20181120_Tue

授業と会議。

卒業研究には,「教育玩具」をテーマとしたWebサイトを構築するというものもある。サイト自体はこれから構築作業をするのだが,事前調査は進めてきており,その歴史的な流れについて調べてもらっているところである。

教育玩具の近代』(世織書房)は,教育玩具に関する数少ない文献の中の貴重な一冊だが,日本において「教育玩具」がどのように生まれ受容されてきたかをまとめている。そこには明治期における内外の博覧会への出品に関わって展開する,幼児教育にとって意義ある玩具を具現化しようとした試みと失敗,ビジネスチャンスを生み出した商才とそこへの便乗,そして教育関係者による玩具の改善といった歴史がある。

そのような歴史の中の,教育博物館(現在の国立科学博物館)の存在や,百貨店の三越による児童博覧会や児童用品研究会の設置は興味深い。(時間差を伴いながらも)産官学の連携が教育玩具の世界でも成立していたということだろうか。

個人的には高島平三郎が作成した「年齢別の発達段階に適応した玩具分類表」や関寛之が作成した「玩具の科学的な分類表」を機会があれば探して見てみたいなと思う。

この本の後半は幼稚園教育と教育玩具としての積木を軸に論じられていて,これはこれで担当している授業にも関わるので興味深い。フレーベルの「恩物」が外来玩具として持ち込まれ,日本の幼稚園教育の形成とともにどう受け止められたのか。またじっくり読んでみたい。