コンピューター学校出現!!

昭和の少年少女雑誌を中心に掲載されていた「空想科学画」や「未来予想図」は,ときどき話題になることがあるのでご覧になった人は多いだろう。

ネットで検索すればいくつも閲覧できるが,そうしたイラストを収録した図書も刊行されている。

『昭和ちびっこ未来画報 - ぼくらの21世紀』(青幻舎)
https://www.seigensha.com/books/978-4-86152-315-1/
『昭和少年SF大図鑑』(河出書房新社)
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309750378/

こうしたイラストレーションを描く画家としてブームの初期から活躍した人気の挿絵画家が小松崎茂氏だ。そして教育の情報化に関心を寄せる私たちにとって,無視することができない作品が「コンピュータ学校出現!!」である。

小松崎茂(1969)「コンピューター学校出現!!
「みんな未来予想に夢中だった 100年前に描かれた「百年後の日本」」(朝日GLOBE+)
https://globe.asahi.com/article/12786581

シュールな設定とサスペンスフルな絵柄が相まって,小松崎の未来予想図作品は独特な雰囲気を纏う。半分は下手な空想だと笑えるし,半分は得体のしれない不安を抱かせる。

GIGA端末は,コンピューター学校のロボットのように子どもの頭をこづきはしない。

その代わり,学習の難所を気づかせるようなガイドやナッジ(つつき)をきかせてくる。

ホッとしてもよいだろうか。

今日は大学院の学生と1 on 1授業だった。

授業の議論は教育ICTをテーマにしていなかったが,昨今の文教施策のほとんどがICT活用や教育DXを推進する流れにあって,議論も自然とそちらに向いてしまった。

ICTやデジタル技術の活用による教育現場の変革は,本当に私たちの望むものなんだろうか。そんな身もふたもない疑問を,恥ずかしげもなく私より若い世代に投げかけた。

デジタル化がもたらす効用は確かにある。実際,それで便利に物事を処理している。仕事のやり方も変わったかも知れない。その変化は価値観にも及ぶだろう。

しかし,さて,完璧ではないとしても,その効用はまだ足りていないのだろうか。「デジタルならでは」の何かを享受し足りない!と渇望しなければならない立ち位置なのだろうか。

もちろん,行政事務や業務処理の中にわんさと残っているアナログな部分を速やかにデジタル化して欲しいという要望はある。けれど,これは「デジタルならでは」の希求というよりは,単に「デジタル化する」ことの要望である。

「第3回教育振興基本計画部会事務局資料1」(31頁)より

私たちは,後手に回してきた第1段階「デジタイゼーション」の宿題に取り掛かり,あわよくば第2段階「デジタライゼーション」を成果として見せたがっている。そのうえ,タイミングはSociety5.0の議論を要請しているため第3段階「デジタルトランスフォーメーション」が論じられている。

第2段階を成熟させていく中で,何を必要として何は必要と見なさないかが各人の中で見極められなければならないにもかかわらず,まるでそのまま第3段階が連続的に接続されるかのように描いているポンチ絵は,人々の鵜呑みを誘ってはいないのか。

学習の難所を気づかせるシグナルが,通知表示やインフォグラフィックといったガイドやナッジであるうちは,スマート技術などによって順当な第3段階がもたらされるかも知れないと思えたりする。

けれど,腕のデジタルウォッチが通知のための振動を伝えてきたとき,頭ではないにしても,機械にこづかれている自分が居ることに少し驚いてしまうのだ。

教育の分割統治

いま次期(第4期)教育振興基本計画の準備が進んでいる。

教育振興基本計画部会(第11期~)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo17/index.html

第4期は2023〜2027(令和5〜9)年の5年間の教育振興基本計画となる。

ん?ちょっと待て。

そもそも「教育振興基本計画」とやらは,私たちに何をもたらしてくれるものなのだろうか。第4期を準備中と書いたが,第1期から第3期までさえ,実のところ理解して過してきたのか怪しい限りだ。

そんな勉強不足な私たちに「おまえが知らないだけだ」と言いたげな資料を国はたくさん用意している。

20220207 次期教育振興基本計画の策定について(諮問)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1415877_00003.htm

上記のWebページ「(諮問)【概要】」には,第4期の計画に盛り込んで欲しいことと,第1期から第3期までの概要がまとまっている。

第1期(2008〜2012)
基本的方針:今後10年間を通じて目指すべき教育の姿
方向性:
①社会全体で教育の向上に取り組む
②個性を尊重しつつ能力を伸ばし、個人として、社会の一員として生きる基盤を育てる
③教養と専門性を備えた知性豊かな人間を養成し、社会の発展を支える
④子どもたちの安全・安心を確保するとともに、質の高い教育環境を整備する
第2期(2013〜2017)
基本的方針:一人一人の「自立」した個人が多様な個性・能力を生かし、他者と「協働」しながら新たな価値を「創造」していくことができる「生涯学習社会」の構築
方向性:
①社会を生き抜く力の養成
②未来への飛躍を実現する人材の養成
③学びのセーフティーネットの構築
④絆づくりと活力あるコミュニティの形成
第3期(2018〜2022)
基本的方針:教育を通じて生涯にわたる一人一人の「可能性」と「チャンス」を最大化する
方向性:
①夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力を育成する
②社会の持続的な発展を牽引するための多様な力を育成する
③生涯学び、活躍できる環境を整える
④誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する
⑤教育政策推進のための基盤を整備する
第4期(2023〜2027)
主な諮問事項:
○オンライン教育を活用する観点など「デジタル」と「リアル」の最適な組合せ、及び、幼児教育・義務教育から高等学校、大学、高等専門学校、専門学校、大学院まで全体が連続性・一貫性を持ち、社会のニーズに応えるものとなる教育や学習の在り方
○学校内外において、生涯を通じて学び成長し、主体的に社会の形成に参画する中で、共生社会の実現を目指した学習を充実するための環境づくり
○多様な教育データをより有効な政策の評価・改善に活用するための方策

クラクラするには十分過ぎるが,国などが取り組む施策はすべてこれら基本計画を起点として組み立てられているから,期ごとの中身を入れ替えても通用するんじゃない?という素朴な疑問を発したくなったとしても,組み上げているジグソーパズルのピースが他とよく似ているからといって入れ替えできないのと同じで,教育振興基本計画に関わっている人達にとっては一つひとつが注意深く組み上げられた繊細な造形物ということになる。

そのことがよく分かるスライドがある。

「第3回教育振興基本計画部会事務局資料1」(3頁)より

2022年6月2日に開催された第3回中央教育審議会教育振興基本計画部会の配付資料のひとつである。

文字通りジグソーパズルのように組み上げられた様々な文書が,今日の教育政策を語るために必要なピースとして配されていることが分かる。これらも主なものに過ぎない。

これらをすべて見通して審議している人々がいる一方で,これらをほとんど知らない人々がいるというのがもう一方の現実である。自分の立ち位置に関係しそうなことだけ知っているというだけでも立派かも知れない。

そして,これらが第3期に関わるものであるから,当然のことながら審議中のものに加えて,新たに第4期に関わる関連ピースが山のように押し寄せることも容易に察しうる。

さて,ここまでのことさえ曖昧であるのに,ここから先に描かれていることはどれだけコンセンサスが得られているのだろうか。

ああ,いや,これは,本来,分割統治のもとで成り立っていたのであって,コンセンサスを得るものでなかったのではあるまいか。悪名高き行政の縦割りに理由があったとすれば,そもそもコンセンサスを得られないという現実の中で物事を処する行政の知恵だったのかも知れないと,そんな穿ちも蘇る。

もちろん関わっている人達は大真面目。ひとつひとつの仕事に対して茶化す余地はない。

とはいえ,8月31日の情景のように,後手に回してきた宿題を大風呂敷広げたまま必至に片付けようとしているかに見えるのは何故だろう。当の本人より,周りの人間の方が焦っている構図がそう見せるのか。

令和の学校教育がGIGAスクール構想とともに始まっているものの,その先にある学校教育のイメージが共有されているとは言い難い。諮問は2040年以降の社会を「望む未来を私たち自身で示し,作り上げていくことが求められる時代」として,ご自身でどうぞと委ねてくる。

けれど,デジタル技術がより導入されて変化がもたらされる「Society5.0」や,一人ひとりと社会全体の幸せを希求する「Well-being」を唱えられても,そこに自分自身を重ねられるようにイメージを描くのは難しい。

語られていることは,本当に私たちが望んでいるものなのか。あるいは望むべきものなのか。

そのことについて向き合ってくれる言説は届いていない。

成功と失敗の唯一の分岐点

「成功と失敗の唯一の分岐点はエラーの数だ」

ヒューマンエラーを研究する邱氏の『ERROR FREE −世界のトップ企業がこぞって採用したMIT博士のミスを減らす秘訣−』(文響社2022)は,そんな導入で始まっている。

日本の出版物はビジネス書扱いとなると邦題の付け方が長くなりがちなので,以下は英語表記をカタカナに開いて『エラーフリー』にしたい。

無謬性の原則に従ってきた行政官僚の世界に従属している公立学校教育は,どうしても「間違えない」ことを期待されてしまう。子ども達には「間違えさせない」ことを暗に目指していたところもある。

ある意味では「エラーフリー」を目指しているとも言えるが,日本の場合は「エラーは存在しない」というスタンスを確立することが優先されているように見えて,『エラーフリー』が説いている「エラーフリー思考」とは異なっているように思う。

邱氏が説明しいる「エラーフリー思考」は…

1. 人間は誰でもエラーを犯す可能性がある。
2. すべてのエラーは防ぐことができる。
3. エラーにはさまざまな発生源と形式があり,それに応じた解決策がある。
4. 組織の全員が,エラーフリーで仕事を進める方法と,エラーフリーの社内システムを構築する方法を知る必要がある。

という4つの命題で構成されている。

これだけ読むと「エラーを防ぐ」ことに焦点が当たりがちで,日本なら「エラー回避」から「エラーにつながる行為の回避」に思考がめぐりそうである。

ただ,この本で重要なのは「エラーにはさまざまな発生源と形式があり,それに応じた解決策がある。」の部分であり,解決策の妥当性や効果のほどはともかくとして,過去の様々なエラー事例を研究して分析整理したところが興味深い。

それによると,エラーには2つの形式,ヒューマンエラーには3つの型があるという。

エラーの2つの形式
 1.「省略エラー」(omission error)
 2.「誤処理エラー」(commission error)

省略エラー」という日本語字面だと直観的ではないが,「実行しない」エラーという言い方で「なすべきことや下すべき決断があるのに,驕りや迷い,怠慢から,あるいは現状変更に対する恐れから,何もしなかったために起こるエラー」と説明されている。企業の失敗のほとんどが省略エラーに起因しているという。

一方の「誤処理エラー」は,「実行して間違う」エラーであり,「行動して決定も下したが,その決定が間違っていた」というものだ。こうした間違いを犯した多くの企業リーダーが,仮に倒産に結びついたとしてもなお,どこが悪かったか理解できずにいるという。

この2形式を日本の教育行政とか学校教育に重ねて考えるだけでも,いろいろな立ち回りが思い浮かぶ。

ヒューマンエラーの3つの型
 1. 知識型エラー(knowledge-based errors)
 2. 規則型エラー(rule-based errors)
 3. スキル型エラー(skill-based errors)

ヒューマンエラーの型は,仕事内容と関係していて,「知識型エラー」は意思決定,問題解決,交渉,分析,審査,設計,計画,危機管理といった知識を要する仕事で発生するエラー,「規則型エラー」は作業手順書のようなルールやフローにおける規則に従って行なう作業で発生するエラー,「スキル型エラー」は規則的な定型作業を繰り返したことで習熟したスキルとして作業する中で発生するエラーとされる。

『エラーフリー』では,これをマトリクスに置いて,6タイプに分類を進める。

ヒューマンエラーの3つの3タイプと2形式
誤処理エラー 省略エラー
知識型エラー ミステイクエラー 10% 不作為エラー 30%
規則型エラー 遂行エラー 1% 怠慢エラー 5%
スキル型エラー スリップエラー 0.1% ラプスエラー 0.3%

表内の数値はエラー発生率。これらエラーには発生までの潜伏期間がある。またエラーの数は,時間経過とともに増加していく(たとえば根本原因を放置して機会損失を繰り返していくような)イメージであるため,早く対処する必要がある。

こうやってヒューマンエラーを検討したうえで,様々な対応を考えるというのがこの本のメインということになる。とはいえ,型ごとの原因解説やどんな回避策があるかを論じている後続部分は,特段珍しいことを記述したり提案しているわけではない。

たとえば,なぜ歴史は失敗を繰り返すのかという問いに「前の世代が学んだ教訓を次の世代で効果的に変更することができない」という答えを示すが,データやマインドセット研究によって導き出したという点は貴重ではあるものの,説明自体は目新しいわけでもない。

またこの本には,エラーを防止する14のテクノロジー・ポイントを実現するための方策といった提案云々もあるが,この部分は企業向けの色が強いので,日本の学校教育とかの文脈で考えるにはもっとアレンジが必要かも知れない。

いずれにしても,もとから「間違いがないためのエラー回避」を追究してきたような日本では,「わかっちゃいるけどやらないやめられない」ということばかりという感想にならざるを得ないだろうか。

GIGAスクールの時代になって,教育の情報化や教育ICT活用は,一時的にせよ機器環境の問題が取り払われた。いま展開している事柄は,ほとんどヒューマンファクターに基づいた問題や課題だ。だとすれば,『エラーフリー』で示されている分類を参照しながら,丁寧に現状把握してみるのも意味はある。

そうしたとき,おそらく日本は,知識型エラーに対する働きかけはたくさんあるけれど,規則型エラーに対するフォローは意外と弱いのではないかといった分析も浮かび上がるかも知れない。もしくは,そもそもエラー率の割合が過去の分析と全く異なる可能性だってあるかも知れない。

だから,長きにわたるこれまでの教育の情報化に関するアプローチも,まるで的外れなことを続けていた可能性だってあるわけで,無謬性の原則を守るがために踏襲し続けているのだとすれば,そこからの脱却が先なのかも知れない。

もっとも,令和に入って,平成最後の学習指導要領は大胆に方針を変えているし,文部科学省だって組織構成など変えて臨んでいたりするし,コロナ禍が従前のいろいろを壊してくれた側面もある。

そんな状況にあれば,いろんな間違いも当たり前のように生じており,エラーを前提としてそれを回避していくという考え方も受入れやすい。

今回の『エラーフリー』は,「成功と失敗の唯一の分岐点はエラーの数だ」と言及したが,これは決してエラーがあったら成功しないということを意味していない。エラーには種類があって,もちろん致命的なエラーはあれど,発生しても掌握できるエラーもあるのだから,そういうものに対して適切に対処していく経験を積むことも重要だろう。

この本が最後に「機会」というものに触れてエラー情報の共有について言及しているのも,そんなことを期待しているからじゃないかなと思う。

拡張Scratch3.0用クラウド連想配列

昨年度末からずっと開発案件に取り組んでいました。

拡張Scratch3.0用のナンバーバンク(NumberBank)と呼んでいる拡張機能の新バージョン開発です。

ネット上に配列(数値を記憶する変数の並び)を確保することができます。簡易なデータベースとして使えば,データ加工や交換をするScratchプロジェクトも作成可能です。

公式Scratch3.0にはクラウド変数という機能がありますが,ナンバーバンクは拡張Scratch3.0用にクラウド変数を提供しているともいえます。

複数端末間でのプロジェクト連携が可能なので,キャラクター(スプライト)を遠隔操作したり,接続したセンサーからのデータを送信したり,サーボモーターを遠隔制御することも,一斉に可能です。

拡張Scratch3.0サイトとして有名な「Stretch3」で利用できます。

また,拡張Scratch3.0サイトが構築可能な「Xcratch」に追加できるモジュールも公開しています。

今回のバージョンアップで,各自が自前で用意するクラウドサーバー(現時点ではGoogle FirebaseのFirestore)をナンバーバンクのデータ保存場所として利用できるようになりました。

各自が用意したクラウドサーバーのAPIキーを預ける場所として新規開発したのがマスターキーバンク(MasterkeyBank)という専用サイトです。

このサイトで,皆さんのAPIキーをお預かりし,ナンバーバンクのマスターキーセットでサーバー情報を適宜提供するという仕組みにしました。

今回のバージョンアップによってブロックの使い方が変わるわけではありませんが,強いて違いを書くなら,マスターキーによって裏側のデータ保存先が変わったり,遅延設定で動作にかかる時間に違いが出るなどがあります。

ご自身がFirebase向けのプログラミングをされるのであれば,他のWebサービスなどとの連係システムを独自に開発することもできます。

中学校では,技術・家庭科の技術分野で〔情報の技術〕を内容として扱うことになっており,その中に「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」という学習事項があります。

この学習事項に関する実践事例が,いま急ピッチで蓄積されようとしています。

中学校技術・家庭科(技術分野)内容「D 情報の技術」研修用教材
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00617.html
オンライン講座「中学校技術・家庭科 D情報の技術 -授業実践の手引き-」
https://www.sainou.or.jp/senseimanabi/course/211221.html
2021年度 第5回オンライン授業に関するJMOOCワークショップ 「中学校技術・家庭科 D情報の技術におけるプログラミングの指導」
https://www.jmooc.jp/workshop20220322/
ねそプロ - ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミング
http://iwate-manabi-net.sakura.ne.jp/nesopuro/
プログル技術
https://middle.proguru.jp/
中学校技術「利便性と安全性に配慮した双方向性のあるコンテンツ」 - TeReP(集まれ!プログラミング教材データベース)
https://terep.hiroshima-u.ac.jp/technology/298/
開隆堂「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題解決」
https://www.kairyudo.co.jp/contents/02_chu/gijutsu/r3/r3gi-souhoukou.pdf
20181220「「ネットワーク」に「双方向」!? 倍増するプログラミングの学習内容に中学校の現場はどう対応するのか」(こどもとIT)
https://www.watch.impress.co.jp/kodomo_it/news/1159054.html

様々なアプローチが出てくることで,それぞれの学校の事情や実態に合わせて事例を参照することがしやすくなります。

ナンバーバンクもそのためのツールの一つになればよいなと思います。

ちなみに,Scratchから制御できる低価格な拡張ボード「AkaDako」でも活用事例の中でご利用いただいているので,いろんなフィジカルツールとの組合せも増えていくと楽しいなと思います。

構想はずいぶん前から描いていましたが,3月あたりから始めて,週末休みや連休はほぼ開発作業でした。おかげで何とか形にはなりました。いまは少し休憩。

次はもう一つの拡張機能であるパソリッチ(PaSoRich)もICカードリーダーの新型に対応する必要があるので,少しずつ作業を始めたいと考えています。

いろいろフィードバックいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

学習指導要領とプログラミング

小学校学習指導要領(2017年改訂)

(第1章 総則 第2の2)
    (1) 各学校においては,児童の発達の段階を考慮し,言語能力,情報活用能力(情報モラルを含む。),問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう,各教科等の特質を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。
(第1章 総則 第3の1) 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善 各教科等の指導に当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (1) 第1の3の(1)から(3)までに示すことが偏りなく実現されるよう,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,児童の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと。 特に,各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり,思考力,判断力,表現力等や学びに向かう力,人間性等を発揮させたりして,学習の対象となる物事を捉え思考することにより,各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という。)が鍛えられていくことに留意し,児童が各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら,知識を相互に関連付けてより深く理解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実を図ること。
    (2) 第2の2の(1)に示す言語能力の育成を図るため,各学校において必要な言語環境を整えるとともに,国語科を要としつつ各教科等の特質に応じて,児童の言語活動を充実すること。あわせて,(7)に示すとおり読書活動を充実すること。
    (3) 第2の2の(1)に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。 あわせて,各教科等の特質に応じて,次の学習活動を計画的に実施すること。
     ア 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動
     イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
    (4) 児童が学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を,計画的に取り入れるように工夫すること。
    (5) 児童が生命の有限性や自然の大切さ,主体的に挑戦してみることや多様な他者と協働することの重要性などを実感しながら理解することができるよう,各教科等の特質に応じた体験活動を重視し,家庭や地域社会と連携しつつ体系的・継続的に実施できるよう工夫すること。
    (6) 児童が自ら学習課題や学習活動を選択する機会を設けるなど,児童の興味・関心を生かした自主的,自発的な学習が促されるよう工夫すること。
    (7) 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,児童の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすとともに,児童の自主的,自発的な学習活動や読書活動を充実すること。また,地域の図書館や博物館,美術館,劇場,音楽堂等の施設の活用を積極的に図り,資料を活用した情報の収集や鑑賞等の学習活動を充実すること。
(第2章 各教科 第3節 算数) (第3の2) 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
    (1) 思考力,判断力,表現力等を育成するため,各学年の内容の指導に当たっては,具体物,図,言葉,数,式,表,グラフなどを用いて考えたり,説明したり,互いに自分の考えを表現し伝え合ったり,学び合ったり,高め合ったりするなどの学習活動を積極的に取り入れるようにすること。
    (2) 数量や図形についての感覚を豊かにしたり,表やグラフを用いて表現する力を高めたりするなどのため,必要な場面においてコンピュータなどを適切に活用すること。また, 第1章総則の第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には,児童の負担に配慮しつつ,例えば第2の各学年の内容の〔第5学年〕の「B図形」の(1)における正多角形の作図を行う学習に関連して,正確な繰り返し作業を行う必要があり,更に一部を変えることでいろいろな正多角形を同様に考えることができる場面などで取り扱うこと。
    (3) 各領域の指導に当たっては,具体物を操作したり,日常の事象を観察したり,児童にとって身近な算数の問題を解決したりするなどの具体的な体験を伴う学習を通して,数量や図形について実感を伴った理解をしたり,算数を学ぶ意義を実感したりする機会を設けること。
(略) (第2章 各教科 第4節 理科) (第3の2) 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
    (1) 問題を見いだし,予想や仮説,観察,実験などの方法について考えたり説明したりする学習活動,観察,実験の結果を整理し考察する学習活動,科学的な言葉や概念を使用して考えたり説明したりする学習活動などを重視することによって,言語活動が充実するようにすること。
    (2) 観察,実験などの指導に当たっては,指導内容に応じてコンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用できるようにすること。また,第1章総則の第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には,児童の負担に配慮しつつ,例えば第2の各学年の内容の〔第6学年〕の「A物質・エネルギー」の(4)における電気の性質や働きを利用した道具があることを捉える学習など,与えた条件に応じて動作していることを考察し,更に条件を変えることにより,動作が変化することについて考える場面で取り扱うものとする
(略) (第5章 総合的な学習の時間 第3 指導計画の作成と内容の取扱い) 2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
    (9) 情報に関する学習を行う際には,探究的な学習に取り組むことを通して,情報を収集・整理・発信したり,情報が日常生活や社会に与える影響を考えたりするなどの学習活動が行われるようにすること。第1章総則の第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には,プログラミングを体験することが,探究的な学習の過程に適切に位置付くようにすること。

中学校学習指導要領

第8節 技術・家庭
(第2〔技術分野〕の2) 内容
D 情報の技術
    (1) 生活や社会を支える情報の技術について調べる活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
    ア 情報の表現,記録,計算,通信の特性等の原理・法則と,情報のデジタル化や処理の自動化,システム化,情報セキュリティ等に関わる基礎的な技術の仕組み及び情報モラルの必要性について理解すること。
    イ 技術に込められた問題解決の工夫について考えること。
    (2) 生活や社会における問題を,ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
    ア 情報通信ネットワークの構成と,情報を利用するための基本的な仕組みを理解し,安全・適切なプログラムの制作,動作の確認及びデバッグ等ができること。
    イ 問題を見いだして課題を設定し,使用するメディアを複合する方法とその効果的な利用方法等を構想して情報処理の手順を具体化するとともに,制作の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。
    (3) 生活や社会における問題を,計測・制御のプログラミングによって解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
    ア 計測・制御システムの仕組みを理解し,安全・適切なプログラムの制作,動作の確認及びデバッグ等ができること。
    イ 問題を見いだして課題を設定し,入出力されるデータの流れを元に計測・制御システムを構想して情報処理の手順を具体化するとともに,制作の過程や結果の評価,改善及び修正について考えること。
    (4) これからの社会の発展と情報の技術の在り方を考える活動などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
    ア 生活や社会,環境との関わりを踏まえて,技術の概念を理解すること。
    イ 技術を評価し,適切な選択と管理・運用の在り方や,新たな発想に基づく改良と応用について考えること。
(第2の3) 内容の取り扱い
    (4) 内容の「D情報の技術」については,次のとおり取り扱うものとする。
    ア (1)については,情報のデジタル化の方法と情報の量,著作権を含めた知的財産権,発信した情報に対する責任,及び社会におけるサイバーセキュリティが重要であることについても扱うこと。
    イ (2)については,コンテンツに用いる各種メディアの基本的な特徴や,個人情報の保護の必要性についても扱うこと。
    (5) 各内容における(1)については,次のとおり取り扱うものとする。
    ア アで取り上げる原理や法則に関しては,関係する教科との連携を図ること。
    イ イでは,社会からの要求,安全性,環境負荷や経済性などに着目し,技術が最適化されてきたことに気付かせること。
    ウ 第1学年の最初に扱う内容では,3年間の技術分野の学習の見通しを立てさせるために,内容の「A材料と加工の技術」から「D情報の技術」までに示す技術について触れること。
    (6) 各内容における(2)及び内容の「D情報の技術」の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。
    ア イでは,各内容の(1)のイで気付かせた見方・考え方により問題を見いだして課題を設定し,自分なりの解決策を構想させること。
    イ 知的財産を創造,保護及び活用しようとする態度,技術に関わる倫理観,並びに他者と協働して粘り強く物事を前に進める態度を養うことを目指すこと。
    ウ 第3学年で取り上げる内容では,これまでの学習を踏まえた統合的な問題について扱うこと。
    エ 製作・制作・育成場面で使用する工具・機器や材料等については,図画工作科等の学習経験を踏まえるとともに,安全や健康に十分に配慮して選択すること。
    (7) 内容の「A材料と加工の技術」,「B生物育成の技術」,「Cエネルギー変換の技術」の(3)及び内容の「D情報の技術」の(4)については,技術が生活の向上や産業の継承と発展,資源やエネルギーの有効利用,自然環境の保全等に貢献していることについても扱うものとする。

高等学校学習指導要領

第2章 各学科に共通する各教科
第10節 情報
第2款 各科目
第1 情報Ⅰ
(第1〔情報Ⅰ〕の2) 内容
    (3) コンピュータとプログラミング コンピュータで情報が処理される仕組みに着目し,プログラミングやシミュレーションによって問題を発見・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
    ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
    (ア) コンピュータや外部装置の仕組みや特徴,コンピュータでの情報の内部表現と計算に関する限界について理解すること。
    (イ) アルゴリズムを表現する手段,プログラミングによってコンピュータや情報通信ネットワークを活用する方法について理解し技能を身に付けること。
    (ウ) 社会や自然などにおける事象をモデル化する方法,シミュレーションを通してモデルを評価し改善する方法について理解すること。
    イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
    (ア) コンピュータで扱われる情報の特徴とコンピュータの能力との関係について考察すること。
    (イ) 目的に応じたアルゴリズムを考え適切な方法で表現し,プログラミングによりコンピュータや情報通信ネットワークを活用するとともに,その過程を評価し改善すること。
    (ウ) 目的に応じたモデル化やシミュレーションを適切に行うとともに,その結果を踏まえて問題の適切な解決方法を考えること
(第1〔情報Ⅰ〕の3) 内容の取扱い
    (4) 内容の(3)のアの(イ)及びイの(イ)については,関数の定義・使用によりプログラムの構造を整理するとともに,性能を改善する工夫の必要性についても触れるものとする。アの(ウ)及びイの(ウ)については,コンピュータを使う場合と使わない場合の双方を体験させるとともに,モデルの違いによって結果に違いが出ることについても触れるものとする。
第2 情報Ⅱ (第2〔情報Ⅱ〕の2) 内容
    (4) 情報システムとプログラミング  情報システムの在り方や社会生活に及ぼす影響,情報の流れや処理の仕組みに着目し,情報システムを協働して開発する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。
    ア 次のような知識及び技能を身に付けること。
    (ア) 情報システムにおける,情報の流れや処理の仕組み,情報セキュリティを確保する方法や技術について理解すること。
    (イ) 情報システムの設計を表記する方法,設計,実装,テスト,運用等のソフトウェア開発のプロセスとプロジェクト・マネジメントについて理解すること。
    (ウ) 情報システムを構成するプログラムを制作する方法について理解し技能を身に付けること。
    イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。
    (ア) 情報システム及びそれによって提供されるサービスについて,その在り方や社会に果たす役割と及ぼす影響について考察すること。
    (イ) 情報システムをいくつかの機能単位に分割して制作し統合するなど,開発の効率や運用の利便性などに配慮して設計すること。
    (ウ) 情報システムを構成するプログラムを制作し,その過程を評価し改善すること。
(第2〔情報Ⅱ〕の3) 内容の取扱い
    (4) 内容の(4)のアの(ア)及びイの(ア)については,社会の中で実際に稼働している情報システムを取り上げ,それらの仕組みと関連させながら扱うものとする。
第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い 2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
    (1) 各科目の指導においては,情報の信頼性や信憑性を見極めたり確保したりする能力の育成を図るとともに,知的財産や個人情報の保護と活用をはじめ,科学的な理解に基づく情報モラルの育成を図ること。
    (2) 各科目の指導においては,思考力,判断力,表現力等を育成するため, 情報と情報技術を活用した問題の発見・解決を行う過程において,自らの考察や解釈,概念等を論理的に説明したり記述したりするなどの言語活動の充実を図ること。
    (3) 各科目の指導においては,問題を発見し,設計,制作,実行し,その過程を振り返って評価し改善するなどの一連の過程に取り組むことなどを通して,実践的な能力と態度の育成を図ること。
    (4) 各科目の目標及び内容等に即して,コンピュータや情報通信ネットワークなどを活用した実習を積極的に取り入れること。その際,必要な情報機器やネットワーク環境を整えるとともに,内容のまとまりや学習活動,学校や生徒の実態に応じて,適切なソフトウェア,開発環境,プログラミング言語,外部装置などを選択すること。
    (5) 情報機器を活用した学習を行うに当たっては,照明やコンピュータの使用時間などに留意するとともに,生徒が自らの健康に留意し望ましい習慣を身に付けることができるよう配慮すること。
    (6) 授業で扱う具体例,教材・教具などについては,情報技術の進展に対応して適宜見直しを図ること。