徳島県のデジタルコンテンツ事業に関連して,上勝町にある小中学校に出前授業に出かけ始めました。上勝町は映画「人生,いろどり」の舞台となった町です。
小中学校にはiPadが10数台導入されていて、これを使って児童生徒がデジタルコンテンツ制作に触れることを通して、県としての人材育成を盛り上げていこうというのが事業の趣旨だときいています。
というわけで,この日は昨日の中学校に続いて、小学校の出前授業です。
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小学校では,中学校が写真や動画を中心とした制作になるのとは少し雰囲気が違って、新聞やポスター,チラシ制作といった雰囲気になっています。いままでも紙など使ってやっていた取組みでもあります。
今回はiPadを使って新聞,ポスターやチラシを作る事になったわけです。
けれども,iPadを使っている皆さんはなんとなく想像できるかと思いますが、実はiPadで新聞やポスター,チラシづくりをするのは「できなくはないがたいへん」。
いままで,紙の上に想像力をぶつけて自由に作品を作ってきた小学生に,iPadのアプリを使って同じようなものをつくれというのは,パソコンでつくること以上にハードルの高いことです。何故かというと,それほど柔軟性のあるアプリがないから…。
AppleのPagesやKeynoteがあるじゃないか!
CMを見るといとも簡単に作品を作れそうな雰囲気が伝わってきますよね。素晴らしいデザインのテンプレートもあるし、図形を動かすのも指一本で簡単そうです。
けれども,新聞づくりはテンプレートでできるものじゃありませんし、図形だって異動や拡大縮小ができればいいってわけじゃありません。
テキストボックスを頑張って組み合わせれば,それなりの作品を作ることはできないわけではありませんが、皆さんはPagesやKeynoteがシンプルさを追求するあまり,一つのボタンや階層にいろんなものを詰め込み過ぎていることから目をそらしているのです。
しかもPagesもKeynoteも自由線を描くことができません。消しゴム機能もありません。手書きの文字を見出しに使いたい時にはどうすればよいのでしょう。
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準備段階から,この問題は私を大いに悩ませました。
他にも選択肢は模索しました。ポスターづくりをするのだからドローアプリ(iDrawやTouchDraw)を使ったらどうだろうか、あるいはノートアプリの中から使いやすいものを探そうか。けれどもどれも一長一短。使っていると何かしら自由がきかない感覚に陥るものばかりです。(neu.シリーズのアプリは無料だし,いい線いっているのですが,デザイン等がアメリカン過ぎるのが残念)
いろいろ提案してみたものの、結局は一番馴染みのあるのはワープロだから、ワープロアプリのPagesにしましょう,というのが前日までの予定だったのです。そのための研修も先生たちに向けてしてありました。
ところが運命は,中学校で私たちが写真共有に苦労している間に,新しいアプリをもたらしてくれていました。それがNote Anytimeです。
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MetaMoji社がこの度リリースした新しいノートアプリ「Note Anytime」を知ったのは,中学校の出前授業から帰ってきて,バタンと倒れて起きてから見たニュースでした。
さっそくダウンロードして試してみたところ鳥肌が立ちました。
いままでのノートアプリが備えてきた機能をほとんどサポートし、しかもPDFなどの読み込み書き込みもでき,初代iPadでもストレスなく軽快に使え、操作も直感的です。それでいて無料でリリースされていたのです。
これは使えるんじゃないかと思いました。
けれども,いままでPagesを前提にお話してきたのに,出たばかりのアプリを当日になって持ち出して,子どもたちに使ってもらおうというのは,ちょっと躊躇いもありました。正直なところ、迷ったままで朝から小学校へ向かうことになりました。
少し早く小学校に着いて,機器について若い男性の職員の方からの質問に答えていた時に相手から,どうも子どもたちはPagesの操作が大変みたいだということを聞きました。
ああ,そうか,やっぱり大変なんだ。これはもう提案してみるしかない。
そう思って職員さんに話を持ちかけて「これどう思いますか」と聞いたら,職員さんもNote Anytimeのニュースや噂を聞いていたようで,「確かによさそうですよね」となり,すっかり盛り上がったのをいいことに2人で学校のiPadにさっそくインストール。
というわけで,突然「小学生向けNote Anytime講習」を行なうことになりました。たぶん,日本でも10番目内くらいには入る早さじゃないかな?(小学校の先生の中にもiPadファンはいるので,さすがに1番じゃないだろうと思います)
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結果は上々。
初めてのアプリですが、アイコンも子どもが踊っている感じが探しやすくて良かったし(大人ユーザーには評判悪いみたいですが…)、自由度や柔軟性の高さのおかげで子どもたちがやりたいことの多くにちゃんと使えていましたし、ライブラリもイラストが用意されているという点が子どもたちには嬉しかったみたいです。
ボタンは「ペン」「消しゴム」「投げ縄」「テキスト」のツールと,戻る進むボタン,写真アルバムからのボタン,そしてキャビネットに戻ることが分かれば,あとはいろいろ試して慣れていってくれます。
多少,メニューの言葉遣いや表記が難しかったり(ユニット書式とかDoneとCancelとか)、投げ縄の直後の表示状態にちょっと戸惑ったり(点線の囲みがちょっと印象が強いかな),ポスターつくるためのA3サイズがなかったり(それでもA4とかちゃんと用紙設定できるのは素晴らしい),基本図形がなかったり(直線や丸三角,吹き出しなど)でもう一歩というところもありますが、初めてのリリースでここまで完成させていることに,まずは拍手を送りたい。
先生たちも自由に創作している様子を見て,初めてのアプリだけど好感を持ってくれたような感じでした。Pagesでつくったものも,PDFにして転送すればNote Anytimeに背景として引き継げるので,連携して使ってもいいかも知れません。
6年生と5年生に使ってもらいましたが、どちらの学年も上手に使いこなしていました。5年生は元気な子も多くて、ライブラリ機能のダウンロードを試してみたりと,ちょっと先生にとってはハラハラする感じではありましたが、無料ということもあってとりあえずやってみたらうまくいって楽しそうでした。
そんな感じで,作品づくりへの可能性が少し広がったかなと思えた出前授業でした。新しいアプリに感謝感謝。
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Note Anytimeは,もしDropboxアプリと連携させれば、PDFファイルをダウンロード/アップロードすることも可能になります。つまり,PDFの学習ワークシートをDropboxで配布して、Note Anytimeで書き込ませてDropboxに送ってアップロードするという作業フローが実現します。どちらも無料アプリで。
(※連携するアプリケーションの選択方法がiOS5とiOS6とで変わっています。iOS5ではリストに10個程度しか表示できないそうです。そのため,連携可能アプリが多いと順番次第で選択できないことがあります。iOS6だとアイコン形式で表示をフリックすることで多くの選択肢の中から選べるようです。)
さらに有料の追加機能(アドオン)もあって,手書き変換アドオン(600円)は,手書きの文字をテキスト文字に変換してくれるという優れもの。「7notes」という先行アプリで提供されている機能として,高い評価を得ています。
小学生が,手書き変換機能を使うべきかどうかは議論の分かれるところですが,一つの道具としては用意されていてもよいのではないかと思います。漢字学習への影響云々という問題指摘も出てくるとは思いますが、要するに別途ちゃんと学習指導しているかどうかはアプリの機能一つで左右される話ではないのですから、その辺はちゃんと議論を交通整理すれば解決する話と思います。
私としては,デジタルポートフォリオの活用のためにも,検索可能性を確保できる点で手書き変換機能は積極的に利用してもよいのではないかと考えています。
というわけで,昨日今日はiPadの教育利用について,慌ただしく実践をしていたわけですが、さらに今回リリースされたNote Anytimeの衝撃に興奮さめやらぬというところです。皆さんもぜひ試してみてはいかがでしょうか。