このところ勤労統計不正ニュース続き。
国の文書管理のお粗末な状況は今に始まったことではないとはいえ,今回の統計調査が実際の給付事業に影響を与えるという点で注目が集まった。
政府レベルの統計調査の扱いがこんなに杜撰な状況が,まるで当たり前のようになってしまうと,日本で統計調査やデータ処理を仕事にしている人々の信用問題にも繋がるのではないかと心配にもなる。
しかもデータサイエンスやAI技術など,統計が関わる専門分野は広がりを見せているわけで,そういった仕事にデータを誤魔化すことが日常化している国の人材が携わることに不安感を抱かせてしまったら,ますます取り残されそうで怖い。
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研究者に対して,研究が公正に行われることを促すための様々な取り組みがある。
たとえば「研究公正ポータル」といったサイトがあり,研究倫理に関する様々な情報に触れることが出来る。また私たちは研究倫理を学修するように求められているため,それを支援する「研究倫理eラーニング」もある。
統計の世界には統計倫理というべき研究倫理があるようだ。
「日本人に欠けているのは統計的な「センス」と「倫理」【特別対談】東京大学・竹村彰通教授(4)」(ダイヤモンド・オンライン)
ただ多くは,統計を用いる研究活動に対する倫理という括りで語られるようだ。しかし,行政やビジネスの世界で統計を用いることも珍しくなくなっているのであるから,研究倫理という言葉とはまた別に統計倫理を考えてデータの扱い方について考えていくことは重要になってくるだろう。
学校教育にも「データの活用」といった学習内容が入ったりして,統計教育への注目も高まっているが,統計倫理的な要素も含めて,もっと考えていく必要がありそうだ。