遠隔で情報処理演習

職場で「情報処理」という演習授業を担当しています。

コンピュータ入門といった授業なので、大学の勉学で必要となる基礎知識と事務系ソフトの操作演習、プログラミングの触りを紹介するといった内容です。

残念ながら、それほど先進的な内容ではないし、パソコン教室を前提とした諸条件や環境で、一斉演習に縛られがちなことも弱点かなと思います。

そんな情報処理の演習授業もコロナ禍の影響を受けて遠隔授業となっています。

学生たちの操作を直に支援できないし、パソコン教室前提とやってしまったことが裏目に出て、パソコン所持している学生の少ないことが祟り目となり、情報処理演習が遠隔になるなんて悪夢にも思えるところですが、私にとってはパソコン教室から解放されるチャンスとなりました。

パソコン教室は雑にしつらえられたWindowsオンリー環境で、ソフトを起動するとユーザー登録ダイアログを毎回表示したり、使いやすい設定に調整されないまま凍結されていて、さらに某社のPC教室支援システムはまともなパフォーマンスを発揮しないお荷物状態。どんどん使いたくなくなる環境でした。

学生たちは確かに実際に操作できるんだけども、例示がうまく把握できないまま混乱のもと使いにくい条件で操作を続けるので、逆に何やっているかわからないままなことも頻発。指導者の力量不足が主要因である指摘は甘受するにしても、どうしても一対多の演習授業で距離が遠くなっていました。

遠隔授業になって、学生たちの演習環境は乏しくなりましたが、その分、例示と解説がぐっと手厚くなりました。

自前のシステムを例示用に使えるため、Windowsオンリーだった内容が、MacとWindowsを同時並行してみせるだけでなく、スマートフォンとも比較しながら例示できるようになりました。

動画配信なので、例示画面や解説の声もぐっと近くなり見やすくなります。自前システム(普通のMacですが…)だと自由自在に画面を拡大縮小できるので、注目して欲しい部分を拡大し、ポインタで強調することもできます。

「何やっているかわからない」という反応がグッと減りますし、ほとんどの学生が持っているスマートフォンで実演するので、そんなことができるのかという驚きと実際にやってみたいという気持ちを高めているようです。

クラウドの仕組みを理解するのは時間がかかりますが、パソコンで編集したものがスマートフォンでも閲覧することができるといった連携の便利さを実感できれば、実務での利用にもその感覚はプラスに働きます。

実際のところ、学生たちは対面による演習授業も求めているので、複合型で進められるとよいのですが、そのためには各自がパソコンを所持する状況に転換することが必要かなとも思っています。

GIGAスクール時代となり、一人一台は当たり前になりつつありますので、大学での情報処理演習といった入門的授業は、よりコンピュータ科学的な専門性を高めるか、あるいは複数プラットフォームを自在に横断するといったより高度な実用スキルを身に付ける方向などに進化していくことが求められるのかなと思います。


ちなみに自前システムは…

  • macOSをベースに…
  • Parallels Desktop上で動作するWindows10
  • Reflector4で画面受信するAndroid
  • Reflector4で画面受信するiOS

といったところ。M1 Macになって、これらがファンも回らず軽々動作するようになったので、ますます便利です。