拡張機能パソリッチ(PaSoRich)の開発は、2019年のゴールデンウィーク頃に始まりました。

はじまりはMyca

それ以前から、もともとIC(Felica)カードには興味を持っていました。

私は2006年から3年間だけ東京生活をしたことがあります。その頃の東京ではSuicaカードのサービスが始まったばかり。東京生活に胸躍らせたことの一つに日常生活で電子マネーを使うことが出来ることの嬉しさがありました。

ICカードで交通費や支払いが出来るようになったのは便利でしたが、問題は電子マネーの残高確認が難しいこと。駅で確認する以外、パソコンにICカードリーダーを接続して確認する方法がありましたが、自分の使っていたパソコン(Mac)だと対応していないなど、不便がありました。

そこで、ソニーのICカードリーダーPaSoRi(型番RC-S320)を使う残高確認アプリを開発したのが2008年のことでした。それが「Myca」というアプリでした。当時はいくつかのブログで紹介もしてもらいました。

MacでSuica、PASMO!(WorP@holic わ〜ぱほりっく)
https://worpaholic.com/?p=1598

普段使っているもの(ICカード)に関わることができることにワクワクしてつくりました。そして実際に使ってもらって好意的なコメントがもらえたことにも嬉しさがありました。

開発自体は、先人たちがPaSoRiから情報を読み出す方法をネットに公開してくれていたので、私はMac上でUSBを操作する方法をいろいろ試しながら完成させました。

その時の経験から、ずっとICカードには興味を持ち続けていたのです。

Scratch3.0が始まる

2019年1月、プログラミング環境Scratchがアップデートし、3.0になりました。

ずっと関心を寄せていたものの、コミュニティへの関わり方が分からず、こじらせていた私は、Scratchを模倣したTickleというiPad用グラフィカルプログラミングアプリの日本語化を猪突猛進で取り組んだりして、なんか訳分からない状態でした。 ※ 依然こじらせたままという説もある。

Scratch3.0へのアップデートは、そんな私にとっては面白そうなチャンスでした。

それまでもScratchを拡張する実験的試みはいろいろなされていましたが、私にはちょっとハードルが高かった。そこに、HTML5という技術をメインに開発されたScratch3.0がやってきて、これなら学びの取っ掛かりがつかめるかも知れないと思ったのです。

いろいろ調べ始めるものの、優秀な人たちが作ったシステムということもあって、素人が理解するのはなかなか難しい。とにかく先人たちの教えてくれる情報を頼りに、これこうかな、あれこうかな、と試しながら進むしかありませんでした。

Scratch3.0を勉強する一方で、すでにやりたいことはイメージしていました。

PaSoRiをScratch3.0で使えないだろうかというアイデアです。ChromeブラウザにはUSBを操作するための技術「WebUSB」というものがありますが、これを使えばMycaでやったことと同じことがScratch3.0でもできるかも知れない。

これがパソリッチの出発点です。