しばらく出張の日々でした。研究会に出席するために夜行バスを使って東京に出発したのを皮切りに,名古屋,東京,京都と移動していました。
お声掛けをいただいて,愛知県にある稲沢西中学校の校内研修会で講師を務めました。今年度,稲沢市ではすべての中学校に全教科のデジタル教科書を導入したとのこと。研究の指定を受けているわけではないけれど,夏の研修期を機に勉強してみようということのようです。
「フューチャースクールのような環境は全くありませんから…」という事前の説明を何度も念押しされて,だいぶ気を使わせてしまった様子。
確かに最近私が接しているのは,一人1台PCのある学校や電子黒板ならわりと当たり前という雰囲気の学校ばかり。太陽を見過ぎて眩暈をしているのも事実ですから,念押しされても仕方ないのかも知れません。
ICT機器の導入や整備の実情は地域によっても異なりますが,ほとんど無いという状態から少し機器があるという程度が「ごく普通」なのでしょう。
教育の情報化がナンタラという話は,とにかく現場の先生方のウケが良くないので,あえて何も準備しないノープラン状態で臨むことにしました。
ええ,ノープランが一番良いみたいです。
稲沢西中学校には初めてお邪魔するのですが,連れられていった先は以前来たことのある場所でした。隣に名古屋文理大学。某セミナーでお邪魔した場所でした。
とにかく,研修会が始まる前に,用意していただいたICT機器の内容をチェック。だいたいの構成を理解して,研修会がスタートしました。
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用意されていたICT機器は,移動式ワゴンにパソコン,液晶プロジェクタ,実物投影機,スピーカーなどがセットされたもの。
これが各学年に2セットほど用意されているということで,必要があればワゴンとスクリーンを教室に持っていって使うというスタイルのようです。
パソコンには,デジタル教科書やオフィスソフトが用意されており,教室の情報コンセントを利用してインターネットに接続することもできます。ただし,まだデジタル教科書をインストールしていない教科もあるようです。
実物投影機もすでに接続されているので,電源を入れるだけで割り込んでプロジェクタから出力することができます。小型シンプルな機種なので,画面フリーズボタンと画像保存シャッターボタン,そして保存した画像を呼び出すだけ。
シンプルですが,ICT整備としてはごくごく一般的な水準でしょう。
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事前にいくつかの質問をいただいていましたが,まずは目の前のワゴンセットを初めて使うところから説明することにしました。
電気屋のお兄さんよろしく,ワゴンに乗っている機器を一通り説明し,どのボタンを押すとどんなことが起こるのか,目の前で実演してみせました。
「やってみせる」は絶対的に強いのだと,改めて実感しました。
実演が終わって,次は事前質問への回答。「準備の時間がかかって困る」「字が小さいのを回避する方法は?」「ICTと板書とのバランスが難しい」など,一筋縄ではいかない問題がいろいろ出ています。
解決とまではいかなくとも,一つ一つ丁寧に考えてお話して,納得する方もいれば,やっぱり難しいのねとため息をつく方もいたかも知れません。
電子黒板ユニットを導入することで,現在のワゴンセットを活かせるかも知れないですねという提案もあれば,スクリーンを用意しなくても黒板に直接写すという手もあることなどをパフォーマンスしたり。
相変わらずノンストップで続け,無事90分のお仕事も終わりました。
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ノープランということもあって,ゼロから百まで縦横無尽に展開しました。
最後に,まだインストールしていない教科の先生方に向け,この機会に全部の教科のデジタル教科書をまずインストールして,中身を見てみることから提案しました。
それから,ICTと板書の使い分けやバランスには明確な答はないので,経験を積み重ねて探っていくしかない。実はそこにベテランの先生方の知見が役立つのだから,ぜひノウハウの伝達をして欲しいとお願いしました。
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研修会終わって,東京へ。短い愛知県滞在でした。