転送できます。他に外部出力機能としてはDisplayLink規格が利用できますが、そうなると例示するには別にアダプターを用意した上で画面切り替えする方法になってしまいます。

画面のキャスト機能はWiFi利用を前提としていますが、WiFiだと接続不安定で切れてしまうこともあるため、BelkinのUSB-C to LANポート変換アダプタで有線接続しています。

WiFi接続状態で画面のキャスト機能をオンにしてから、アダプタを接続するとWiFiから切り替わって有線接続できます。切り替わる前に画面キャスト機能をオンにしないと「WiFi未接続」表示が出てボタンが押せなくなります。その場合は、設定アプリの「接続済みのデバイス」から「接続の設定」メニューでキャストするデバイスを選択し直します。

LetsViewもWiFi前提なので、一旦WiFi接続状態で双方を認識させてから有線接続に切り替える必要があります。

iOS

私が利用しているのはApple iPhone 8です。

これも個人利用していたもの(お古)の転用です。教材として動かすには十分な性能を持っています。iPhoneやiOSはモデルやバージョンで大きな違いはないので、なるべく新しいものを用意すれば特に悩まずに済みます。

画面転送機能のAirPlayは少々クセのある規格ですが、iPhone上で動画再生などしなければ素直に機能してくれます。画面転送受信アプリによっては転送画面の解像度を選択できるので、高解像度のハッキリとした画面表示が可能です。

WiFi接続だと接続不安定で切れてしまうことがある点は他のものと変わらずなので、BelkinのLightning to LANポート変換アダプタを使って有線接続しています。

アプリ

Googleのサービスを利用しているので、GoogleクラスルームやWorkSpace関連を入れてます。

それ以外にも各社の同様なアプリを比較のためにインストールしておきます。Officeアプリはすでに一つにまとまっていますが、一応単品版も比較のため配置しておきます。

遠隔で情報処理演習

職場で「情報処理」という演習授業を担当しています。

コンピュータ入門といった授業なので、大学の勉学で必要となる基礎知識と事務系ソフトの操作演習、プログラミングの触りを紹介するといった内容です。

残念ながら、それほど先進的な内容ではないし、パソコン教室を前提とした諸条件や環境で、一斉演習に縛られがちなことも弱点かなと思います。

そんな情報処理の演習授業もコロナ禍の影響を受けて遠隔授業となっています。

学生たちの操作を直に支援できないし、パソコン教室前提とやってしまったことが裏目に出て、パソコン所持している学生の少ないことが祟り目となり、情報処理演習が遠隔になるなんて悪夢にも思えるところですが、私にとってはパソコン教室から解放されるチャンスとなりました。

パソコン教室は雑にしつらえられたWindowsオンリー環境で、ソフトを起動するとユーザー登録ダイアログを毎回表示したり、使いやすい設定に調整されないまま凍結されていて、さらに某社のPC教室支援システムはまともなパフォーマンスを発揮しないお荷物状態。どんどん使いたくなくなる環境でした。

学生たちは確かに実際に操作できるんだけども、例示がうまく把握できないまま混乱のもと使いにくい条件で操作を続けるので、逆に何やっているかわからないままなことも頻発。指導者の力量不足が主要因である指摘は甘受するにしても、どうしても一対多の演習授業で距離が遠くなっていました。

遠隔授業になって、学生たちの演習環境は乏しくなりましたが、その分、例示と解説がぐっと手厚くなりました。

自前のシステムを例示用に使えるため、Windowsオンリーだった内容が、MacとWindowsを同時並行してみせるだけでなく、スマートフォンとも比較しながら例示できるようになりました。

動画配信なので、例示画面や解説の声もぐっと近くなり見やすくなります。自前システム(普通のMacですが…)だと自由自在に画面を拡大縮小できるので、注目して欲しい部分を拡大し、ポインタで強調することもできます。

「何やっているかわからない」という反応がグッと減りますし、ほとんどの学生が持っているスマートフォンで実演するので、そんなことができるのかという驚きと実際にやってみたいという気持ちを高めているようです。

クラウドの仕組みを理解するのは時間がかかりますが、パソコンで編集したものがスマートフォンでも閲覧することができるといった連携の便利さを実感できれば、実務での利用にもその感覚はプラスに働きます。

実際のところ、学生たちは対面による演習授業も求めているので、複合型で進められるとよいのですが、そのためには各自がパソコンを所持する状況に転換することが必要かなとも思っています。

GIGAスクール時代となり、一人一台は当たり前になりつつありますので、大学での情報処理演習といった入門的授業は、よりコンピュータ科学的な専門性を高めるか、あるいは複数プラットフォームを自在に横断するといったより高度な実用スキルを身に付ける方向などに進化していくことが求められるのかなと思います。


ちなみに自前システムは…

  • macOSをベースに…
  • Parallels Desktop上で動作するWindows10
  • Reflector4で画面受信するAndroid
  • Reflector4で画面受信するiOS

といったところ。M1 Macになって、これらがファンも回らず軽々動作するようになったので、ますます便利です。