台湾では中国語による中国教育が行われてきた。中国的な徳目はつとに知られている。「忠孝・仁愛・礼智・信義」など儒教の教えが基本となる。国民政府は「三民主義」中国の実現と反共政策の展開を強調しながらも、この伝統を教育の基礎課題にしてきた。市民教育や科学教育もこれらの目標と抵触しない範囲において展開された。 20世紀末に、このような固定的な伝統教育に固執する根拠が次第に消失し、民主化の波が情報化、国際化とともに押し寄せた。民主化の進展により台湾人の意識変革も急速に実現した。台湾や台湾人としての意識が高揚することで、当然のことながら、自分たちの運命を自ら主体的に決定する機運が生まれた。これが台湾人による指導者や代表の直接選挙の結果に結びついた。 李登輝総統の後任に陳水扁が台湾人の総統として選出された。台湾の指導者も台湾人の総意を反映する人物が選ばれるようになった。中央と地方の首長や民意代表も国民投票による直接選挙が当たり前の行事となった。
|