教育関連のセミナー展示会として長い歴史を誇るNew Education Expoが今年も開催されています。6月6日〜8日に東京で行なわれ、21日〜22日に大阪で行なわれます。
フューチャースクールに関わったので、大阪会場のセッションに登壇する依頼をいただきました。なので、予習の意味を込めて、東京会場の偵察に出かけた次第です。
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好評なものは定番セミナーとなって可能であれば毎年行なわれるものもあります。その中では、筑波大学附属小学校の児童・先生方による公開授業があります。
「フューチャークラスルーム」の公開授業、筑波大学附属小学校ではタブレットが”普通”の光景(ITpro) http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130608/483382/
今年度は筑波大学附属小学校で「未来の教室」環境が構築され共同の実証研究が行なわれることも発表されたようです。
子ども達はタブレット端末を使い始めて間もない時期とのことでしたが、タブレット端末独特の敷居の低さゆえでしょうか、操作の手順はともかく、操作自体に対する違和感はないようです。
そういう状況で、国語と算数の授業が行なわれました。授業自体はシンプルなもので、タブレット端末と電子黒板の活用が浮かび上がりやすいものだったと思います。
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授業の善し悪しは置いといて、主にICT機器などに関して思いついてメモしたことを挙げておきます。
・授業支援システムで児童のタブレット端末の画面を出した時、児童のタブレット端末の制御権(表示の拡大縮小やスクロール操作など)も渡すことができたらいいな。
・デジタル教科書の書き込みペンのペン種類や太さなどの選択メニューが画面を覆い隠してしまうUIなのはどうか?
・学習者用デジタル教科書への書込みなどの履歴を残し、教師側から遡る操作が出来ると、作業や思考の変化を見せることができるのに。
・電子黒板の小ささを(とりあえず)補えているのは、デジタル教科書の固定レイアウトによる忠実な位置関係の再現によるものだろう。
・タブレット端末はマルチタッチ対応だが、学習者デジタル教科書アプリはシングルタッチ(マウス操作前提)しか対応していないため、グループ作業で複数の児童が同時に作業できない。
・タブレット端末での操作のしやすさも考えると、画面上で移動できる表示部品は大きくせざるを得ないが、そうすると端末画面自体が狭いため多数の表示部品が画面でいっぱいになって大変。さまざまなオブジェクトの拡大縮小がもっと自在にできる設計が必要かも知れない。
・適度に黒板への板書もしているので、タブレット端末操作が一段落した児童は、ノートへの記録作業によって時間を持て余す率も減る。
・児童のタブレット端末で見せたいと思った画面があっても、見せるタイミングのときに消されていたり、変化していたりすることがある。履歴、もしくは見せたいと思った時点でスナップショットが取れる機能も必要か。 ・教師用のパソコンの画面と児童のタブレット端末の画面を同時に表示したい場合があると電子黒板一台だけでは厳しい。地上波デジタルテレビがあれば併用することを奨励すべきか。
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あとは、こうしたICT機器をたくさん扱う展示会では、展示機器が使うための無線LAN機器だけでなく、多数の来場者が持っているスマートフォンの無線LAN機能がお互いに干渉し合って、深刻な通信不安定状況を生み出している。そのため、公開授業でも通信の不安定さによる画面転送機能の不具合が見られたりもした。
スマートフォンには電波を停止する機能もあるが、飛行機に乗る機会が多い人は別として、多くの人たちがそういう操作に疎いので、なかなか問題は解決しない。
そこそこ無線LANは電波であることの様々なメリットデメリットがあり、特に身体への影響に関しては、様々な見解がある。
正直なところ、私は無線LANについて可能性は理解しているが、基本的に使わない時には電気を切っておける機構が必要と考えているので、無線LANアクセスポイントを作っている企業には、電灯のON/OFFと同じようなスイッチを教育向けには本気で検討して欲しいと思っている。
パソコンの場合は、無線LAN機能をオフにする方法があるので、そのような操作方法をしっかり学ばせることが大事かなと思う。
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公開授業を見て、改めて考えなければならないものが多いなと思った。その他のセミナーでは、自治体の取り組みなども勉強できて、なかなか興味深かった。
いろんな人たちの顔も見れたが、失礼ながら省略させていただいたり、軽いご挨拶などで代えさせていただいた。
多くの人たちが「再び追い風が吹きつつある」という感想を述べていたのは、少し印象的だった。確かに風も大事だと思う。
もっとも風向きはまだまだ乱れ気味であることも確かなので、もう少し現状を見つめながら先を見通してみたいと思う。