2014年11月5日に韓国・世宗特別自治市にあるハンソル初等学校(한솔초등학교)に訪問し,授業参観を指せてもらいました。
当日は保護者参観と同時に「デジタル教科書研究学校運営報告会」としても公開されていたようで,大変賑やかな学校の視察となりました。
デジタル教科書研究のモデル校ですし,世宗特別自治市はかつて遷都予定地であったということから多くの政府組織が移転していることもあって,比較的環境のよい先導的な学校だと理解するのが自然のようです。
教室環境は,液晶ディスプレイ式の電子黒板が教室前方の中央に設置され,これにホワイトボードをスライドさせて収納できるようです(ほとんどの教室で開けっ放しで電子黒板を使っていましたが)。先生の机は電子教卓となっており,映像を映し出す機器は普通教室に常設済みというのは,もう何年も前からよく知られた姿です。
児童側にはサムスン社製のAndroidタブレット端末が用意されており,当然授業ごとに1人1台活用からグループに1台など,利用形態が異なります。もちろん今回は使っていないというクラスもありました。
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写真のクラスは5年生で,「未来の自分の姿を示して発表しましょう」という活動のようでした。ホワイトボードの手順を見ると「例示データの発見」「発表資料の作成」「発表」という手順で進めていたようです。
電子黒板を見て分かるように,ポラリスオフィスを使って各自スライド作成して,それをクラスティングと呼ばれる教育用SNSにアップロードする作業が行なわれていました。児童たちはいつもの作業とばかりに各自で黙々と作業をしていて,操作に困ったりする様子は皆無でした。
その他のクラスや学年もデジタル教科書の提示や閲覧,調べ学習の情報検索,クラウド上のマインドマップ作業などにタブレット端末を活用していました。
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ちなみに3年生の教室では,タブレット端末にハードウェアキーボードを組み合わせて利用していたのですが,他のクラスはほとんどがソフトウェアキーボードで済ませていました。韓国の場合,入力するのはハングル文字になりますが,そのテンキー入力方式を利用しているのも印象的でした。(iPadの韓国語標準キーボードにはこのタイプの方式は装備されていません。)
滞在時には思いつかなかった疑問ですが,韓国の場合の手書き(筆記)に対する認識がどのようなものであるのか気になります。日常生活や仕事の場面でもほとんどハングル文字で通用してしまう世界ではキーボード入力の効率性は絶大のように思われますが,それに対して筆記による学習効果(記憶定着)といった議論がどの程度取り上げられるのか。次の機会に聞いてみたいと思いました。
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学校全体の教育活動の様子は目新しさに満ちているというより,日本の元気な小学校のそれとほとんど変わらないと思います。教授学習活動が児童の身になっているのかどうかを判断するには語学力がなかったので雰囲気だけを見るしかありませんが,ICT活用がずば抜けて効果を発揮しているということは無いように思います。当日は親御さんも来ている授業参観の授業でしたから,ここから日頃の授業の営みを推し量るのはちょっと難しいかなというのが正直なところです。
とはいえ,設備の常設化や全学年を通してICT機器の活用をデザインしていける環境にあるというのは,やはりそれなりに意味があることで,ごくごく普通に利用している状況に到達しているということは,それなりの積み重ねがあって初めて成り立っているということをあらためて感じることができた視察でした。
最後に確認ですが,このハンソル小学校はモデル校の一つですので,他の韓国の小学校では事情が違うことを念頭に置いておかなければなりません。