「教育の情報化」の歴史を追いかける旅に出ることにする。
旅の始まりをどこにするのか。それ次第で旅路の成否も左右されることになるだろう。その前に,何をするため過去を追いかけるのか,少し書き記しておきたい。
—
これまでも教育情報化の変遷について触れた論考は存在している。直近では,東原義訓(2008)「我が国における学力向上を目指したICT活用の系譜」や堀田龍也・木原俊行(2008)「我が国における学力向上を目指したICT活用の現状と課題」が当該題目を扱った論考として確認できる。
歴史を概観する端的な整理を目的とするならば,これらの論考に加えるべきことは少ない。しかし,これらの論考の射程は,題名に記された通り学力向上に関わる部分に限定されており、学校教育や社会などの全体における文脈からの解釈は紙数的な理由からも十分扱われなかった。
そもそも「学力向上」という題目自体が時代によって了解のされ方が異なっている以上、その当時の教育情報化の試みを,学校教育や社会の文脈から肉付けしていかなければ,その位置づけを理解したとはいえないのではないか。
先達の地図を頼りに,もう一段広い視野を加味して過去を振り返る旅をしてみようというのが,今回の試みである。
—
過去を振り返る試みの目的は,単純に記録のためである。
お恥ずかしい話、まだまだ若いつもりで毎日を過ごしているうち,あの出来事も,この出来事も,遠い過去になりつつあることに気がついた。
そういう直近だと思っていた出来事は,意外に記録を忘れていたりする。そのうえ,昨今はますますたくさんの出来事が情報として流れ込んできているため,その前後関係を取り違えてしまうことも珍しくない。
というわけで,私は記憶が彼方へ消えていかないうちに,私なりの記録を始めようと思った次第である。
加えて,世はソーシャルメディアの時代と呼ばれている。おそらく同じように過去の記憶を抱えながら,特に振り返る余裕もなく過ごしていた人々も多いだろう。そこで,旅路の仲間をオープンに募りながら進めていこうと考えている。
Facebookページを用意したので,今後のんびりと皆さんをご招待したい。こちらからの話題提供が響いたら,気軽に書き込んでいただければと思う。
—
まずは一人旅からのスタート。出発点は1985年ということにしよう。