20181230_Sun

久し振りに姪っ子,甥っ子とご対面。

甥っ子は3歳になった。保育科目で子供達の成長発達過程について学んでいるときにも,学生たちが自分の周囲にいる子供達の実際の様子を思い出しながら授業内容を理解する場面があったりするが,私自身も家族や身内の子供達と接するたびに,子供達の成長の速さやら凄さを実感して知識を再確認する。

仮説形成(アブダクション)について考えを巡らせていると,「仮説実験授業」というものがあったけれど,あれは関係するのか?といった素朴な問いにも触れる。

板倉聖宣氏による仮説実験授業は,そもそも科学教育の文脈で提案された考え方で,従来までの理科教育における実験が学習者による予想やら仮説を持たせた上で行なわれてきたわけではなく,どちらかといえば実験はショウのような位置付けでしかなかったことへの反省として出されたものである。

仮説実験授業を雑に紹介すべきではないのだが,流れとしては,予め用意された「授業書」と呼ばれる授業展開指導書のようなものに基づき,問題といくつかの仮説を示していき,学習者にはそれら仮説に基づいた予想や討論を展開させ,実験によって確かめるという一連の活動を通して科学的認識を深めさせるというものである。

仮説実験授業とアブダクションの関係を考えると,同じ「仮説」という語をまとっていてもその力点は異なっている。仮説実験授業には学習者の予想や討論を引き出すのにふさわしい複数の仮説が用意されており,その仮説の確からしさを熟考させ,検証させるという狙いがある。一方のアブダクションにおいては,確からしさを伴った仮説の形成が狙いであり,その確からしさを高めるという意味合いにおいては検証の過程も重視されている。

両者が異なる力点を持っているということは,これらを連携させて考える余地を感じさせる。プログラミング体験の考え方において仮説実験授業の考え方は参考にできる部分もあり得るだろう。もっとも板倉氏による仮説実験授業の特徴でもある「授業書」の試みに関しては具体的な方法論として受容するかどうか判断が分かれるだろうけれども。

たとえば「仮説形成授業」なんてキーワードで検索するだけでも(そのような語が使われているわけではないが),すでにアブダクションに注目した科学教育の試みについての研究成果はいくつか入手できる。こうしたものがプログラミング教育でも参考になる。

来年は,こうした議論が賑やかになるだろう。