ひとり閉じこもって締め切りに追われたり,出張周りをしていると,大事な情報を見落としてしまうことも少なくありません。
最近は,あちこちから情報が発信されているので,大事なことにも関わらず,たくさんの情報の中に埋もれて気が付かないということも起こります。
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7月10日付けで「平成23年度 学校における教育の情報化に関する調査」の速報値が公表されました。
日本の教育の情報化を議論するための基礎資料ですので,大変重要です。しかし,以前にも指摘したことがありますが,この調査結果の提示の仕方にはいくらか問題があって,事態をちゃんと把握することに役立ってないように思われます。
個人的には,この基礎資料をもっと分析して,噛み砕いた形で提示すべきだと感じましたので,次回のJSET研究会でその発表をしてみようかなと思っています。
その一例として,「電子黒板の整備状況」について,速報値資料が描いているグラフに問題があることは,2012 PCカンファレンスなどでも,ネット上でも指摘しています。
文部科学省の速報値資料では
しかし,普通教室との比較で描くと同じデータでもこうなります。
空白に何の意味があるのか,と考えれば無駄な描き方ということになるでしょうが,それだけ整備されていないことを示すには,空白部分が大事になります。
本来であれば,比較対象は学級数の方がより適切とは思いますが,文部科学省が用意しているデータを前提とするなら,こう描くことになります。
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7月31日には「日本再生戦略」が閣議決定されました。少しとはいえ教育とICTに関しても言及されています。
工程表の「(2)II 我が国経済社会を支える人材の育成 〜人材育成戦略〜」には,2012年度に「ICTを活用した教育(特別支援教育を含む)に関する実証研究の改善等」と,2014年度までに「児童生徒1人1台の情報端末による教育の本格展開の検討・推進」に取りかかるといった文言があり,次のような項目が明記されています。
●協働型・双方向型の教育環境の実現、デジタル教材の開発、指導力の向上に関する実証研究
●実証研究などの状況を踏まえつつ、デジタル教科書に関する制度の在り方等について検討
2020年までに「OECD生徒の学習到達度調査等で世界トップクラスの順位」が成果目標とされています。
まさに国家戦略として出されたので無視できるものではありませんから,いろいろ確認して検討する必要があります。もちろん具体的な方策を考えるということもそうですし,「そもそも論」的な見直しも研究者側では試みなければなりません。
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宿題がいっぱいあってちょっと大変ですが,この辺を皆さんがどう考えているのか。いろいろ聞いてみたい気もします。