前期授業と定期試験の期間が終わり,採点と成績処理をしていた。
連日のオープンキャンパスと学生達の実習に関わる様々な対応と個別の相談なども続いていた。
いろんなことは束になってやってくるが,おかげで束になって一段落つくこともあるため,今週末,ようやく普通の休日を過している(あるいは,そうしている)。
—
京都大学とは直接のご縁はないけれど,京都大学の高等教育研究開発推進センター(CPEHE)が廃止されるというニュースが流れてきたので驚いている。
京都大学CPEHEのセンター長は飯吉透先生。まだカーネギー財団にいらして東京大学BEAT寄付講座でご講演されたときにちょっとだけご一緒させていただいたことがあった。
オープンエデュケーションについて熱く語っていらっしゃった姿はいまでも思い出される。今もまだ,そのときお話いただいた内容に時代は追いつこうとしている最中という感じだ。
ちみなに飯吉先生は,2007年ごろに私が東京で修士大学院生をしていたときに,実物の初代iPhoneを初めて見せてくださった方でもある。あれは感動的だった。
そんな飯吉先生がセンター長になった京都大学CPEHEは,日本におけるオープンエデュケーションの動きを最先頭で牽引する立場にある。事実,その活動や業務取り組みは広範であった。
それが(外部の私たちにとっては)突然の廃止発表となり,取り組みの多くが終了または閉鎖となる。
この界隈の人々の反応も驚きや落胆や憤慨や達観や疑問などなど多様だ。
—
今回の件が私に思い出させるのは「独立行政法人メディア教育開発センター」(NIME)の廃止である。
NIMEも,まさにこれからメディアやICTによる教育を積極的に推進しなければならないというタイミングに,政府の行政改革推進の一環である独立行政法人整理合理化計画のもと,一部事業を放送大学に移管したのち廃止となった。
京都大学CPEHEが担ってきた様々な業務や事業は,NIMEが存続していれば国の取り組みとして担って,全体を牽引していっていたのではないか,そうあるべきだったのではないかと思わないではない。
今は国立教育政策研究所(NIER)と国立情報学研究所(NII)がそれぞれの立場から教育と情報の分野について事業を担ったり研究貢献をしているけれども,教育と情報を越境的に扱っていたメディア教育開発センター(NIME)を失ったのは痛かった。
そのために現在進行している教育データ標準やCBTなどの取り組みをがっちり引き取る組織がない状態で,文部科学省内のチームが通常の行政事務の傍らで取り組まざるを得ない状況を生んでいる。そのやり方にもメリットはあるだろうけれど,味方が多いに越したことはないはずである。
—
京都大学CPEHEの廃止に関しては,私たちの知らない攻防があってのことだろうけれど,関係者にとって大きな存在であっただけに影響も大きいのだから,経緯が明らかにされることを願う。