ご卒業・ご修了おめでとうございます

 この時期は卒業・修了,また異動などの見送りとお別れの季節です。

 私の職場でも先日,卒業式が行なわれました。そして私の古巣でもたくさんの後輩たちが卒業や修了を迎えて新たな場所や時間へと移ろうとしています。

 この職に関わって十何年が経ちました。時間ばかりが経って,私自身は相変わらずで恥ずかしい限りですが,見送る立場をそれだけ繰り返したことになります。

 基本的に別れは好きではないので,その裏返しで他人に深入りしない質です。

 教え子たちのほとんどが「女の子」なのは幸いで,もともとうだつが上がらない男性教員には関心もないし,卒業してもほとんど会うこともないので,見送る寂しさに耐えれば,それでまた次へと進む,その繰り返しで過ごせます。

 時々,教え子たちは元気にしているだろうかと思いを馳せることはあります。

 けれども,「教え子」という不特定多数の集合体となった,その一人一人に対しては,所詮,私自身がやろうとしていることでエールを送ることしか出来ません。だからもっと精進して頑張らないと。

 数々の仕事でご一緒した方々のことも,また思い返すことがあります。

 思い返す人が多くて,そして私の記憶力の悪さが祟って,もはや顔と名前が一致しないということも多いです。何かの機会に再会しても,ど忘れしていることもあります。

 それでも,ご一緒していたことは嬉しいことであるし,そのことに感謝もしています。こちらもまた,ご恩を返すために自分自身の仕事を頑張らないと,と思います。

 私は40歳になりました。

 もう30代ではありません。そのことの意味を考えて,行動にも移さなければならないとは思います。

 才覚溢れる若い人達はたくさん居ます。その人達が今の時代を切り開くことが出来るように,私は何かをどける役目を負っているのかも知れない。そう思うことがあります。あまり気持ちのよい喩えではありませんが,土砂や瓦礫を除去して仮の道路スペースをつくるような仕事のイメージです。

 もちろん,何を求められているのかどうかに拠ります。もっと創造的な仕事が望ましければ,積極的にそれに関わっていきたい。

 そして,いつか私のラボに教え子が出来たら,彼,彼女等とあれこれやってみたいと思います。それまで「りんラボ」は,教育と情報界隈を放浪する一人の研究者の旅路として続きます。

 新たな時間を迎えるすべての皆様に,心からのエールを送ります。