SC2Scratch (PaSoRich)のような拡張機能を開発するためには、本家MITのScratch 3.0ではなく、独自に改造版(mod環境)を用意し、その上で開発作業を行うことになります。

ここでは、macOSまたはRaspberry Pi OS(Debian系)で、Scratch3.0 mod環境を構築する手順についてご紹介していきます。


Scratch3.0は開発版がGitHubというサイトで公開されています。改造版を構築するには、この開発バージョンをクローン(コピー)することになります。

まずはそのための準備からになります。

準備するもの
○Git
○Node.js
○Yarn

Git

gitは、ファイルやデータの管理ツールです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Git
https://git-scm.com/

あらかじめインストールされているため、わざわざ再インストールするようなことはしなくてもよいです。インストールされているか確認するためにバージョンチェックのコマンドを入力してみてください。

○バージョン確認

$ git --version

このようにして「git version 2.20.1」などと表示されればインストール済みです。そうでない場合はインストールしてください。

○インストール

【macOS】(Homebrewを導入後に)
$ brew install git
【Raspberry Pi OS】
$ apt install git

Node

Nodeは、Scratch3.0が動作するための基礎環境になります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Node.js
https://nodejs.org/ja/

Node本体を直接インストールする方法がありますが、Nodeにはさまざまなバージョンがあるため、場合によっては切り替えが必要になることがあります。そのため、切り替えが簡単にできるソフトをインストールしてから、それを使ってNodeをインストールしたほうがよいという解説もたくさんあります。

○バージョン確認

$ node -v

○インストール

【macOS】(Homebrewを導入後に)Nodeの安定版をインストール
$ brew install nodebrew
$ nodebrew install-binary stable
【Raspberry Pi OS】
$ git clone git://github.com/nodenv/nodenv.git ~/.nodenv
$ echo 'export PATH="$HOME/.nodenv/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc
$ ~/.nodenv/bin/nodenv init
$ echo 'eval "$(nodenv init -)"' >> ~/.bashrc

$ git clone https://github.com/nodenv/node-build.git ~/.nodenv/plugins/node-build

$ git clone https://github.com/nodenv/nodenv-update.git ~/.nodenv/plugins/nodenv-update

$ exec $SHELL -l
$ curl -fsSL https://github.com/nodenv/nodenv-installer/raw/master/bin/nodenv-doctor | bash

$ nodenv install -l
$ nodenv install 14.16.0
$ nodenv global 14.16.0

参考リンク:NODENVのインストール
https://github.com/nodenv/nodenv
https://gitpress.io/@ippei8jp/20190628_1

Yarn

Yarnは、Node環境で使うパッケージ管理ソフトです。
https://e-words.jp/w/Yarn.html
https://yarnpkg.com/

○バージョン確認

$ yarn -v

○インストール

【macOS】
$ brew install yarn
【Raspberry Pi OS】
$ apt install yarn
または
$ npm install --global yarn

以上のツールを準備すれば、GitHubからScratch3.0のソースコードをダウンロードして、独自のScratch3.0環境を構築できます。

次はこれらのツールでScratch3.0 mod環境をつくる方法を説明します。


[余談]デプロイのために…

GitHubでmod環境を公開する場合は、gh-pagesというパッケージが必要になるときがあります。必要に応じてインストールしましょう。そうでなければ普通は必要ありません。

GitHub Pages
https://docs.github.com/ja/github/working-with-github-pages/about-github-pages
gh-pages
https://www.npmjs.com/package/gh-pages

○インストール

$ yarn add gh-pages

yarnやnpmでエラーなど発生した場合にやり直しをする際は余計なファイルやキャッシュをクリアする必要もあります。そのためのいくつかのコマンドを。

$ rm -rf node_modules package-lock.json yarn.lock
$ npm cache clean --force
$ yarn cache clean