CBTシステムをローカルに導入する法

文部科学省が実施している全国学力・学習状況調査(全国学力テスト/全国学調)をCBT化(コンピュータを使ったテスト実施)するにあたって導入しようとしているシステムは,国際学力調査などでも利用されているCBTシステム「TAO」をベースにしたものです。

「文部科学省MEXCBTシステム」と呼ばれており,現在はシステム開発と実証実験を行ないながら着々と準備を進めているようです。

学校に導入されたGIGAスクール端末から,このCBTシステムを使ったことがある児童生徒さんもいるはずです。今後はもっと日常的なドリル教材として利用したり,タイミングによって学力調査に使用されるようになります。

それだけ身近なシステムになるわけですから,問題作成や出題に利用する先生方や学習に利用する子どもたちの保護者が,そのCBTシステムに触れたり,知っていたりする必要もあるのではないでしょうか。

けれども,CBTシステムとか,「TAO」とか,難しそうだし,専門システムなんか有料で複雑だろうし,素人には無縁無用な代物のように思えます。

違います

無料版があり,誰でも手に入れられます。

仕事に使える性能を持ったパソコンであれば,手順通りにするだけで試しに導入できます。

実際の問題作成の作業に使うこともできます。

実際にやってみましょう。

CBTシステム「TAO」のローカル環境への導入(Intel Mac版)

必要なものは:

以上です。

パソコン以外はインターネットから無料で入手できます。

手順は:

  1. Dockerアプリを入手してインストールし,起動する。
  2. TAOシステム(コンテナ)を入手するためのコマンドをターミナルで実行する。
  3. Webブラウザで指定のURLにアクセスする。
  4. TAOにログインする。

以上です。

入手コマンドは

docker run -tid --name taotesting-core -p 8080:80 taotesting/core:latest

をパソコンに用意されているターミナルアプリを通して実行します。

あとはTAOシステムの使い方をじっくり研究して試してみるだけです。

今後は全国学調だけでなく,地方学調でもCBTが導入されていきます。

そうなればなるほど,CBTで使う質の高い良問がもっと必要になります。CBT向けの問題作成がもっと取り組まれて,たくさんの問題から質の高い良問を抽出したり,問題作成の経験を積むことで良問作成のコツや手法が見出されることが必要になります。

作成方法は人それぞれでよいと思いますが,CBT用の問題にするために実際のシステムを用意して問題を編集できなければなりませんし,実際の表示や挙動をプレビューで確認する必要もあります。

保護者や一般の人々にしても,CBTによる学調や日常的な学習活動がどのようなものになるのかを知るために,実際のCBTシステムを触れておくことは意味があると思います。好意的であろうと批判的であろうと,このテーマで議論をするには,実際のシステムを体験する必要があるでしょう。

どうか,この機会に挑戦していただければと思います。

学力テスト関連

全国学力調査(全国学力・学習状況調査)に関するニュース

20221014「令和4年度教育研究公開シンポジウム「学力アセスメントの動向と展望~CBT化に向けて~」 を11月30日に開催します。申込受付中」(国立教育政策研究所)
20221102「全国学力テスト 平均正答率に地域格差 都市部ほど高く /北海道」(毎日新聞)
20221101「全国学力テスト 地域別の結果公表 道内は地域間差広がる:北海道」(NHKニュース)
20221031「全国学力テストで県教育長「事前対策はしていない」:秋田」(NHKニュース)
20221031「全国学力テスト巡り県教育長「“過度な事前対策”はしていない」 成績トップレベル維持する秋田県」(秋田朝日放送)
20221029「帯広市中学3教科で全国上回る 全国学力テスト」(十勝毎日新聞)
20221028「全国学力テスト事前対策 教員「子どもたちに大きな負担」:熊本」(NHKニュース)
20221028「福山市の全国学力テストが低迷 基礎学力の低下を心配する声も」(中國新聞)
20221027「【独自】「全国学力テスト」県内小中学校の約7割で事前対策:福岡」(NHKニュース)
20221026「全国学力テスト 小中4校に1校 校長などが事前対策指示:鹿児島」(NHKニュース)
20221026「「授業つぶしては愚の骨頂」 全国学力テスト事前対策で馳知事」(北國新聞)
20221025「学力テスト事前対策 北野教育長「過度な対策あれば残念」:石川」(NHKニュース)
20221024「「全国学力テスト」1割の学校で事前対策行う 県教組調査:熊本」(NHKニュース)
20221023「大分:学力テスト 「事前対策」回答の8割 県教組調査、授業で過去問など」(読売新聞)
20221021「「全国学力テスト」 教育長「事前対策把握していない」:石川」(NHKニュース)
20221021「全国学力テストで「事前対策」 小学校現役教員が実態など証言」(NHKニュース)
20221021「全国学力テスト、半数の学校が事前練習…県教組調査に2割「本来の学習時間が不足」」(読売新聞)
20221021「全国学テ、紋別の小6・中3全道下回る 記述式の正答率低く」(北海道新聞)
20221020「「全国学力テスト」 約8割の学校で「事前対策」 県教組調査:大分」(NHKニュース)
20221020「全国学力テスト 宮城県の小中学校71校で事前に対策」(東日本放送)
20221019「あり?なし?『全国学力テスト』上位の県が“過去問解かせる”など対策していたと判明」(MBS毎日放送)
20221019「【独自】全国学力テストで“事前対策” 授業内容変更も:宮城」(NHKニュース)
20221019「長野県内30校で全国学力テスト事前対策 県教委「趣旨から逸脱」指摘も」(信濃毎日新聞)
20221019「「全国学力テスト」小中学校の7割超で「事前対策」:山形」(NHKニュース)
20221019「全国学力テスト 宮城県でテスト直前に授業変更し“事前対策”」(NHKニュース)
20221018「全国学力テストの事前対策 富山県でも半数近くで実施:石川」(NHKニュース)
20221018「「全国学力テスト」県内でも4割近くの小中学校で「事前対策」:岩手」(NHKニュース)
20221018「全国学力テスト 長野県でも4割余の学校で「事前対策を行った」」(NHKニュース)
20221018「学力テスト「事前対策」 県内でも4割余の学校で「行った」:信州」(NHKニュース)
20221018「全国学力テスト 富山も半数近くの学校で「事前対策行われた」」(NHKニュース)
20221018「全国学力テス「事前対策」問題 県内でも半数近くで実施の回答:富山」(NHKニュース)
20221018「富山県内4割以上の学校で実施 “全国学力テストの事前対策” 県教職員組合「職員の負担に」」(富山テレビ)
20221018「全国学力テスト授業アイデア例×GIGA端末活用…StuDX Style」(ReseEd)
20221017「学力テスト トップクラス石川県で事前対策の実態」(北陸朝日放送)
20221014「全国学力テスト 秋田県 7割超の教員が「事前対策行った」」(NHKニュース)
20221014「全国学力テスト 7割超える教員「事前対策」をしていたと回答:秋田」(NHKニュース)
20221014「全国学力テスト 行き過ぎた事前対策 トップクラス石川県で何が」(NHKニュース)
20221014「スマホが成績に影響 電源切るだけではダメ、勉強するときの効果的な方法」(メ〜テレ)
20221014「“行き過ぎた事前対策”が改善されず… 全国学力テスト順位トップの裏で何が」(北陸放送)
20221013「全国学力テスト前に多くの学校で授業時間削り学力テスト対策:石川」(NHKニュース)
20221003「2023年度学テ・中学校英語「話すこと」MEXCBT利用には登録11/18までに必要」(教育家庭新聞)
20220930「「令和4年度全国学力・学習状況調査の調査結果を踏まえた学習指導の改善・充実に向けた説明会」の説明動画 を掲載しました。」(国立教育政策研究所)
20220929「熊本県内5地区、全ての教科で全国下回る 4月の学力テスト、地区別正答率を県教委公表」(熊本日日新聞)
20220928「全国学力テスト結果、HP公表を「失念」 京都・南丹市教委が半年気付かず」(京都新聞)
20220914「全国学力テストから見えた「子どもの学力」2大弱点、説明力と批判的思考力 国語、算数・数学、理科に共通する大きな課題」(東洋経済education)
20220918「SNS・動画視聴、時間長いほど正答率低下 全国学力テストの結果から<下>」(中國新聞)
20220913「学力テストの全教科で高崎の小6・中3が「全国5位以内相当」」(上毛新聞)
20220907「文科省オンライン研修会「MEXCBTの活用方法」」(ReseEd)
20220904「理科、中3で正答率5割切る 学校での体験減少が課題 全国学力テストの結果から<上>」(中國新聞)
20220831「コロナ休校中の勉強に不安 広島県内中3の63・4%、小6の55・9% 全国学力テストアンケート」(中國新聞)
20220831「小6国語は全国平均上回る 学力テストで広島県内公立校の正答率」(中國新聞)
20220831「令和4年度 全国学力・学習状況調査 報告書 を掲載しました。」(国立教育政策研究所)
20220826「データ分析・解釈課題 全国学力テスト理科、本県は全国下回る」(岩手日報)
20220822「函館市の学力テスト結果 算数と数学が全国平均下回る:北海道」(NHKニュース)
20220820「ICT機器の活用進まず、小学校で全国平均以下 文科省アンケート」(中日新聞)
20220819「「令和4年度全国学力・学習状況調査の調査結果を踏まえた学習指導の改善・充実に向けた説明会(ウェブ形式)」の説明資料 を掲載しました。」(国立教育政策研究所)
20220818「学力テスト数学「全国トップ級」になった秘密 岐阜・本巣市、特別講座や知育で意欲向上」(岐阜新聞)
20220812「【全国学力テスト2022】ICT活用頻度や調査結果と正答率の関係など…質問紙調査結果(まとめ)」(ReseEd)
20220810「新潟県「全国学力テスト」正答率一部で全国平均下回る:新潟」(NHKニュース)
20220803「文科省、全国学力テストの事前説明会8/5…事業者向け」(ReseEd)
20220803「島根県「全国学力テスト」中学国語以外の科目 全国平均下回る:島根」(NHKニュース)
20220803「2022年度「全国学力テスト」中学校理科の正答率が5割以下。最新データを分析 2022年7月28日文部科学省が結果を公表」(LIMO)
20220802「全国学力テスト 全教科、平均を下回る 小中両学校で /奈良」(毎日新聞)
20220802「主張:全国学力テスト 科学の興味高める授業を」(産経新聞)
20220801「<社説>全国学力テスト 学ぶ環境を整えよう」(琉球新報)
20220801「毎年成績上位の石川県…そのウラで指摘される“過度な学力テスト対策”「直前に過去問を解いてる」」(石川テレビ)
20220801「全国学力テスト 福島県は小中ともに全国平均以下:福島」(NHKニュース)
20220801「【教員×投票】全国学力調査 悉皆と抽出のどちらがいい」(教育新聞)
20220730「【全国学力テスト2022】中学校、国数理の課題と指導改善ポイント(まとめ)」(ReseEd)
20220730「【全国学力テスト2022】小学校、国数理の課題と指導改善ポイント(まとめ)」(ReseEd)
20220730「「2学期以降の授業を改善」 学習調査結果で三重県教育長」(伊勢新聞)
20220730「社説[学力テスト]中学の課題解決に力を」(沖縄タイムス)
20220729「社説:全国学力テスト 科学的探究の力をどう育てる」(読売新聞)
20220729「小6、中3「夢や目標ある」5ポイント減 コロナ禍前比、部活制約など影響か 全国学テ、兵庫県内」(神戸新聞)
20220729「県内小6、中3 全教科3位以内 全国学力テスト  県教委「トップクラス維持」:日刊県民福井」(中日新聞)
20220729「全国学力テスト 長野県、小6算数・中3国語 苦手?課題を分析」(信濃毎日新聞)
20220729「学力テスト県結果 中3は全科目で全国平均超え:しずおかweb」(中日新聞)
20220729「「全国学力テスト」中学生は全教科で全国平均の正答率を上回る:静岡」(NHKニュース)
20220729「熊本の小中学生、全国平均上回る教科なし 全国学力テスト 主体的な学習に課題」(熊本日日新聞)
20220729「スマホ利用が長ければ長いほど、学力低下 全国学力テスト」(西日本新聞)
20220728「全国学力テスト、中学理科の正答率が5割切る…コロナで観察・実験の授業減」(読売新聞)
20220728「【全国学力テスト】中学校理科の正答率が5割下回る…2022年度調査結果公表」(ReseEd)
20220728「【速報】学力テスト結果公表 “常連”石川県がトップ 中学生が「理科」に苦しんだワケは…」(FNN)
20220728「「全国学力テスト」結果公表 中学理科 平均正答率5割で課題も」(NHKニュース)
20220728「中学生 全国平均上回る 全国学力テスト 小学生は下回る=静岡県」(SBS静岡放送)
20220728「福岡は“地区格差が続く”数学と理科で全国平均下回る~全国学力テスト」(RLB毎日放送)
20220728「「全国学力テスト」中学生全教科で全国平均下回る:高知」(NHKニュース)
20220728「秋田県「全国学力テスト」全国トップクラスの成績を維持:秋田」(NHKニュース)
20220728「全国学力テスト 小学校は全国平均との格差縮まる:北海道」(NHKニュース)
20220728「全国学力テスト 小学6年生 中学3年生ともに全国平均並み:山口」(NHKニュース)
20220728「大阪府、全教科で全国平均下回る 全国学力テスト」(日経新聞)
20220728「小6・中3学力テスト結果詳報 問題解決力、伸び悩み」(日経新聞)
20220728「全国学力テスト、データ活用力に課題 結果公表」(日経新聞)
20220728「理科、データ分析に課題 中3正答率低下、全国学テ」(共同通信)
20220728「【全国学力調査】臨時休校の8割超 オンラインで授業を実施」(教育新聞)
20220728「【全国学力調査】学習指導要領の新規内容に課題 22年度結果」(教育新聞)
20220728「【全国学力調査】授業改善のカギはICT活用 学校現場の声」(教育新聞)
20220728「【全国学力調査】中学英語で来年度活用へ MEXCBTの可能性」(教育新聞)
20220728「【全国学力調査】 田村教授「振り返り、見つめ直しを大事に」」(教育新聞)
20220728「全国学力テスト2022の結果公表【都道府県別の一覧表あり】」(47NEWS)
20220726「思いつきや俗説でなく、データに基づいた教育格差の議論を――『教育格差の診断書 データからわかる実態と処方箋』」(SYNODOS)
20220722「ICT活用、プログラミングが出題 全国学力テストの内容に関するアンケート」(ReseEd)
20220712「学級閉鎖で学力低下は「低所得家庭の男子小学生だけ」。“平均点”では見えない格差、一体なぜ?【2022年上半期回顧】」(HuffPost)
20220607「「公式暗記」偏重、弊害大きく 算数指導に見える課題 芳沢光雄・桜美林大学教授」(日経新聞)
20220527「最新「小学生の学力ランキング」石川県が国語算数ともに1位!」(幻冬舎GOLD)
20220526「学力テスト低迷の大阪「見える化」で挽回 課題は底上げ 大阪教育行政改革10年(下)」(日経新聞)
20220525「競う大阪の公立高校、難関大学へ進学増加 私立にも活力 大阪教育行政改革10年(上)」(日経新聞)
20220525「千葉県「全国学力テスト」授業力向上に活用」(ReseEd)
20220516「全国学力調査・英語スピーキング 来年度はオンラインで」(日本教育新聞)
20220515「2022年度全国学力テストは前回となにが変わった?学力テストの本質と教育者へのメッセージとは」(ベネッセ教育情報サイト)
20220428「令和6年度からCBTによる全国学力・学習状況調査を順次実施」(教育家庭新聞)
20220427「【全国学力調査】中学英語「話すこと」 23年度はオンラインで」(教育新聞)
20220422「2021年度全国学力調査を分析 コロナ禍でも学力が下がらなかった理由とは?」(ベネッセ教育情報サイト)
20220422「記者が中3の全国学力テストを解いてみた 時間不足 アタマに「?」 ミスも…」(信濃毎日新聞)
20220420「【全国学力テスト】問題等を公開…プログラミング初出題」(ReseEd)
20220420「全国学力テスト、県内、2万2000人挑戦」(山口新聞)
20220419「【全国学力調査】ICT活用場面目立つ 22年度の問題の特徴」(教育新聞)
20220419「【全国学力調査】4年ぶりに理科を実施 端末からの回答も拡充」(教育新聞)
20220419「小6、中3対象に全国学力テスト 兵庫でも9万人超受験」(神戸新聞)
20220419「全国学力テスト、大阪でも緊張した面持ちで児童生徒らが臨む」(産経新聞)
20220419「全国学力テストがスタート 4年ぶりに理科、コロナ影響も調査」(産経新聞)
20220419「「全国学力テスト」実施 中学で新学習指導要領に基づく出題も」(NHKニュース)
20220419「小6と中3の「全国学力テスト」始まる、208万人が参加…結果は7月下旬に公表予定」(読売新聞)
20220418「【全国学力テスト】参加学校数は2万8,863校(4/8時点)参加率98.2%」(ReseEd)
20220417「全国学力テスト、19日実施 4年ぶりに理科を追加」(共同通信)
20220416「親の「聞く力」が子供の学力に影響も 来週19日 全国学力テスト実施へ」(FNN)
20220415「全国学力調査2万8863校が参加 4月19日に実施」(教育新聞)
20220408「学力テスト、コロナ禍が示した弱点 経年での比較難しく 編集委員 中丸亮夫」(日経新聞)
20220406「コロナ禍でも小中学生の学力に“変化なし”…低下しなかった理由を調査した文科省に聞いた」(FNN)
20220329「【全国学力テスト】算数・数学の学力スコアが上昇…経年変化分析」(ReseEd)
20220328「小中学生の学力、コロナ禍「影響なし」 文科省が全国学テ結果分析」(毎日新聞)
20220328「コロナで長期休校、学力低下見られず 文科省」(日経新聞)
20220203「「正解率は55%」教育界に激震…小6が直角三角形の面積を求める問題に大苦戦する理由 図形オンチが1日で解消するドリル」(プレジデント)
20220202「「算数が好きな小学生」が多い都道府県ランキング! 1位は「石川県」【2021年度版】
ねとらぼ調査隊」(ITmedia)
20220117「CBTシステム(MEXCBT:メクビット)機能拡充版の利用申し込みを1/21まで受付中 文科省」(教育家庭新聞)
20220128「教育DXで知見を共有 データから次の打ち手を見つける 文部科学省 総合教育政策局調査企画課長 兼 教育DX推進室長 桐生 崇氏 インタビュー」(教育とICT)
20220125「学力テストのデジタル化 三島の中学で試行 タブレット端末で解答」(静岡新聞)

20211221「令和4年度全国学力・学習状況調査の実施について(通知)」(文部科学省)
20211129「文科省補正予算案215億円でGIGA環境を改善・強化」(教育家庭新聞)
20211102「教育プラットフォーム主要4社がそろって学習eポータルに対応 国際的な技術標準を採用する意義とは?」(教育とICT)
20211101「全国学調のCBT化に向けMEXCBT利用が必須の流れ」(教育とICT)
20211022「学習eポータルが11月から利用可能に MEXCBTは全国学調で採用へ」(教育とICT)
20211115「【全国学力テスト】国語、算数・数学の説明動画公開」(ReseEd)
20211001「【全国学力テスト】学習指導の改善・充実へ…説明会資料を公開」(ReseEd)
20210921「学力調査、世界に後れ 全国学テでコロナ影響つかめず 川口俊明・福岡教育大学准教授」(日経新聞)
20210901「【全国学力テスト】2年ぶり実施、文科大臣がコメント」(ReseEd)
20210831「全国学力テストの結果公表 結果から浮かぶ「これまでと同じ」課題」(毎日新聞)
20210831「全国学力テスト結果 休校の長さによる正答率の差 確認されず」(NHKニュース)
20210712「全国学調CBT化で最終まとめ 学力調査は中学校から導入」(教育新聞)
20210712「パソコン学力テストは25年度以降 中3先行、文科省会議」(日経新聞)
20210524「学力テスト、国公私立の98%が参加へ 学校行事と重なり後日実施も」(SankeiBiz)
20210527「全国学テ「結果」に追われる学校 「目的逸脱」事前準備が常態化」(西日本新聞)

2019 北野秋男「「ハイステイクス・テスト」に接近する日本の学力テスト政策」(教育學雑誌 第55号)
全国的な学力調査に関する専門家会議(平成31年4月12日~)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/146/index.htm
全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/146/01/index.html

地方学力調査に関するニュース

20221021「コロナ禍で学力低下見られず、埼玉県の小中学生」(日経新聞)
20221021「小5と中3、学力の伸び小さく 4年度、埼玉県調査」(産経新聞)

20221021「【先行】小中学校で県独自の学力テスト」(山口新聞)
20221021「県独自学力テスト開始 全公立小中学校4万2000人対象 /山口」(毎日新聞)
20221020「【山口】県独自の学力定着テストが、県内の公立の小・中学校で行われている。」(山口放送)
20221020「公立のすべての小中学校で 山口県独自の学力調査実施:山口」(NHKニュース)
20220916「スプリックス×板橋区教委、GIGA端末のCBT活用で協定締結」(ReseEd)
20220901「県独自の学力テスト 県内の小中学校で実施:青森」(NHKニュース)
20220809「埼玉県学力・学習状況調査、質問紙調査の一部誤り」(ReseEd)
20220719「昨年はトラブル多発…タブレットで学力調査、埼玉県内8小中学校で予備実施 24年、紙からの移行目指す」(埼玉新聞)
20220613「タブレット使った学力テスト 試験問題がダウンロードできないシステム障害発生 三重県」(中京テレビ)
20220613「接続障害でテストできず 三重の小中学校」(産経新聞)
20220611「デジタル学習調査中止 システム障害 問題取り込めず 小中109校、アクセス集中 /三重」(毎日新聞)
20220506「京都府教委が新たな学力テスト導入計画 小中学生の学力伸びを毎年把握」(京都新聞)
20220419「大阪府独自の学力調査「すくすくウォッチ」始まる 小5、6年が挑戦」(産経新聞)
20220418「3万人試験に挑戦 県教委学力調査 小4、6、中3対象」(北國新聞)
20220322「高知県教育委員会が学習eポータル独自開発をスタート 全国初」(教育家庭新聞)
20220209「正答率、中学生は全国下回る 熊本県学力・学習調査 小学生は平均超え」(熊本日日新聞)
20220121「学力テスト、パソコン解答に 愛媛県がCBTを22年度から本格活用」(毎日新聞)

20210527「大阪で府独自の学力調査「すくすくウォッチ」始まる」(産経新聞)

コンピュータを使った学力テスト

それをなぜ「学びの保障オンライン学習システム」と呼んだのかは分かりません。

文部科学省がコンピュータを使用して実施するテスト(CBT)を実現するため開発したシステムは「MEXCBT」(メクビット)と名付けられました。

CBTとは「コンピュータ・ベースド・テスティング」(Computer Based Testing)の頭文字をとった言葉で,文字通り,コンピュータ上で受験することを意味しています。コンピュータ使用型調査とも書かれます(紙を使った筆記型調査は「ペーパー・ベースド・テスティング」Paper Based Testingとなるわけです。あまりそう呼ぶことはないですが…)。

つまり,CBTシステムは,テスト実施システムのこと。

ところが,令和2年度補正予算説明で,文部科学省製CBTシステムを「オンライン学習システム」と呼称して,堂々と「CBTシステム」とも併記しています。

この無茶苦茶な呼称混乱は,小さく「・学習(問題解答)実施」と書き添えていることから,命名者達の意図したことをちょっとばかり想像することはできます。(この文言はその後の図では削除されています)

つまり,ドリル問題を解く活動を「学習」だと思えば,「学習システム」と言えなくもないでしょ,という事のよう。

タイミングはコロナ禍によって,全国一斉休校を体験した後です。学校教育が停止し,「学びを止めない」として様々なオンライン教材が提供されたことが社会的にも知られていましたから,それと似たようなものを導入するのだと説明した方が通りがよかったのだろう事も推察されます。

実際,当時の文部科学省の様々な取り組みが「学びの保障」というキーワードで統一的に情報発信していましたから,CBTシステムもその一環に組み入れたのは方略として当然だったのだろうと思います。


こうして,CBTシステムのプロトタイプ版開発事業が始まったわけですが,ロードマップとしてはこうなっています。

そして,MEXCBTのプロトタイプ版は,こんなイメージのシステムです。

利用者には一人ひとりIDとパスワードが割り振られ,MEXCBTシステムのもつ認証システム部分でログインして,CBTシステム部分でテストを行ないます。

場合によっては,この他にも利用している学習コンテンツとかサービスとかがあるでしょうけれど,そちらはそちらで登録して利用しているので,別の範疇ということになります。

上図は,簡略化したイメージです。

正確性を期すため,構想段階の図をNIIシンポジウム資料から拝借したのがこちらになります。(動画資料

プロトタイプ開発を請け負ったのは「内田洋行」(表立っては「オンライン学習システム推進コンソーシアム」)で,国際学力調査で利用されている既存のCBTシステム「TAO」を基盤として,そのCBTシステム部分に,内田洋行が開発した実証用学習eポータルシステム「L-Gate」を認証システム部分として組み合わせたのが「MEXCBTプロトタイプ版」というわけです。

このことが,令和3年後期から始まる「MEXCBT拡張機能版」の活用事業において,他社製の学習eポータルも交え始めたときにややこしさを抱かせることになりますが,その話は後述します。

下が、活用事業を始めるための機能改善や拡充の説明スライドです。

ここでMEXCBTにどんな変化が起ったかというと,認証システム部分とCBTシステム部分を明確に分け始めたことでした。

プロトタイプ版のシステムではくっ付いていた,利用者のログイン作業を担う「認証システム」部分と,問題の出題や解答・採点を担う「CBTシステム」部分を,拡張機能版では分かりやすく引き離したのです。

その上で,「CBTシステム」部分のみを新ロゴのもと「MEXCBT」と呼び,「認証システム」部分は「学習eポータル」と呼んで,いろんな会社が開発して提供してもよい形に移行したわけです。

(システムに出入りする認証システム部分が分離されたといっても,MEXCBT側に直接接続することはできず、必ず認証システム部分である学習eポータル側を経由しなければならないのが上図の肝です。)

文部科学省 総合教育政策局 教育DX推進室の桐生室長は,このようなシステムを部分部分に引き離した形を「ブロック」が組み合わさるイメージで説明します。

たとえば,おもちゃのレゴブロックが一定のルールにもとづきながら多様な部品で大きなブロック作品を構成できるように,このようなコンピュータシステムも,各社が国際規格のルールにもとづいて協調して開発することで,一つの大きな学習・CBTシステムを構築することができると考えるわけです。

かつ,各社が競争的に部品開発を行なってくれれば,特色あるユニークな部品を利用できる可能性も生まれることになります。利用者(この場合,教育委員会レベル)は複数の選択肢から,よりよい「学習eポータル」を選ぶことが求められます。


2021年11月1日に行なわれた「MEXCBT(拡張機能版)」活用に関する説明会の時点では,4社のシステムが名乗りを挙げていました。(順不同)

教育プラットフォーム主要4社がそろって学習eポータルに対応(教育とICT Online)
https://project.nikkeibp.co.jp/pc/atcl/19/06/21/00003/110200287/
どこまでが無料?「学習eポータル」対応サービスを比較
https://project.nikkeibp.co.jp/pc/atcl/19/06/21/00003/111100298/

各社とも,文部科学省が「活用事業」の予算化している間は「無料」提供するとしているので,とにかくどこかのシステムを選択して試してみればよいということになりますが,いずれは本格利用のタイミングで有料化されるため,導入に携わる関係者は頭を悩ませているのです。

そして,ここでややこしい問題は,内田洋行の「L-Gate」です。

内田洋行は,MEXCBTプロトタイプ版の開発にかかわっている会社のため,文部科学省に提供した学習eポータル「実証用学習eポータル L-Gate」とは別に,自分たちで販売できる商品のための学習eポータル「商用学習eポータル」を開発する必要がありました。

文部科学省に差し出したとはいえ「実証用学習eポータル」の開発ではノウハウが蓄積されたでしょうから,別途「商用学習eポータル」を開発するといってもゼロからというわけではなかったはずです。(おそらく実際には逆で,商用開発していたものの機能制限版を実証事業に提供していたと思われます。)

ややこしい問題は,商用と実証用とで同じ「L-Gate」というブランド名を使っていることと,文部科学省に差し出した「実証用学習eポータル」は文部科学省から継続的に無料で提供される予定だということです。

だったら,そのまま実証用でよくない?とか,同じL-Gateに移行したらいいんじゃない?とか,そういうなかなか微妙かつもっともな疑問が出てくるわけです。

ところが,同じ名前なのに実証版から商用版へはそのまま移行できないし,実証用が継続されるという話もいつまでなのかは国の予算次第で,いつ放り出されるかわからない。

4社から選ぶという話は,やはり避けて通れない話なのです。

(20211203追記)

株式会社COMPASS社が,同社のQubenaを学習eポータルとしてMEXCBTと連携できることを発表しました。


学習eポータルに関して,詳細やより専門性の高い解説はこちらの記事が参考になります。

特に,認証システム部分のシングルサインオンに関しては,児童生徒教職員の膨大なアカウントに関わる話ですので,学習eポータル選びで一番重要な検討項目でしょう。3つ目の記事が参考になります。


システムのお話がこうして進行している一方で,CBTシステムを使って行なう学力調査に関しても,準備は進んでいます。

2021年11月26日には,全国地方自治体の関係者を対象とした「地方自治体の学力調査等のCBT化検討研究会」がオンラインで開催されました。

MEXCBTシステムを利用する学力調査は,全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)だけではありません。

それぞれ地方自治体が独自に行なっている地方の学力調査もMEXCBTシステムを利用してCBT化することが可能です。つまり,CBTシステムを各自治体で準備・維持する必要はなくなるうえ,全国や国際的な学力調査もほぼ共通の使い勝手で受験できるメリットがあります。

こうした分かりやすいメリット以外にも,各地方自治体が協力し合うことで,MEXCBTを利用した学力調査をより質の高いものへと育てていくことができるはずですが,そこには課題や問題もあり得ます。

今回の研究会は,MEXCBTシステムを地方の学力調査というより児童生徒に近いところで利用する際,そのメリットを最大限活かすためには何が必要なのか,どんな問題があるのかといったことを共有し,解決策を探り始めるため設置されたと考えることができます。

とはいえ,議論する時間的猶予はそれほど多くは残されていません。

MEXCBTシステムの導入は,全国学力・学習状況調査のCBT化によって避けられない道ですし,CBTシステムから返ってくるデータをどのように児童生徒の学習活動や教職員の教育活動に生かすのかという「データ駆動型」の取り組みにも目配せをしないわけにはいかなくなっています。

こうした情報をなるべく早く吸収しつつ,皆さんの経験や考えのもとで向き合っていく必要があります。