台湾の道路交通事情

 台湾では交通網の整備が進んでいる。狭い国土の条件も幸いとなって、台湾のいたる所に陸路、水路、空路などの交通路が開通されている。
 台湾交通の近代化は日本植民地の時代にさかのぼるが、それを基礎に先端技術の導入による整備が進められた。
 現在では、南北縦貫鉄道と東西横断公路などの幹線のほか、南北の高速道路や各種交通網が利用可能である。先端技術の導入は交通システムの整備を優先にする方針が採られる。
 しかし、機関車や列車の整備とくらべて地方駅舎の改築や整備のテンポが遅い。地方のくらしのよさを保存する意味で、あるいは環境アセスメントの見地からこの方が好ましいと評価する人がいるかも知れない。

 台湾では他のアジア諸国同様モータリゼーションが進んで車が道路にあふれている。公用車や商業者に加えて各家庭の所有する乗用車が増えている。その結果、大都会はもちろんのこと、地方都市や農村地帯まで車は人と生活空間を取り合っている。

 仕事のほかに、レジャーや日常の交通手段として車が利用されている。世界の名車が台湾の道路で風を切って走る。台湾製の車や合弁会社の製造する車がこれに加わる。高価な車ほどステータスシンボルとして求められる。どこへ行っても、車、車、また車の結果となる。これが「車路全車」といわれるゆえんである。かなり整備されている高速道路の渋滞の原因にもなっている。しかし、町中車だらけであることは、台湾の繁栄を実感するひとつの現象でもある。



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