20190107_Mon 月曜1コマと赤福

実質的に今年の仕事始め。

月曜1時間目の授業コマは,担当している側にも少々複雑な心境を抱かせる。まだ少しお休み気分が抜けきらないところに斬り込んでいく後ろめたさと,今週を気持ちよくスタートできるかどうかはこの授業の雰囲気で決まってしまうのではないかというプレッシャーが,渾然となって襲ってくるからだ。

そして,新年に入って授業再開の最初を飾ることになるから,今日はさらに緊張もした。蓋を開けてみれば,やはり欠席も目立っていたが,なんとか明るい雰囲気で授業は進行。相変わらず,あっという間の90分だった。

帰省先からお土産を買ってきたが,今回はその中に「赤福」を入れてしまった。

赤福もちの賞味期間は2日間なので本日が期限。職場に持っていけば研究室に来た誰かに食べてもらえるかなと思って購入したものの,この日,学生たちは誰も研究室にやってこなかった。新年の挨拶はLINEで済ませてあるからなぁ…変な期待をした私が甘かった。

というわけで,結局ひとりで全部食べてしまった。ははは,こりゃ太るわ。

日本教育工学会3月研究会の発表申込締切日。

前回の発表は風呂敷広げて詰め込み過ぎたので,今回はブログ記事レベルのスカスカ内容で申し込むことにした。3月は質疑応答メインで挑もう。

20181231_Mon 大晦日

というわけで2018年も最終日。

徳島文理大学の林向達です。この一年ご無沙汰したままの皆様もいらっしゃると思います。直接ご挨拶できず申し訳ありません。

今年も淡々と過ごした一年でした。

相変わらず思索をしながら教育と情報の世界を眺めつつ,職場では担当授業と業務との往復を繰り返していた感じです。華やかさには欠けますが,分相応かと。

りん研究室は,専門ゼミナールに所属する3年生(4名)と卒業研究に取り組む4年生(4名)という体制になった年でした。こういう風にカチッと学生たちが揃ったのは今年が初めてだったので(意外ですが…),その運営や学生支援に関しても試行錯誤な年でした。うちは各学生の関心がバラバラなので,カバーすべき範囲が幅広くなるといった事情もあります。

ああ,『情報時代の学校をデザインする』(北大路書房)は今年の2月発売でした。まだまだ絶賛発売中です。Society 5.0とかEdTechとか語りたい人にはお薦め文献です。

というわけで,今年も一年お世話になりました。

来年は,学会大会の会場をお引き受けすることにもなったので,今年とはまた違った形で活動を展開したいと考えています。

20181217_Mon

センスメイキング』(プレジデント社)を手にした。

実はほぼ同じ主張をしている同じ著者の本『なぜデータ主義は失敗するのか?』(早川書房)を少し読んだことがあった。

簡単に書けば,データサイエンスといった自然科学的な手法に圧倒されるばかりでなく,人文社会科学的なセンスメイキングもお忘れなくという主張である。もう少し踏み込んで書けば,センスメイキングの方がより重要だということだ。

実はどちらの本にも,プラグマティズムの創始者として知られるチャールズ・S・パースが整理した「アブダクション abduction」(仮説形成)のことが触れられている。これは推論方法の一種で,よく知られている「帰納法」(induction)と「演繹法」(deduction)に並ぶ第3の方法とされている。

もともとは近代科学の方法を探究していたベーコンによって,単純枚挙による帰納法ではない「真なる帰納法」として模索されていた手法であり,その日本語訳が想起させるように,問題に対する仮説を形成した上でそれを検証するというものだ。単なる帰納法とも演繹法とも違う。

それで宿題を思い出した。

以前,ブログに「プログラミング的思考と論理的思考」を書いた。

そこで「問題解決に際して,帰納的思考を展開するのか,演繹的思考を展開するのか。そういう観点からプログラミング的思考と論理的思考を位置づけて論じること」もできるかも知れないと書いて,そのままにしていたが,ここに「アブダクション」(仮説形成)が登場する展開になるであろうことは容易に想像がつく。

端的に書けば,プログラミング的思考とはアブダクション(仮説形成)による思考のことである。

「プログラミング的思考」なる言葉を持ち出した人々が意図しているのは,プログラミング的思考の育成によってアブダクションにもとづく思考方法や手法が育成されることだといえる。

ところが,そのことを明確に意識して論じたものがほとんどないため,プログラミング的思考を論理的思考として検討する際に,帰納法的に捉えたり,演繹法的に捉えたりする視点が混在してしまい,議論が迷走してしまうのである。

たとえば,プログラミングにおける「順次」「分岐」「反復」という要素について,これらを用いてアルゴリズムを考えることが重要であるといった理解は,プログラミング的思考の演繹的な部分だけを見ているだけに過ぎない。

また,意図する動きを実現する方法に[いくつかの模範解答があると考えて、それらから記号や組み合わせを学ぶといった捉え方も帰納的な部分を試みているに過ぎない。]正解はないのだからどんな命令や記号でもよい,といった多様な方法を許容するという考え方は,逆に単純枚挙な(帰納的)態度が行き過ぎたものにも似たように捉えられる。コンピュータプログラミングには,計算処理コストなどの現実的な制約が存在する。(訂正:当初書いた内容だと、むしろ「真なる帰納法」に」近いものになってしまうことに気づく。アブダクションは発見の方法であり、仮説をどんどん形成することにこそ意味があるのだから。)

ここに第3の方法である「仮説形成」手法がプログラミング的思考を指向する際の基調になり得る余地が見出される。

もともと,教育学でお馴染みのジョン・デューイによる問題解決学習に関する言説を見れば,プラグマティズムの考え方があり,よってアブダクションの考え方も自ずと反映されている。問題解決としてのプログラミング的思考にそれを重ね合わせる考え方もそれほど目新しいものではないだろう。

しかし,いまだ「プログラミング的思考」にまつわる論説や議論において,明確な特性を示しえていない状態が続いているため,プログラミング的思考を「どのように扱うのが妥当であるか」の基準を個々の教員に持たせられないでいる。

ここではっきりと「プログラミング的思考とはアブダクションによる思考である」と措定し,問題解決の文脈で展開されてきた仮説形成と検証の蓄積を土台にしてコンピュータや情報通信技術の課題に取り組んだ方が,同じ悩むとしてももっと明確に悩めるのではないかと思う。

20181210_Mon

Oculus GoのYouTube公式アプリが11月に出た。

アプリ名「YouTube VR」からも分かるように,Oculus GoならではのVR(バーチャルリアリティ)動画の再生に対応したもの。従来の2D(平面)動画も大スクリーンで視聴するかのごとく再生できる。

VRといっても実写動画の場合,映像視野を180度や360度角で記録したものと,映像に奥行きを持たせた3D(立体)で記録したもの。あるいは,それらをミックスしたものがある。CG動画の場合だとリアルタイムで映像を生成することも可能になるのでさらにバリエーションが増える。

研究室では以前から360度撮影カメラに関心を寄せてきた。

360度撮影カメラとしてはInsta360THETAという2大ブランドがあって,そこから他の機種に手を広げるというのが今どき。

そうして手を広げる中の一つにKANDAO社のQooCamというカメラがある。このカメラは360度撮影カメラとしてだけでなく,変形させると180度視野の3D立体撮影が可能になるカメラとして特徴的だ。研究室もお安く入手してあった。

というわけで3D動画を撮影してYouTubeにアップロードする実験。

専用アプリでFacebookやYouTubeへ簡単にシェアできる機能があるように見えたが,残念ながら現段階では期待通りに機能してくれない。まだあれこれ実装途中。

QooCamアプリで3D立体動画を撮影したら,まずはカメラからアプリに動画を転送し,共有機能でFacebookに3Dビデオとしてシェアする選択をする。ただし,アップロードが行なわれるわけではなく,標準の写真アプリに3Dビデオ加工されて保存されるだけ。これをFacebookアプリでアップロードする。

ところが,Facebookアプリは3Dビデオのアップロードをまだサポートしていない。これをパソコンなどに転送して,YouTubeにアップロードしようかと思うと,今度はYouTubeアップロードにあったはずの3Dチェックボックス機能が「サポートは終了しました。」という状態。

そこでヘルプ「3D動画のアップロード」に書いてあるように,「Spatial Media Metadata Injector」というソフトを用いて3D動画であることを認識させるタグを埋込む作業をすることになった。

これで保存し直したものをYouTubeでアップロードしたところ,無事に3D動画として登録された。Googleはこのタイプの動画を「VR180」と呼んでいて,対応カメラもいくつか出ている。また,こうしたVR動画を視聴するには,スマートフォンとVRグラス/ゴーグルといったものを組み合わせるか,Oculus Goのようなデバイスを使うことになる。

VR動画もあくまで映像撮影方式の一選択肢でしかないので,何でもVRにすればよろしいわけでもない。教材作成に有効そうに思えても,向いているものもあれば向いてないものもあるだろう。そういう意味では,もっと簡単に扱えるように撮影や視聴フローが改善されていくことが大事なのだと思う。

20181203_Mon

授業と研究室。

卒業研究で学生たちが連絡を取った数学サイトの作者から返信を頂いたとの報告。リンクに関して快諾を頂いた上に展開図の実現方法について詳しい説明もしてくださったようだ。有り難い。さらに「林ゼミ」という文字を含めたことから,当方の研究室であること,受賞されたコンクールの審査に私が参加していたことも,すっかりお察し頂いていた模様。直接挨拶できておりませんこと申し訳ありません。ゼミ生に至らぬ点ありましたら,ご指導ご鞭撻のほど,よろしくお願いします。

採用試験対策講座用の定着テストの作成。

過日,小学校プログラミング教育に関するレクチャーをした講座の定着テストを実施するらしく,そのためのテスト問題を作成する依頼を受ける。

情報活用能力やプログラミング的思考あたりの文言を確認する単純な穴埋め問題になったが,過去問があるわけでもないのでこれでよいものか,作成作業は躊躇いを感じながらだった。

最近は,いろんなことを問い直す必要性を感じる分,結論に至るまで堂々巡りをすることが事のほか多くなってしまった。そうやって考えを巡らせたものの,結果的に出来上がったり落ち着くのは月並みなものだったりして,だったら悩まないで機械的にやっちゃった方がよかったじゃないと思うと,気分は凹んだりもする。

とはいえ,余計な負荷がかかって処理速度が遅くなるとしても,自己チェックをしながらでないと何かを見落としそうで不安なのも確か。もう誰も私に迅速さを求めてはいないのだから,開き直ってじっくり慎重に考える立場をとろうと思う。