2017年2月14日から3月15日まで学習指導要領案に対するパブリックコメントが募集されていました。
政府側にすれば一か月も期間を取っていますから,時間的に不十分とは言わせないつもりでしょうけれど,年度末近くの一か月は,腰を落ち着けて検討するにはなかなか微妙な時期です。
何より,3月15日締切りで11,210件も集まったコメントを,3月31日告示の学習指導要領案に反映させるための検討や作業が2週間弱で足りたのかどうか。むしろそのことの方が国のやっつけ感を漂わせます。
「時間がないのはお互い様」という共犯関係を何とか打ち破りたいとは思いつつ,締切り間際に出すことになった私のパブリックコメントをこちらに残しておきます。
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「小学校学習指導要領案について」
学習指導要領案の作成に関する労を多として以下に意見を述べさせていただく。
今回の改訂に関して、中教審答申では「2030年の社会」の「よりよい人生とよりよい社会を築いていくため」、教育課程の在り方を検討し、その背景認識には「急速な情報化や技術革新」による人間生活の質的変化等への対応もあった。よって、今回の小学校学習指導要領(案)では,総則だけでなく,多くの教科で「コンピュータや教育機器」と「情報通信ネットワーク」の活用に関する記述が盛り込まれたと受け止める。
しかし,各教科の記述バランスには問題が残る。3点述べる。
1)各教科「指導計画の作成と内容の取扱」のうち,算数と理科についてはプログラミング体験の要素を入れるため単元レベルの記述があるが,これは学習指導要領の記述として限定が過ぎるのではないか。
2)体育「指導計画の作成と内容の取扱」でのみ,他の教科にはない「その際,情報機器の基本的な操作についても,内容に応じて取り扱うこと。」との文言が記述されていることは記述の統一性および教科としての整合性から見直すべきではないか。
3)総合的な学習の時間と特別活動を比較した場合,コンピュータや情報通信ネットワークや情報活用能力等に関するについて,量的な差があり過ぎる。学校の日常的な活動における情報活用能力の醸成を考えるのであれば,特別活動における記述を増やすべきである。
以上、ご検討いただき,情報化や技術革新を適切に踏まえた学習指導要領の改訂となることを祈る。
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(Facebookには掲載したのですが,タイムラインを休止しているので,こちらに再掲するものです。)