Edmodo導入記 その3

 授業が始まって一週間が過ぎ,担当する授業も一通りガイダンスを終えたことになります。そして,Edmodoへの学生登録も完了しました。
 Edmodoは教育用SNSという分類をされたり、教育版のFacebookだとたとえられたりします。何年か前には教室向けのTwitterだと紹介されました。
 しかし,mixiやFacebook,Twitterと異なるのは,先生アカウントと児童生徒アカウントは対等ではなく、また児童生徒アカウント同士はフォローし合うとか友達になるといった複雑な関係を紡ぐようには設計されていないことです。
 つまり,会員制掲示板を管理する管理者と掲示板利用する会員という前時代的なシステムにSNS風の要素を付け足したに過ぎません。
 学校内に掲示板システムを立ち上げていた事例は過去にもあったでしょうし、教室にあるパソコンの上に学級日誌的に記録を残して交流するソフトもありました。
 Edmodoは,インターネット・SNS時代におけるそれらの進化版と考えられます。

 ならば,Facebookを活用した方が本当に意味でソーシャルメディアを活用することになるのではないか。その方が,世間一般とのコネクションも得やすいわけですから,学習活動に広がりが得られるのではないか。
 そのように考える向きもあるかも知れません。
 教師の統制の中でお膳立てされたICT活用を実践しても,それはお仕着せであって,普段から児童生徒に端末を持たせて文具的に利活用させなければ,本質は学べないとかいう理想論からすれば、SNSの真似っこEdmodoよりも本格的なSNSであるFacebookを活用させるべきという主張も聞こえてきそうです。
 もちろん本物を触れていくことには意義がありますが、最初からそうでなければならないということは必ずしもいえないのが現実です。そもそも段階によって目標が異なるのですから、目標に沿うかたちで道具立てや利活用方法を整えることは教育的営為の重要な使命なのです。
 今回,どちらかといえば週一回の講義とその周辺の学習活動をフォローすることがシステムの導入目的でしたから、外部との接続可能性を抑えたかった面があります。(もしこれが毎日顔を合わせるゼミ生や児童生徒ならば前提が違うことになります。)
 こうした目的にはEdmodoは大変使いやすいシステムです。

 ようやく学生たちの登録が済み、これから授業過程で活用していくつもりです。様々な機能を使いこなすには繰り返して試してみる必要があります。
 Edmodoと同じようなサービスは,韓国のClasstingもあり,こちらも急成長しています。韓国らしくさらに細かな機能を付け加えています。
 日本でEdmodoに関心のある人は少なくないようですが、やはり英語に抵抗があるようで,なかなか本格利用に至らないようです。また,学習サポートSNSはいくつかサービスが出てきていようですが、授業をサポートするようなものはビジネスモデル的に旨味がないためか登場していません。
 願わくは日本の会社が作ってくれるきめ細かなサービスを利用したいところですが、しばらくはEdmodoを日本語で活用することに挑戦していきたいと思います。

Edmodo導入記 その2

 Edmodoを授業で使い始めるためには,学生達向けの説明が必要ですので,そのためのプリントをつくってみました。

教育SNS「Edmodo」の使い方 (1)
http://dl.dropbox.com/u/6195338/Edmodo/edmodo01.pdf

 十分な見直しなど出来ていませんし、使い始めの部分しか扱えていないので,まだまだ続きをつくる必要がありそうです。

 大学の授業での利用を想定しているので堅い感じですが,中学生や高校生にも理解してもらえるように改善をしていきたいと思います。

 自由に使ってもらってかまいませんので,感想やアドバイスなどフィードバックしていただけると助かります。

 Edmodo上に,Edmodoを日本語利用するための意見交換グループ「Edmodo Japanese Users Club」をつくりました。 Group Codeは「duvgnf」です。こちらのURLからも参加登録できます。

 児童生徒用アカウントでも,教師用アカウントでも,どちらでも参加できます。よろしければご参加ください。

Edmodo導入記 その1

edmodo_main.jpg
 Edmodoを本格的に触り始めています。
 これまでも,ちょこちょこと試していましたが、まじめに操作していたわけではありませんでした。先生アカウントからの長めを見ていただけで,児童生徒アカウントは未設定でしたので,実際に相互やり取りが起こった場合にどうなるのかも見えていませんでした。
 今回、ようやく自分の授業に本格導入するため,導入作業とリハーサルをしているところです。あと日本語利用で問題が起こるかどうかのチェックも兼ねて。
 端的に言えば,なかなか興味深いシステムですし,いくつか注意すれば日本語利用でも問題はなさそうです。Facebookの要領が分かった皆さんなら、操作のクセをつかめば便利に活用できるはずです。

 Edmodoが想定しているユーザーは4種類。
 ・教師
 ・児童生徒
 ・保護者
 ・学校又は学区担当者
 このうちの教師と児童生徒だけでEdmodoを使い始めることが出来ます。もちろん教師だけ先に登録するところから始まります。
 最初の登録でクリックする入り口は4つに分かれていますが、アカウントを取得すれば共通のログイン画面を使います。
 先に登録した先生が,授業で使うためのグループを設定しておきます。グループには個別の「グループ・コード」が自動生成されるので,それを児童生徒に伝え,登録の際に入力させるのです。
 すでに児童生徒が登録してあった場合は,グループコードを使って,グループ参加だけを追加していくわけです。
 なお,児童生徒がEdmodoに登録する際には,グループコードさえあればよく、電子メールアドレスの入力は任意です。この点は,アドレスの割当てがない小中学校の利用に便利と思います。
 ちなみに携帯電話のアドレスを登録する際には,メール受信制限の設定で「edmodo.com」を受信許可してあげないと通知が届きません(ちなみにnotify@edmodo.comから届きます)。

 基本的に英語ベースのサービスです。
 英語表記が苦手な人には辛いのかも知れませんが、Facebookと雰囲気がよく似ていますし、システムで使う英語は限られていてアイコンも付いていますので、慣れてしまえば気になりません。
 教師アカウント登録の際,学校名を登録するときやアップロードするファイル名には日本語文字が使えないことを除けば,ほとんど問題なく日本語文字を使って書込みをすることが出来ます。
 各個人の書込みは基本的に外部から参照できませんので、宛先指定を間違えなければ各グループ内でのみ閲覧するようになります。またダイレクトのメッセージは先生宛のみ送れるので、児童生徒同士のダイレクトメッセージは出来ません。
 各児童生徒がグループの画面を参照している中に「parent 保護者」用のグループコードが表示されています。これを使うと保護者もグループに参加することが出来ます。

 EdmodoにはiOSとAndroid用アプリが用意されています。
 児童生徒の家庭でEdmodoにアクセスする際には便利ですし、アプリの通知機能を使って連絡などを確認できます。
 先生にとっては,アプリの上で児童生徒からの質問やコメントを返せたり、宿題の評価をすることも可能です。やはり通知機能で迅速な対応が出来るというわけです。

 なかなか面白そうでしょ?
 これを実際に大学の授業で導入しようというわけです。
 昨年度はFacebookを試験的に利用しましたが、個人アカウントとの兼ね合いをどうしようかとか、Facebookのつながり尊重主義が逆に教育的には使い難かったところもあり、思い切った活用には至りませんでした。
 今回,Edmodoという教育SNSを使うことで,その辺をクリアできるのではないかと期待しています。
 
 ちなみにEdmodod上に,Edmodoの日本語利用について意見交換するグループ「Edmodo Japanese Users Club」をつくりました。 Group Codeは「vgct79」です。よろしければご参加ください。児童生徒用アカウントでも,教師用アカウントでも,どちらでも参加できます。

日本のEdTechはどうなるのか…

 教育と情報の分野について通時的・共時的に素材を採取している日々です。小難しい言い方でしたが,要するに歴史を遡ったり,現在の様々なニュースを追いかけているというだけの話です。
 教育と情報(技術)の交差点のような分野を指す言葉として「EdTech」があちこちで用いられています。Educational TechnologyあるいはEducation & Technologyを略した言葉ということになります。
 格好よい言い方なので,どちらかというとネット技術を武器に教育の在り方を改革しようとする新興企業(スタートアップ企業)が自分たちの領域を指す場合に使われることが多いように思います。

 さて,日本にも教育分野を対象にWebやネットの技術を使って画期的なサービスを提供しようとしている企業が増えてきました。
 一口に教育分野といっても,想定している場や学校種も違えば,働き掛けようとしている活動(学習を支援するとか,就活を支援するとか)も違って,様々です。
 それでもEdTechという括りで盛り上がっていこうという機運があるようで,たとえば昨年からはEdTechフェスティバルといったものも開催されているようです。近日中に第2弾が開催されるとか。
 どの会社もネット上で話題にされたり、注目されている会社です。こうした取り組みが何かを変えるきっかけになることを私も期待したいところです。

 ただ,いつも感じるのは,こうした催しに集まる人々のクラスターが,実際のところ学校教育制度を中心にまわっている日本の教育と距離があることです。
 まぁ,日本の学校教育制度のガチガチぐあいは,今さら繰り返すまでもありません。そこに正面衝突しても,得られるものや変えられるものが少ないというのも事実であります。そこをずらして取り組まざるを得ないというのも不思議ではありません。
 とはいえ,諸外国のEdTechの盛り上がり方と,日本のEdTechで盛り上がっている人たちの状況の違いは,ちょっとかわいそうに思います。もちろんそこにチャンスがアルトも言えるわけですけれど…。
 教育工学の世界が研究として長く取り組んできても突き崩し得てない壁を,ある意味軽い調子で乗り越えてくれたなら,いいなとも思います。

 一方で,学校教育の方も,そろそろ下手に積み上げてきた考え方やルールを一度ご破算にして,いろいろ受け入れてみるのもよいのではないかと思います。フィルタリングにしろ、携帯電話のルールにしろ、そもそも教育方法に関わる教師のフリーハンドの無さにしろ、そろそろ解決すべき頃合いです。
 国の方では教育委員会制度の方を先にぶっ壊そうとしていますが,願わくは教育委員会がいま持つ権限を有効に活用して事態を改善してくれると遠回りせずに済むと思うのですが,まあ,全部壊してすっきりしたい人が多いようで…。
 破壊的イノベーションは,確かに新しいことするには効果的かも知れませんが,これまで培ってきたものを大事にするには,少々粗っぽいかなとも思います。

Note Anytime 活用事例

201303_noteanytime.jpg
 徳島県上勝小学校での出前授業の様子をNote Anytimeのサイトでご紹介いただきました。研究室に開発者の皆様をお迎えしての楽しい時間でした。
 
MetaMoJi Note Anytime ユーザー事例
https://product.metamoji.com/ja/anytime/showcase/index.html
 
 子どもたちの様子や作品はこちらのサイトでもご紹介しています。
デジタルコンテンツ出前講座(上勝小学校)
http://www.our-think.or.jp/digital/?p=1170

 Note Anytimeも着実にアップデートし,デジタルキャビネットの同期機能も学校で複数台が利用するのに都合よいように改良されています。
 現在,Android版も開発の仕上げにかかっていて,これでiPad版,Windows8版,そしてAndroid版というクロスプラットフォームで利用できるアプリになります。デバイス混在環境でもデータが共通で利用できるのは学校利用において安心です。
 まだまだこれから大きな動きもありそうなので,応援したいですね。